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指導者の言霊「浅野智久 malvaサッカースクール代表」

指導者の言霊「浅野智久 malvaサッカースクール代表」

どうやって個性を見抜き どう子どもたちと接するか

僕が子どもたちにサッカーを教えるようになったのは、自分自身が挫折した経験と様々な人との出会いがきっかけでした。選手時代に清水エスパルスやNTT関東(現大宮アルディージャ)で数多くの方にお世話になりましたし、イタリアへ行った際も代表監督のチェーザレ・ブランデッリ監督に指導していただく機会を得ました。でも、ケガもあって目立った成績は残せず、その後、僕は音楽業界に勤めることになりました。音楽業界でも色々な方と関わらせていただき、仕事も順調でしたが、あるとき、ふと自分の原点はサッカーにあるということに気づいたんです。自分をアピールすること、評価してもらうこと、他人を思いやること、一対一で相手と接すること……それらはすべて相手を尊重し、認め、分析することであり、サッカーから学んだことでした。それと同時に、その頃に感じていた閉塞感を打開し、日本を居心地の良い世の中に変えたいなとも思ったんです。そのためには子どもたちから変えていくことだと考え、サッカーを通して子どもと関わろうと思ったのがスタートでした。

malva サッカースクールの根本として、楽しめる空間を作りたいという考えがあります。家とも学校とも違う安らぎの場所として、サッカー以外の色々な話もできる空間になればいいなと。だから、僕たちは教えているのではなく、どうやったら上手くサッカーができるかというサポートをするだけで、逆に彼らから教えられることもたくさんあるんです。その中で心掛けていることは、「どうやって子どもたちを見抜き、どう向き合っていくか」ということです。サッカースクールなので方針やカリキュラムはありますが、大切なことは、その子にしかない良い個性を見抜き、伸ばしていってあげること。技術的なことだけではなく、その子の良さを消さないで育ててあげることです。僕が書いた「魅抜く」という言葉は、人の本質である魅力を見抜くということと、malva のサッカーは見せつけて魅了するプレーを大切にしていること、その両方の意味が込められています。

上手くいかなくてもトライし自分に問いかけて自己分析してみる

具体的には、我々は必ず子どもたち全員とコミュニケーションを取り、その日のコンディションや表情をじっくりと見ます。そこで例えば、レベルの高い子どもには課題を与え、上手にできない子どもは、ひとつでもできたことを褒めてあげる。そうすることで、できる子は「まだまだだな」と感じるし、できない子も「成長できているな」と感じさせられるのです。それを気づかせる方法は、直接言葉をかけることもあれば、ヒントを与えることもあるし、何も言わないときもある。やり方はひとつではありません。

その上で、子どもたちにはまずサッカーを楽しんで欲しい。上手くいかないこともあるけど、そこから学べることもいっぱいあるので、どんどんトライしてほしいですね。そして、指導者の方にもたくさん良いトライをさせてほしいです。大人と子どもの時間のスピードは違います。子どもはゆっくりと少しずつ成長するので、今できる子が良いのではなく、今できない子でもできるようになる。それぞれ気づくポイントも違いますから、それを見抜いて指導してほしいと思います。 また、子どもたちには最終的に自己分析をしてもらいたいですね。「なぜ上手くできたのか」「なぜ上手くできなかったのか」を、いつも自問自答するクセをつける。それができるようになれば、もっと成長できるようになります。

保護者は、過剰すぎるのも困りますが、ある程度の口出しは良いことだと思います。世の中、何でもしてもらえるということはありませんし、理不尽なことはたくさんあります。子どもにとって親は最初の理不尽な存在なので、適度に親が口を出すのはいいかなと。言い過ぎたら子どもに謝れば良いし、抱きしめてあげるだけでもいい。真剣に想えば、それは子どもに伝わります。親は子どもと向き合い、悩むことが大切だと思います。

取材/宮坂正志(SCエディトリアル)

※この記事は2014年12月24日に掲載したものです。

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