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<先輩サカママ>澤 満壽子さんからのアドバイス

澤 満壽子さんの長女は、惜しまれつつも現役を引退した澤穂希さんです。穂希さんが学年が上がるにつれて経験したこと、また先輩サカママとしてのアドバイスをうかがいました!

スポーツとともに精神的にも肉体的にも強くなってほしい

穂希が府ロク(府ロクサッカークラブ)に入団したのは2年生の秋です。ずっと1つ年上の兄と一緒のチームにいたのですが、4年生になったときに自分の学年に移りました。それからは、全日本少年サッカー大会を目指して、毎日猛練習。でも、5年生に上がったときに、この大会に女子は出場できない(現在は出場可)ということを知ったんです。

「難しい約束事があって女子は出れないんだよ。我慢しよう」と伝えると、穂希は泣いていました。今まで一度もサッカーで泣いたことはなかったのに……。私も、かける言葉がなくて、今でも思い出すと涙がでてきます。でも、そん な姿を見て、スポーツとともに精神的にも肉体的にも強くなってほしいと思いましたね。ただ、ショックも冷めやらないうちに、小金井市にある女子チームから声がかかって、女子の全国大会には出ることができたんです。コーチたちは、穂希のおかげで準優勝することができたと涙ながらに喜んでいました。

高学年になると、チームの男の子たちは、穂希と体をくっつけるような練習を恥ずかしがっていたようですが、穂希は長男の友達とも親しかったので、あまり違和感はなかったようです。6年生の頃、府ロクでバレーボールをやっている子たちから「女子なのにサッカーをやってる」といじめられたことがありました。我慢強い子なのに、私に打ち明けてきたのですから、相当つらかったんでしょうね。すぐにコーチに話をして、本人同士で会話をさせました。喧嘩やいじめは解決するきっかけは親が作っても、話し合うのは本人同士にさせるべきだと思います。
反抗期はありませんでしたね。ずっとサッカー漬けだったので、そんな暇もなかったのかもしれません(笑)。

父母会のメンバーとは20年以上のつきあいに
私は府ロクで3年間、父母会の代表をやっていました。チームの引率などをする中で、私自身も成長できたと思います。子どものことだからこそ、ときには親同士の気持ちのいさかいもありましたね。一度、あるお母さんから「うちの子はずっとベンチで、お宅のようにいつも出してもれえるわけじゃないんだから」と文句を言われたことがありました。私はたとえ試合に出られなくても、子どもがサッカーを本当に好きで楽しんでいるのであれば、それでいいと思うんです。だから、そのことを率直に伝えて「お子さんの気持ちを聞いてみてくださいね」と言いました。何日かして、受験があるからと言う理由で退団されました。
当時、一緒に父母会でサポートしていたお母さんたちとは、今だに1年に1回、会うんです。子どもたちが縁でしたが、20年以上もの深いつきあいになっていますね。

時間がゆるす限り応援に行ってほしい

私は、穂希にあまり口うるさくは言いませんでした。ひとつの目標にむかって頑張っているときに何を言っても子どもは聞かないですからね。ただ「お母さんは信じてるから」という想いは、よく口にしていました。子どもは信じないと伸びないですし、信じてる気持ちは口にしないと伝わらないものです。そういう気持ちを話すときは、やんわりとお友達同士の感じで話すようにしていましたね。ときには「お母さんも頑張るから、頑張って」と励ますこともありました。

サッカー選手になる――いつの頃からか、穂希はそう口にするようになっていました。だから私も「サッカーをやる以上は一流の選手になりなさい。そのかわり、勉強は二の次でいいから」と言うようになりましたね。穂希はラッキーと思ったんじゃないかな(笑)。でも、好きなものに打ち込めるということが嬉しかったみたいですね。

子育てを振り返ると、子どもがやりたいと思うことを、邪魔をせずにずっと続けさせてきたことが、集中力にもつながっているような気がします。だからお子さんがやりたいと思ったことには、軽く背中をおしてあげて、伸び伸びとさせてあげてください。そして口出しをせず、一生懸命やることに協力してあげてほしいと思います。お子さんのサッカーの試合は時間がゆるす限り応援に行ってあげてください。お母さんがくるかこないかで、子どもたちのはりあいは全然ちがいますからね。

※この記事は過去に読者のみなさまから反響の多かった記事を厳選し再録したものです。(2016年5月12日掲載)