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【サッカーで必要な持久力】持久力のある選手になるには?

サッカージュニアにとって、なぜ持久力をつけることが大切なのかを知っていますか?また、持久力のある選手になるにはどうしたらいいのでしょうか。
そこで、中村憲剛選手(川崎フロンターレ)の恩師として知られ、現在JFAアカデミー福島女子統括ダイレクター・女子U-18監督である山口隆文さんに、サッカーで必要な持久力や持久力を高める秘訣についてお聞きしました。

攻撃も守備でも関わり続けるために、すべての選手に持久力が必要

そもそもサッカーは、広いピッチを走らなければいけないスポーツです。小学生の公式戦は8人制のため、ピッチの広さが縦68m×横50mですが、中学生以降は11人制になるので縦105m×横68mと今の約2倍になり、プロの選手たちは10~12kmも走ることになるのです。また、攻撃でも守備でも関わり続けることが大事になってきます。例えば攻撃の時、1対1よりも2対1になって数的優位(相手よりも味方が多い状況)を作り、パスとドリブルが選択できる状態の方が突破できる可能性は高まるからです。それは守備の時も同様です。試合ではボールを持った選手だけではなく、チーム全員が関わり続けて勝ちにいくことが、とりわけ日本のサッカーにおいては必要ですし、且つそれが魅力でもあるのです。だから、持久的な能力はポジションに限らずすべての選手に不可欠ですし、子どもの頃からそうした意識を持っておいてほしいと思います。

サッカーで必要な持久力

サッカーで必要な持久力には仲間を助けにいく“心”が大切

素走り(走るトレーニング)をたくさんすれば、持久力がついていくと思う親御さんも多いのではないでしょうか。確かに素走りを繰り返せば、それなりの持久力はついていくでしょう。でも、サッカーにおいての持久力は、単に走る力をつければいいというわけではありません。サッカーで必要な持久力には、守備と攻撃が常にある中での判断と、その中で仲間を助けにいくという“心”が大切になってきます。なぜなら「仲間を助ける」「仲間のために頑張る」という思いや、「勝ちたい」「負けたくない」という気持ちがあって、はじめて走る力につながるからです。今、試合中に走れていなかったり、すぐにバテてしまう子は、体力がないからではなくて、そうした心(思い)が弱いために、走れていないのかもしれません。従って、親御さんや指導者が子どもたちの“心”を育んでいくことが、持久力を高めることにもつながると言えるでしょう。

サッカーで必要な持久力

好奇心をくすぐる指導や親の発問で子どもの心が育まれる

仲間を助ける―そうした心は、強弱はあるにせよ子どもたちみんな持っています。それが、勝ち負けのあるトレーニングはもちろん、常に「サッカーは上手くなるともっと楽しいんだよ」と感じさせる、子どもの好奇心をくすぐるような指導を行うことで、より育っていくのです。そして何よりも心を育むには、親御さんの子どもへの接し方が重要になってきます。常に、子どもに何がしたいのかを聞いてあげて、そして子ども自身で決断するような接し方をして欲しいと思います。例えば「サッカーがもっと上手くなりたいの? じゃあどうすればいい?」と子どもに聞いた時、「TVゲームの時間は減らす」「もっとごはんを食べる」など子ども自身が決めたなら、親御さんはそれを応援してあげればいいのです。常に親御さんが発問をして子どもが決断していけば、自立にもつながっていくでしょう。また、親御さんは子どもが決めたことが人として良いことなのか、悪いことなのかを示唆することも大切です。

サッカーで必要な持久力

持久力UPのために“今”できること

サッカージュニア、サカママ、指導者にむけて、サッカーで必要な持久力をつけるために、今、何をすべきかを山口さんが教えてくれました。

サッカージュニア

ボールを取られたら取り返すことを習慣に

サッカーで必要な持久力

試合はもちろん、1対1や2対2などスモールサイズのゲームトレーニングの時でも、常にボールを取られたら、取り返すことを意識して動くことです。それを繰り返していけば習慣となり、自然と持久力がついていくものです。また、試合では、攻撃でも守備でも、ボールを持っていなくても「仲間を助ける」という気持ちで関わり続けることが大事です。

サカママ

子どもが楽しめる環境でサッカーをさせてあげよう

サッカーで必要な持久力

お子さんは、今いる環境でサッカーを楽しめていますか? 子どもにとっては、たとえ公式戦でなくても試合が何よりも楽しく、試合を繰り返すことで持久力が育っていくのです。そのため、試合の機会があまりに少なかったり、子どもがその環境で楽しめていないのであれば、思い切って試合をたくさん用意しているチームに移ることを考えてみてもいいでしょう。また、親御さんはどうしても、自分の子はできると思ってしまいがちですが、サッカーに不向きな子もいるもの。兄弟であっても違うので、それをしっかり見極めて、不向きなら決して無理強いしないことです。

指導者

スモールサイズのゲームにもネットのあるゴールを置くこと

サッカーで必要な持久力

サッカーで必要な持久力を高めるには、スモールサイズのゲームトレーニングが一番です。3対3、4対4のゲームでも勝負に直結するので、子どもたちはより走ろうとするからです。その中で「仲間を助けてやろう」と促していけば、心も養われていくでしょう。また、この時に大事なのがどんな小さな試合でもコーンではなくネットのあるゴールを置くこと。ネットを揺らす感覚を知ることは重要ですし、ゴールがあれば、よりゴールにむかう、ボールを奪いにいくようにもなるのです。できるなら、1対1をやる時もネットのあるミニゴールをつけてあげてほしいと思います。

8人制サッカーが持久力を高める!?

サッカーで必要な持久力

2011年の全日本少年サッカー大会から導入されている8人制サッカー。そもそも11人から8人制サッカーになったのは、より多くの子どもたちが試合に出場でき、試合を通して選手として成長する機会が増えることを目的に導入されました。8人制のゲームでは、ボールに関わる回数が増える分、技術力の向上につながり、判断の回数も増えていきます。また、誰もがシュートチャンスに関わることができ、守備をすることもあったりと、どのポジションでもボールに関わり続けることができるので、じつは持久力の向上にもつながるのです。国によりU-12、U-10などの年齢や、人数の違いはありますが、世界的に育成年代では少人数制サッカーが導入されています。