「悩みまくったシーバー病のその後」アメリカ少年サッカー記26
少年期に直面する怪我の問題
練習すればするほど、子どもはサッカーのスキルを身につけ、理解を深め、大きく成長します。その結果、チームや個人も積極的に練習するようになりますが、一方で、練習や試合が増えると慢性的な怪我のリスクも高まります。この慢性的な怪我の問題は、多くの家庭にとって悩みの種かもしれません。
息子が9歳くらいから数年続いたのが、シーバー病という踵の成長痛でした。この怪我は、筋肉に強く引っ張られた軟骨の踵骨に負荷がかかり、踵が痛む現象で、踵骨の成長期に起こりやすいと言われています。シーバー病は、ハイシーズン中にたくさん練習や試合をすると突然発症する厄介な怪我です。
息子の場合は、3年ほど練習や試合で踵が痛くなるのではないかと心配でした。この怪我は息子だけでなく、チームメイトにも広く見られました。発症する時期は身体の成長により異なるようで、息子のように小学校高学年にシーバー病にかかった子がいれば、13歳から14歳にシーバー病が悪化した子もいました。
早期対処が治癒の鍵
シーバー病が発症すると、子どもも親も焦ります。この怪我の最善の治療法は、練習や試合を休む(Rest)ことですが、時期によっては重要な大会のために休むのが難しい場合があります。そこで、練習や試合後に踵が痛くなったら、すぐにコンビニで氷を買い、踵の炎症を抑えるためにアイシング(icing)をします。そして毎晩、お風呂に入ってからストレッチをします。このストレッチでは、ふくらはぎや太ももなど、緊張した筋肉を重点的に伸ばして、踵の骨への負荷を軽減します。さらに、痛みが強い場合は患部をサポーターで圧迫(compression)し、寝る時はクッションに足を置いて患部を持ち上げ(elevation)、血流を抑えます。これらは、RICE(Rest-Icing-Compression-Elevation)と呼ばれる基本的な4つの怪我の処置です。
この処置は怪我が早期であるほど治癒の効果が高いようで、早期に対処した場合、踵の痛みは2、3週間で緩和されることが多いようです。踵の痛みが消えれば、また練習量を増やし、練習での負荷を上げられます。ところが、痛みがなくなると、痛みが出た時の恐怖もすっかり忘れてしまい、そのうち毎晩のストレッチもやめてしまいます。そして数ヶ月や1年を過ぎた頃に、再び踵が痛くなるのです。こうしてシーバー病は数年間繰り返されました。
なぜシーバー病の問題が解決したのか?
その後、息子のシーバー病はどうなったのかというと、過去2年間踵の痛みはありません。どうやら、13歳になり、筋肉による張力に耐えられるほど踵の骨が十分に成長したようです。結局のところ、色々やった治療法やストレッチのおかげでなく、時間がこの問題を解決したようです。
シーバー病が2年間悪化した息子の友人は、整形外科医から鎮痛剤を服用してサッカーを続けるように勧められました。ところが、ここ一年のコロナのパンデミックでサッカーや他スポーツの活動が激減したことで、ゆっくり踵を休ませることができました。お陰で今では踵は全く痛みがないようです。パンデミックは子ども達から多くのスポーツの機会を奪いましたが、こうした慢性的な怪我を治癒するのには大いに役立ったようです。
現在、息子が所属するU14では、チーム内でシーバー病になったという話は聞きません。ところが、今度は膝や腰に痛みのある子どもが現れ、怪我の問題は全く解決されていません。この先も、膝のオスグッド・シュラッド病、股関節周辺に痛みをもたらすグロインペイン症候群など、シーバー病以外の成長痛のリスクが高まります。結局のところ、スポーツは常に怪我と隣り合わせです。一方で、サッカーは短距離走ではなく、マラソンだと言います。怪我をして治癒に時間がかかったとしても、長期的に成長することに集中し、サッカーに向き合うことが重要かもしれません。
※この記事は個人の感想であり、効果・効能を示すものではありません。痛みが続く場合は必ず専門の医療機関をご受診ください。