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【サッカーの続け方】渡慶次啓 (ヴィッセル神戸アカデミーU-15)

サッカーに関わる仕事を紹介するこのコーナー。今回はヴィッセル神戸アカデミーのトレーナーとして後進の育成に従事する渡慶次氏にご登場いただきました。理学療法士としてサッカー界に新たな風を吹き込むべく奮闘する、氏の活動に迫ります。

CASE トレーナー(ヴィッセル神戸アカデミーU-15)

メディカル業務を主に、選手のコンディショニングを管理

──渡慶次さんは沖縄のご出身とのことですが、サッカー歴から教えてください。

「小学1年生から始めました。中学では県大会ベスト4、高校は県予選ベスト16が最高成績でした。ポジションはFWかサイドハーフ。攻撃的なポジションで、サッカー漬けの毎日でしたね。将来については漠然と『サッカーに関わる仕事がしたい』と考えていました。そこで友人からJAPANサッカーカレッジ(JSC)のことを聞き、高校卒業後は県外に出たい気持ちも強かったので、新潟行きを決めました」

──ヴィッセル神戸での業務内容について教えてください。

「2018年の4月からアカデミーのU-15チームのトレーナーとして働いています。ケガ人が出たときの応急処置や、選手のリハビリをサポートし、提携している病院では、選手と一緒に受診するようにしています。病態の確認や先生と直接情報交換し、今後の方向性について検討します。これらメディカルの業務がメインですが、その他にもボールの個数確認や補充、スクイズボトルやビブスの洗濯で衛生面を保ち、審判・アシスタントコーチに近い業務も行っています」

──幅広く担当されているのですね。

「まだ勤務して半年のため、試行錯誤の繰り返しですが、毎日充実しています。Jクラブのアカデミーなのでエリートの印象が強かったのですが、監督・コーチは道具の管理や人間教育まで厳しく指導されています」

渡慶次さん
トレーニング中、選手のケガの処置にあたる渡慶次氏。リハビリ中の選手に数値で現状を伝え、具体的な指示を与えていた。

JSCではアルビレックス新潟シンガポールに1年間帯同

──JSCで学んだことが今に活きていると感じることは?

「トレーナー専攻科で3年間学び、現場での対応力、コミュニケーション能力を学べたと思います。3年目はアルビレックス新潟シンガポールに帯同しての実習だったため、そこでの1年間で得るものは大きかったと思います。JSC卒業後に一度沖縄に帰り、理学療法士の資格を取得しました。今でこそスポーツ分野の仕事の道筋は広がってきていますが、当時は非常に狭き門でした。だからサッカーを仕事にする夢を諦めた時期もありましたね」

──理学療法士の資格を取ろうと思ったのはどうしてですか?

「今では学校に通い鍼灸師の資格を取得する方も多いと思いますが、当時の僕には資格がなく、このままでは通用しないと思ったからです。国家資格である理学療法士になるには養成校で3年以上学ぶ必要があり、苦労しましたが何とか合格することができました。そこで6年間、沖縄の病院に勤務していたところ、JSCの担任の先生からヴィッセル神戸でのトレーナーのお話しをいただいたんです」

──一度諦めたはずの夢が、巡ってきたわけですね。

「はい。しかし、挑戦するかは正直迷いました。病院で安定した仕事に就けていましたし、一度諦めた道ですからね。ただ、お誘いいただいた先生から『サッカー業界には理学療法士がまだ少ない』ということを聞き、『今の自分にもできることがあるのではないか』と考え、成長ストーリーを思い描くことができたんです。そこで挑戦しようと決めました」

──自ら取得した資格が、再びサッカーの道をつないでくれたようですね。

「ただ、厳しい世界ですからね。どこまで自分がやれるかは分かりませんが、頑張ります。中学年代は一週間単位で飛躍的に成長する世代ですから、それを見るだけでも刺激になります。自分が担当している選手たちが、いずれプロになるのを楽しみにしています」

渡慶次さんから高校生へのアドバイス

「友人はもちろん、先生方も含めた人間関係を大事にしてほしいと思います。ヴィッセル神戸を紹介してくれたJSCの先生と最後に会ったのは8年前のことです。時間が経過してからもお話しをいただけたのは、JSC在学時に良い人間関係を築けていたからこそだと思います」