イギリスサッカー便り「怪我予防にもつながるトレーニング“S&C”」 | サカママ メインコンテンツに移動

イギリスサッカー便り「怪我予防にもつながるトレーニング“S&C”」

みなさん、こんにちは!
ここイングランドでは、先月末から強化されたコロナウィルスの規制が今年に入ってさらに厳格化され、3度目のナショナルロックダウンの真っ只中です。変異種ウィルスの急激な感染拡大のため、今回のロックダウンでは学校も休校、育成年代のサッカーも休止となりました。学校はすぐさまリモート授業へとシフトされ、毎日3人の息子たちがPCやタブレットの前に座り、授業を受けています。
学校の授業が終わると、夕方はサッカーのZoomミーティング。日によれば朝8時半から夜7時ごろまで、ひたすらパソコンの前にいることも。もはや学校でもサッカーでもパソコンやタブレットが無くてはならない時代になったんだなぁと実感する日々です。

 

アスリートのためのトレーニング「S&C」とは?

昨年からサッカーの活動ができない期間が長かったのですが、そんな期間に所属クラブが開催してくれていたのがStrength&Conditioning(ストレングス&コンディショニング、略してS&C)というトレーニング。日本にいた時は聞いたことがなかったこのS&Cですが、イングランドに来てからは本当によく耳にします。そもそもS&Cとはなんなのでしょうか?

ストレングス(Strength)とは、筋力、パワー、筋持久力のみならずスピード、バランス、コーディネーション等の筋機能が関わるすべての体力要素に不可欠な能力。単に力発揮の大きさを表すだけでなく、状況に応じて適切に筋活動をコントロールするための「神経-筋系全体の能力」と定義される。

コンディショニング(Conditioning)とは、スポーツパフォーマンスを最大限に高めるために、筋力やパワーを向上させつつ、柔軟性、全身持久力など競技パフォーマンスに関連するすべての要素をトレーニングし、身体的な準備を整えること。また、一般の人々にとっては、快適な日常生活を送るために、筋力や柔軟性、全身持久力をはじめとする種々の体力要素を総合的に調整すること。

(NSCAジャパンホームページより引用)

要は、筋肉と筋肉を支配している神経能力を高めるための筋力トレーニングがストレングストレーニングで、走るスピードや敏捷性(アジリティ)、ジャンプ力、心肺機能など各種トレーニングをコンディショニングというそうです。
そしてストレングス&コンディショニングというのは、アスリートが怪我を予防しながら競技に必要な身体能力を向上させていくために筋力トレーニング及びその他のトレーニングを行うこと、ということになります。

この“怪我を予防しながら”というのが大事なポイントで、単に体力、筋力をつけるためだけのものではなく、サッカー選手として試合でベストなパフォーマンスを行えるようにするために必要な動きの身体能力を向上させるトレーニングメニューが組まれているということです。結果としてサッカー選手に起こりやすい怪我の予防にもつながります。

毎回汗だく!S&Cトレーニングの模様はこんな感じ

 

息子は今年に入ってからも週2回、S&Cトレーニングをオンラインで受けています。実際にやっているメニューの一例を紹介すると…

まずはジョグ、スプリント、スクワット、もも上げ、ランジなどでウォーミングアップ。そして、サッカーに必要な敏捷性(アジリティ)を高める動きのトレーニング。最後にスクワットジャンプ、腕立て伏せ、逆ランジ、バーピージャンプなどの集中ワークアウトという、計1時間のトレーニングとなっています。(毎回メニューは異なります)

この最後のワークアウトで、こんなに汗をかくの??というくらい汗だくになっています。最初の頃は、1回のセッションのあとは階段を下りるのも辛いくらいの筋肉痛に苦しんでいましたが、最近では平気な顔に。一度、わたしも横で一緒にやってみましたが、ウォーミングアップのところだけですでに疲れ果ててギブアップでした。

トレーニング中はただ淡々とメニューをこなすわけではなく、例えばこのトレーニングはサッカーで必要な切り返しのステップの動きを向上させるために有効だとか、負荷がかかりやすい太ももの怪我予防になるのがこのトレーニングだとか、トレーナーさんがしっかり説明をしてくれます。そして、「○○ナイス!」「△△素晴らしい!」と、一人一人大げさなほど(?)褒めながら進めてくれます。息子も自分が褒められると、真剣な中でもニヤリ。さらにやる気が出ているみたいです。笑

また、S&Cトレーニングは家の中のスペースを使って行うので、時にはいろんな工夫が必要です。始まる1時間くらい前にその日のメニューが送られてくるのですが、ある日のトレーニングでは、「家にあるベイクドビーンズの缶を2つ使うから準備してね」と書いてありました。イギリス人家庭には常備されているらしいベイクドビーンズ缶ですが、我が家にはありません。そこで、缶の代わりに家にあったパスタソースの瓶で代用することに。
パスタソース瓶を2つ使って、その間でステップ踏んだり、ジャンプしたり、軸足を交互に入れかえたり。瓶を二つ重ねたものの上を両足で左右に飛び越えながらジャンプするという、親からすれば少しヒヤヒヤするメニューも。こちらは、サッカーでは必須の動きである Changing direction(方向を変える)を重点的にやるセッションで、トレーナーさんの「まだビーンズは床にぶちまけられてないか~?」なんてジョークが所々で飛び交っていました。

 

サッカーが思うようにできない今、定期的にチームメイトの顔を見ながらできるS&Cはありがたい時間です。家の中でも工夫次第で、かなり効果的なトレーニングができます。S&Cではワークアウトだけでなく、睡眠や心理学の話を聞く時間だったり、試合分析をする時間であったり、サッカー選手として成長するために必要な要素を色々な角度からアプローチしてくださっています。
試合やチーム練習ができるのはおそらくまだまだ先になると思いますが、サッカーができることが当たり前でなくなった今、今できることをコツコツと積み重ねていってほしいと思います。

 

WRITER PROFILE

クリストファーズ佳世
クリストファーズ佳世

イギリス在住、3兄弟(15歳、13歳、10歳)を育てる現役サカママ。 神戸市在住時は、地元の強豪クラブチームで6年間サカママ生活を満喫。2019年3月にイギリス移住後は、サッカーの本場・イングランドでシーズン1年目の新米サカママとして生活をスタート。 日本とイギリスのサッカー事情の違いなどを、サカママならではの目線で伝えていきます。