子どもが育つ親子の関係とは?【サッカー指導者コラム】 | サカママ メインコンテンツに移動

子どもが育つ親子の関係とは?【サッカー指導者コラム】

スポーツ×教育をテーマにしたWEBメディア「SPODUCATION」で行われた指導者対談から、サカママ、そしてサッカー指導者にとって気になるトピックを取り上げてお届けします。

今回は、「子どもが育つ親子の関係」について。ジェフユナイテッド市原・千葉の育成普及部コーチや京都サンガF.C.育成普及部部長を歴任し、これまで延べ50万人の子どもたちにサッカーを教えてきた池上正さんの考えをご紹介します。

池上正

池上正

1956年、大阪府生まれ。Jリーグ ジェフユナイテッド市原(当時)コーチとして、2003年から7年間で約40万人の小学生、先生、保護者を指導。2012年2月より京都サンガF.C.コーチ契約、「サンガつながり隊」発足京都府下の小学校を巡回指導開始し、5年間で約5万人を指導。 2017年4月より関西大学非常勤講師(フットサル授業)、大阪体育大学客員教授を務める。

子どもの練習は見ない方が幸せ?!
身近な存在だからこそ、親は子の変化に気付かないことも

 

2003年から7年間、ジェフユナイテッド市原(当時)でコーチを務め、子どもたちの指導にあたっていた池上さん。
当時、子どもたちをスクールに送ったらすぐに帰ってもらうようにしたいとお母さんたちに聞いたことがあるそう。お母さんたちからは「どうしてそんな冷たいこと言うんですか!」という反応が返ってきたようですが、池上さんは、保護者は練習を見ない方が幸せだと言います。

「子どもたちは自分なりに楽しんでいますが、親は『どうしてあそこで追いかけないの?』とか、マイナス面ばかりを見てしまう。だから、帰りの車の中も暗い時間を過ごすことになります。でも見なかったとしたら、『今日は2点も入れて楽しかったよ』みたいに嘘をつくこともできるわけですよね。子どもの楽しむ時間を大切にしてあげるなら見ない方がいいんですよ」

確かについついダメ出しをしてしまっているかもしれない…とドキッとした方も多いのでは?
池上さんは、親は毎日子どもたちと一緒にいるからこそ、子どもたちの細かい変化に気付かないこともあると言います。

「親と指導者で比べたら、親の方が細かいことに気づかないと思います。親は毎日一緒にいて見慣れてしまうから。それに、相当先のイメージを持ってしまうから『どうしてそんなことが出来ないの?』と、マイナス目線にばかり目が行ってしまう」

実際にマイナスの部分ばかりに目が行ってしまうのが嫌になって、見に行くのをやめた保護者の方も多かったそう。
逆に指導者は子どもたちを見る機会は週に数回と限られています。その中でどんな風に変わるか、どうしたら良くなるかを考えているので、子どもたちの小さな変化に気付きやすいのです。

子どもの頑張る姿は出来るだけ見ておきたい…と思うのが親心ですが、時にはそんな気持ちをぐっと抑え、子どもが自分から話してくれることを聞くというスタンスをとってみるのもいいかもしれません。
また、練習での様子が気になるという場合は、指導者に聞いてみるというのもありかもしれません。近くにいる親だからこそ気付けなかった、子どもの変化を聞くことができるかもしれませんよ。

上達に必要なのは「楽しい」という感覚
家でやるサッカーは「遊び」でもいい

 

子どもが家であまり練習せず、「もっと真剣になってくれればいいのに…」なんて感じたことはありませんか?
池上さんも保護者の方から「子どもが家で練習をしない」という相談をよく受けるそうですが、家でサッカーの練習はしなくてもいいと答えているそうです。というのも、上達には「楽しい」という感覚が必要で、家でやるサッカーは「遊び」の部分を大切にしてほしいからだそう。

「やらなければならない、となるとそれはストレスになりますよね。今の子どもたちの特徴は、正解を知らないと不安、正解を見つけたい、聞きたいと思う気持ちが強くて、不安だらけなことです。でも『遊び』なら失敗しても笑えるし、友達から何か言われても大丈夫。そういう環境が家ではあってほしいなと思います」

サッカーに限らずですが、「楽しい」という感覚はスポーツの上達においてとても重要です。池上さんは心理学のフロー理論(何かに夢中になり、時間を忘れるほどそのことに没頭している状態。終了後には充実感が得られる)を引き合いに出し、子どもたちが夢中になっているときは、指導者の声も聞こえなくなって、ずっとプレーしているといいます。

「夢中になれれば間違いなくどんどん楽しくなるので、自分からやろうとします」

家でも練習を強制されてしまっては、「楽しい」という感覚よりも、「やらないといけない」という義務感の方が強くなってしまいます。子どもにとってはそれがプレッシャーになってしまうことも。
特に小学生の間は楽しむことを優先してもらうのがいいという池上さん。上手くなってほしい一心で無理に練習をさせるよりも、まずは一緒にサッカーを楽しむことから始めてみるのがいいかもしれません。


この記事はSPODUCATIONにて行われた指導者対談の内容を再構成したものです。対談の内容は下記、SPODUCATION WEBサイトのコラムよりご覧いただけます。
★「子どもが育つ親子の関係」~育成に欠かせない親と指導者の在り方~(前編後編