高川学園高校(山口/私立)やるべきことをやり抜く力 好タレントを擁す古豪に飛躍の予感【全国強豪校REPORT】
大黒柱の末次を欠きながらも中国新人大会で準優勝
旧・多々良学園時代を含めて選手権4強2回。現在指揮を執る江本孝監督が主将を務めていた02年など、インターハイでも2度の4強入りを果たしている伝統校・高川学園が、再び強豪への階段を登り続けている。
選手権予選の連覇が15で途切れた08年度から西京や聖光などの台頭を許していたが、17年度は10年ぶりに選手権山口県予選連覇達成。新人戦、インターハイ予選、山口県1部リーグ戦を含む山口県内4冠も成し遂げた。選手権全国大会では静岡の強豪、清水桜が丘をPK戦の末に撃破。FW安藤瑞季(現C大阪)を擁した長崎総科大附(長崎)相手に敗れたものの、球際で身体を張り、セカンドボールの攻防戦でも互角以上の戦いを見せるなど、アグレッシブな戦いで好勝負を演じて見せた。
MF末次章悟、MF品部真完、CB田近洸貴という好タレントを残し、プレースキッカーも務めるCB高木大夢、またMF内田裕也や野田康介といった下級生の押し上げもある今年は全国でより存在感を示すだけのポテンシャルがある。3月16日から18日まで行われた中国高校新人大会では準優勝。手術明けの大黒柱・末次を欠く中(決勝のみ途中出場)でも勝ち上がり、初の決勝進出を果たした。
主にピッチの外側からチームを見つめていた末次が、「特に田近と品部が大きな存在になっている。アイツら2人がリーダーシップ取ってくれたのがデカイですし、ここぞの時に潰しに行ってくれたりするのが頼れる存在ですね」と絶賛した品部と田近の2人が中心となって我慢強く相手の攻撃を凌ぎ、いずれも後半以降に流れを引き寄せて瀬戸内(広島)、作陽(岡山)、広島観音(広島)という強豪を連破。江本監督が「より厳しい試合ができることはありがたい」と語る“濃いゲーム”を4試合経験できたことは今後にも繋がりそうだ。
江本監督就任から積み上げてきたチーム精神が“勝ち切る”力に
走る、戦うという部分は13年冬の江本監督就任から積み上げてきたもの。選手たちが“当たり前”のように徹底することができる強みだ。絶対的なエースこそ不在だが、岡山学芸館(岡山)との決勝で鋭い仕掛けを連発していたFW鳥飼椋平や10番FW濱口翔大、選手権でゴールを決めている181cmFW山本廉哉ら多彩なアタッカーたちが自分たちの役割を果たして、結果に繋げる。
田近は「得点力だったり、得点が取れなくても1点勝負を勝ち切る守備の強化をしていきたい」と語った。中国大会ではボールの奪いどころなど各試合で掲げた目標を選手たちが徹底した結果、決勝に進出することができた。トレーニング、試合でこだわってやるべきことをやり抜くこと。全国上位で戦う力を身につけるために、貪欲に自分たちの力を磨く。