サッカーを安全に楽しむために、健康チェックシートを取り入れよう
初めまして!今年からサカママWEBで月1コラムを担当することになりました、看護師の山村麻衣子です。救命センターで働く傍ら、スポーツナースとしての活動をしています。このコラムでは、救護はもちろんのことですが、それ以前の予防の必要性などを中心に、サカママや子どもたち、サッカーに関わる方々へ情報をお届けできたらと思っています。よろしくお願いします!
健康チェックシートは使っていますか?
みなさんは高校サッカー選手権はご覧になりましたか? 実は息子のチームも選手権に出場していて、2回戦敗退という結果ではありましたが、やはり感動しっぱなしでした。結果も大切ですが、あのような場で試合ができたことはかけがえのない経験になったのではないかと思います。
本題に移りますが、その選手権に出場する前にチームに配布されたのが、健康調査票です。普段医療現場に携わっていることもあり、「さすが選手権!」と思ったのですが、しばらくして「あれ?」と疑問が湧いてきました。というのも、去年参加したU-15の全国大会では健康調査がなかったからです。
健康調査は試合の大きさなどに関係なく、サッカーをする上で誰にでも起こる危険を少しでも予測、予防するために必要になると感じています。部活に所属している場合は学校での健康診断があり、情報を共有できる環境にはありますが、少年団やサッカークラブに所属しているジュニア・キッズ世代の多くは、学校からのそのような情報がもらえないかと思います。だからこそ、そんなジュニア・キッズ世代にも健康調査票やチェックシートが必要になるのでは?と感じる部分がありました。
実際のところ、健康チェックシートはどれくらい普及しているのだろう?と疑問に思い、サカママのインスタグラムでアンケートをとってもらいました。その結果がこちらです。
「所属するチームに入部する際などに、健康チェックシートのようなものがありましたか?」という質問に対して、「あった」が66人、「なかった」が147人。半数以上が健康チェックシートはなかったとのことなので、やはりあまり普及していないのが現状なのかもしれません。また、「あった」の中でも、もしかしたら入部の際に書いたっきり…という方もいらっしゃるかもしれませんね。
ジュニア・キッズ世代にも、健康調査が必要!
健康調査票やチェックシートを使っていない、見たことがない、という方は、一体どんなことを確認するの?と思うかもしれませんね。一例として、以下のようなことを確認しています。
尚、健康チェックシートとは、コロナ感染対策の為に記入するものとは別の、普段の身体の状態を知る用紙を指しています。
実際にはもっと様々な項目を聞く必要があるのですが、典型的な項目としてあげさせていただきました。既往歴やアレルギーなどの情報は、普段の練習だけなく遠征時にも活用できます。また、特にジュニア・キッズ世代の選手は自分の体のことを正確に把握するのは難しいため、保護者のサポートが必要です。これは記入すればそれで終わりではなく、その情報をいかに活用し、予防をとるかも重要になります。
ちょっと過保護なんでは?と感じる方もいらっしゃるかもしれません。私も初めはそうでした。しかし、万が一が起きている救命の現場で働く中で、「スポーツをしている子は大丈夫」なんてことはなく、誰にでも起こりうるリスクがあることを見てきました。だからこそ、備えることで防げるという大切さを皆さんに知ってもらいたいと感じています。
これはプロを目指しているいないに関係なく、どのチームの誰にでも言えることだと感じています。安全の確保は、大好きなサッカーに全力で取り組む選手を守ることになるのはもちろん、選手の家族や指導者を守ることにも繋がります。各チームや大会の事情などもあるので、広く普及させるのは簡単なことではないかもしれませんが、まずは興味・関心を持ってもらえればと思います。