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「”リスペクト“で子どもたちを応援しよう」イギリスサッカー便り

みなさんこんにちは!
9月になり、ここイングランドでは2021−22シーズンが幕を開けました。コロナ禍でいまだ様々な制限のある中で、感染対策に注意しながらにはなりますが、新たに始まる戦いに息子たちも私もワクワクしています。

子どもの試合を観に行くとある「Spectator Area」とは?

子どもたちの試合を応援に行くと、ピッチ横にロープが張られていることがよくあります。このロープは、いわゆる応援スペースの目印であり、それと同時にバリアの役割も果たすもので、応援に来た人はこのロープの後ろから子ども達を応援します。
観客席があるようなスタジアムやグラウンド施設ならいいのですが、無限に広い天然芝での試合の場合は、必ず試合をするコートの横には、“Spectator Area(サポーターエリア)”としてロープが張られていたり線が引かれていたりマーカーが置かれていたりします。
イギリスに来て初めて息子の試合を観に行った時、どこから応援すればいいんだろうと思いながら行きましたが、ロープの後ろにお父さんお母さんたちがずらりと並んでいたのですぐわかりました。

 
先日行ったグラウンドではロープの代わりに背の低い木々が植えられていていました。

サポーターエリアは単なる応援場所の指定ではない

このサポーターエリアは、コーチや選手たちがいる場所のコートを挟んで反対側に設けられています。 The FA(イングランドサッカー協会)のピッチおよびゴール規則のページにもこのことが書かれているのですが、それによるとこのサポーターエリアは…

  • 監督やコーチがいる場所のコートを挟んで反対側に設けること
  • タッチラインから3メートル離れた場所にマークされるのが望ましい。ただしグラウンド条件により難しい場合は、これに準ずる形で設置すること
  • タッチライン全長に設けること。ゴール裏でのエリア設置は適切ではない

と記されていました。

興味深いのは、このことが“Respect(リスペクト)”という項目に示されていることです。このサポーターエリアは、単なる保護者や観戦者の応援する場所を指定するためではなく、プレーヤーをリスペクトし、時にはネガティブな声かけなどから選手たちを守る役割があるようです。プレーヤーズファーストという言葉がありますが、このサポーターエリアもこの考えに基づいて設けられているものなんだと思います。

 

子ども達のために、みんなでポジティブな環境を作り上げる

息子たちの試合を観に行くと、応援に来ているお父さんお母さんたちは大きな声援を送っているのですが、ナイスプレーには我が子だけでなくチームメイト、そして相手選手に対しても、惜しみない拍手を送ります。

Well done!
Good boy!
Fantastic!
Unlucky!
Good try!

などなど…。選手たちを鼓舞するポジティブな声があちこちから聞こえます。

時には熱くなりすぎた親が暴言を吐いたりすることもあるのですが、そういう時は、周りの人たちがそのエキサイトしすぎた親の発言をその場でしっかり注意するという場面にも出会いました。みんなで協力し合って、頑張る選手たちを応援しようという姿勢は素晴らしいと感じました。
ポジティブな声かけでポジティブな雰囲気をみんなで作り上げることで、選手たちもポジティブな気持ちでプレーができる。その結果、フェアプレーにつながる…理想的ですよね。

私もサカママを始めたころは、ついつい息子たちのプレーに一喜一憂してギャーギャー叫んだりしていました(汗)。
だんだんと冷静に試合を観られるようになってきたのですが、その一つのきっかけはビデオ撮影をするようになったことかもしれません。日本ではチームビデオで撮影する機会が多かったので、なんとか声を抑えて見るというスキルを身につけました(笑)。
その甲斐あってか?こちらに来てからは、ビデオ撮影はできませんが、英語でのサッカー応援用語を学び、周りのお父さんお母さんと一緒にサッカーを頑張る子どもたちの応援を楽しんでいます。

 

イングランドでサッカーに関わっていると、頻繁に見かける”Respect”という言葉。少年サッカーの会場では、”Respect”と書かれたボードやバナーが掲げられているのをよく目にします。
選手、指導者、レフェリー、サポーターなど、サッカーに関わる全ての人々がお互いを“リスペクト”し、大切に思う気持ちが、子ども達が大好きなサッカーをめいっぱい楽しめる環境を作っていくという考え方です。私も“リスペクト”の心を忘れずに、そんな理想的な環境づくりに関わっていければと思います。

WRITER PROFILE

クリストファーズ佳世
クリストファーズ佳世

イギリス在住、3兄弟(16歳、14歳、11歳)を育てる現役サカママ。 神戸市在住時は、地元の強豪クラブチームで6年間サカママ生活を満喫。2019年3月にイギリス移住後は、サッカーの本場・イングランドでシーズン1年目の新米サカママとして生活をスタート。 日本とイギリスのサッカー事情の違いなどを、サカママならではの目線で伝えていきます。