JFAの「スポーツ救命ライセンス講習会」に参加しました!
みなさん、こんにちは。スポーツナースの山村です。
今回は、先日参加したJFA主催の救命講習についてお話ししたいと思います。
「スポーツ救命ライセンス講習会」で学べること
JFA、日本サッカー協会と聞くと、日本代表選手のためのもといったイメージがあり、子ども達やサッカーをする子を持つ親である私たち保護者にはあまり縁のない場所だと感じてしまうかもしれません。実際に私もそうでした…(笑)。
ですが、JFAは子どもから大人まで、サッカーに関わる全ての人に向けて様々な情報や機会を提供しており、その中にはピッチ上の選手の安全を守るための取り組みも行っています。そして、その一つが私も参加した「スポーツ救命ライセンス講習会」です。
今回の講習は座学と実技の2パートに分かれており、1日かけて行われました。前半は座学で熱中症や脳振盪、心臓震盪、アナフィラキシーなどについての知識を勉強しました。知識的には看護師としてすでに知っていることが中心でしたが、統計などを交えながらの講義はとても興味深く、説明もわかりやすかったです。心臓震盪・AEDや脳振盪については、今後このコラムでも詳しく取り上げたいと思っています。
そして、私が一番楽しみにしていたのが実技講習です。AEDやバックボード、スクープなど、実際に救命救急の現場で使用する道具を用いながら練習していきます。今回は救命士の方が講習を担当してくれたのですが、現場のことを知り尽くしたアドバイスを受けながら、いろいろなシチュエーションで練習することができました。また、救命士さんは「迷った際にはすぐに救急要請をしてもらったら大丈夫ですよ」と仰っていて、救急要請をした際は消防職員から適切な処置を指示してもらえることも教えていただきました。
バッグボード、スクープって?
ところで、今回講習で使った「バックボード」と「スクープ」。怪我人を運ぶための道具なのですが、みなさんは聞いたことがありますか?
サッカーの試合中に選手がケガをすると担架で運ばれることがありますよね。実は、担架は足の怪我などの場合には問題ないのですが、頭部外傷の際に使用してしまうと少し問題があるんです。というのも、頸椎を損傷しているかもしれない場合は、頭を動かすことが何よりも危険だから。担架では体が固定されていないので、頭が動いてしまう危険性があります。そこで活躍するのが、全身を固定できるバックボードやスクープです。
サッカーの試合会場ではバックボードやスクープが準備されている所はまだ多くありません。サッカーより接触プレイの多いラグビーでは、チームに1つバッグボードを持っているようです。滅多に起こらないことへの備えは後回しにされがちですが、やはり万が一への備えは大切です。卒団記念などでチームに備品を送ることがも多いと思いますが、その選択肢にバッグボードやスクープが入るようになればいいなぁと思います。
子どもや保護者、指導者が参加できる講習も
今回私が参加したJFAの救命講習はトレーナーやJリーグクラブの関係者などが参加する専門性の高いものですが、JFAではもう少し簡易化された「JFA+PUSHコース」も開催されています。このコースは小学生から参加することができ、所要時間も2時間となっています。気になる方は、親子で参加してみるのもいいかもしれません。
★JFA(日本サッカー協会)公式サイト 救急救命(https://www.jfa.jp/medical/critical_care.html)
また、JFAの中には医学委員会という部門があり、選手・指導者・審判の健康管理やメデェカルチェック、障害予防や現場での救急対応、さらにはアンチドーピングや栄養についての教育・啓発など、医学面からのサポートを行ってくれています。各都道府県のサッカー協会にも医学委員会は設置されているので、気になる方は一度お住まいの地域のサッカー協会のサイトを覗いてみてください。
実際は1回の講習で全てを習得するのは難しいですし、講習の台本通りとはいかない現場が多いのが現状ではありますが、少しでも知識があるのと、何も知らないのとでは大きな差になります。このような講習に参加するチームや保護者が増え、安全への取組みの1歩につなげてもらえたらなと思います。