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高校サッカー指導者が考察するサッカーから得られる「人間力」とは?

高校サッカー指導者が考察するサッカーから得られる「人間力」とは?

トップアスリートに続き「SPODUCATION×footies!」特集第2弾では、高校サッカー指導者の言葉から、サッカーで身につく人間力について考察する。各々の知見から紡がれた格言には、将来に役立つヒントがたくさん詰まっている。高校生活において今一度自分自身を振り返る機会とし、成長への糧としてほしい。

小野貴裕

小野貴裕 関東第一高校サッカー部監督

1980年生まれ。日本大学高校、日本大学を経て、2010年より現職。2015年にはインターハイベスト4の結果を残す。2016年、創部35年目にして同校を高校サッカー選手権初出場、同100回大会ではベスト4に進出。

自己管理能力

自分の人生に対して勇気を持ってほしい

選手にはこちらがどうしたいではなく、ありのままの現状を伝えるようにしています。自分の何が足りていないから、今の状態なのかを気づいてもらう。(高校)3年目はサッカーだけでなく、自分の将来や色んなものを考えたうえで選択をしなくてはいけません。サッカーに対しての勇気というより、自分の人生に対しての勇気を持ち始めてほしい。

コミュニケーション力

上辺だけでなく「自分の言葉」で伝えること

インプットしたものを自分の言葉で、どう表現するかが、社会で生きていく上で必要です。当たり障りのないことを上辺だけ並べても、自分の生きている社会・環境を大きく変える力にはなりません。自分が所属する組織を良い方向に持っていくために何ができるかが重要なのだと教えています。

適応力

個とチームの矛盾で必要になる「選ぶ力」

高校年代では、自分が「正しい」と思っていることが、チームにとって必ずしもイコールにならなくなります。つまり試合でやりたいことと、チームの中で求められるものとに矛盾が出てくる。そこで必要になるのは、シンプルに言うと「選ぶ力」。それができないと、どんなスタイルのサッカーでも満足にプレーできないと思います。


江本 孝

江本 孝 興國高校サッカー部監督

1984年生まれ。多々良学園高校(現・高川学園高校)、福岡大学を卒業後、2007年から福岡大学サッカー部でコーチを務める。2009年高川学園中学校サッカー部監督に就任、2013年より現職。

自律心

選手考案のセットプレーが選手権を沸かせた

(第100回全国高校サッカー選手権大会で話題になったトリッキーなセットプレー“トリメンタ”について)私はセットプレーについてほとんど指導していません。我々が行っている部署制度(※170人の部員が11部署に属しピッチ外で各々の活動を行う)の強化部の学生が中心となり考案しました。選手たちが自発的に考えた方が、指導者から言われて成功するより遥に喜びが大きく自信になります。後輩たちも「じゃあ、自分たちの代ではこんなことしてやろうぜ」と新たな発想が生まれてきます。それがチームの伝統になっていくのです。


内野智章

内野智章 興國高校サッカー部監督

1979年生まれ。堺市立東百舌鳥中学、初芝橋本高校、高知大学卒。05年に興國高校の非常勤講師となり、翌年から体育教員になると同時にサッカー部監督に就任した。近年はコンスタントにJ クラブに選手を送り込んでいる。

適応力

スポーツはルールを守り自分を確立していく

興國高校に来たほとんどの選手は、何かで負ける経験をします。スポーツをやっている人間は、負ける経験がより多いですよね。努力しても結果として報われない経験ができるのは、今の時代は特に大きい。スポーツはルールの中で戦うことになるので、ルールを守る。そして、協調性を保った状態で自分を確立していく。そういった力を社会に出た時に活かせるように、高校で準備ができる環境づくりに取り組んでいます。


藤島崇之

藤島崇之 昌平高校サッカー部監督

1980年生まれ。順天堂大学を卒業後、青森山田中学での指導を経て、2007年に昌平高校サッカー部の監督に。2014年には選手権初出場を果たし、2016年、2018年にインターハイでベスト4入り。

自律心

人は自分で判断しないと動けない

私の習志野高校時代の恩師である本田裕一郎監督(現・国士舘高校テクニカルアドバイザー)の『できない理由をさがさない』という教えに通じることですが、学校という教育現場でいろんな取り組みがある中、いかに興味を持てるかが大事です。人は自分で判断し、自分で動かないかぎり、どうしても動きが重くなります。『やりたいこと』と『やらなくてはいけないこと』がある中で、いかに後者に興味を持てるかが重要です。

自己管理能力

他責ではなく「自分と向き合うこと」の大切さ

自己評価が低い選手が多いと思います。それは自分自身と向き合っていない証拠なんです。自信を持ちすぎてもダメですが、低すぎてもダメ。いいところはいい、悪いところは悪いと、自分で課題を見つけて克服していかなくてはいけません。プロに進むとき、社会に出ていくとき、次のステージに環境が変わったときに、自らを客観視できることは重要です。

自己管理能力

時間の余裕をつくるために人は工夫をする

時間は誰もが平等に与えられるものです。その使い方を意義あるものにするために、選手に考えさせる状況にしたいと思っています。時間的な余裕を作り出すことは本人の工夫次第。そこに『やりたいこと、やるべきこと』のウェイトをどうするかを考えるわけです。効率化ばかりが正解なのではなく、サッカーには時間によって積み重ねられることもあります。勉強もそうです。時間をかけないと分からないことがあり、その中で得られる成功体験が成長につながるんだと思います。


加見成司

加見成司 聖和学園高校サッカー部監督

1972年生まれ。市原緑高校、仙台大学を卒業後、名古屋グランパスに入団。2003年より現職。 創部9年目で、高校サッカー選手権初出場。ドリブルに特化した育成、指導法で知られ、毎年多数の志願者が訪れる。

自己管理能力

「考える力」を持った選手が共通して伸びる

高校年代は大学、社会に出るための通過点。ボールを自由に扱える個人技術も大事ですけど、それ以上に重要なのが普段の生活で身につく「考える力」です。中学生の頃から考える力を養っておくと、高校でも問題を解決できる能力が身につきやすく、グラウンドで発揮する機会もたくさんでてきます。

適応力

ドリブルの技術は本気でやれるかどうかの差

年齢に関わらず、ドリブルはやれば身につく技術です。本気でやれるかどうかの差だけです。ドリブルは大人になった時に、子どもに教えてあげられる大事な技術。高校サッカーで終わってほしくないですから、長くサッカーに携わる部分も含めて、何かを彼らに残してあげられたらいいなと思ってやっています。


谷口哲朗

谷口哲朗 帝京長岡高校サッカー部総監督

1973年生まれ。中学3年までは大阪で過ごし、高校3年間は東京の帝京高校で下宿生活。大阪体育大学へ進学し、卒業後22歳から帝京長岡高校で教鞭をとり、サッカー部監督として同校を全国大会の常連に成長させた。

コミュニケーション力

先輩・後輩の対話が各々の責任感・自覚を促す

(中高一貫指導の良さは)中学生以下は高校のトップ選手が傍にいて目標が明確になり、高校生にとっては見本にならなければいけないという刺激になります。双方が聞く力、伝える力を養うことにつながります。我々はサッカーを材料として、特に高校生には我々も勉強しながら、人間形成の部分を徹底して指導しています。

自律心

選手だけで試合さながらの練習ができる事が理想

(第99回選手権のベスト4進出は)与えられた目標ではなく、選手が自分たちで「頂点を目指すんだ」と目標に向かってまとまって行きました。まさに開拓する力、一歩踏み出す力を実行した。自分達で試合さながらのトレーニングをできる状況がチームの理想なのではないかと思います。


萬場 努

萬場 努 明秀学園日立高校サッカー部監督

1984年生まれ。東海大学付属浦安高校、東海大学、佐川印刷SCでプレー。23歳で明秀学園日立高校サッカー部の監督へ就任。2017年より高校サッカー選手権に3年連続出場。

自律心

サッカーと勉強は相互作用して成長する「文武不岐(ぶんぶふき)」

茨城県には18世期から幕末にかけて水戸藩で成立した学問=水戸学があり「文武不岐(ぶんぶふき)」という言葉があります。学問の中にも武道・スポーツの学びがあり、文武が相互作用して相乗効果となって成長するという考え方です。自立した人間になるためには、自分で考える能力が重要なので、普段から「こうしなさい」ではなく、問いかけるように努めています。


米澤一成

米澤一成 京都橘高校サッカー部監督

1974年生まれ。日本体育大学を卒業後、2001年、京都橘高校にサッカー部が創部されると同時に監督に就任。2012年には初の高校サッカー選手権大会決勝に進出し、準優勝。京都を代表する強豪校に育て上げる。

自己管理能力

目標は通過点に過ぎない

プロになれる可能性がある選手には「プロは目標じゃない」と言います。プロになったら目標を達成してしまうわけですから。そうではなくて、いい選手になることが目標なんだ、そのために何をすればいいのかということを含めて一つ一つ進んでいこう、ということを伝えています。


野村雅之

野村雅之 作陽高校サッカー部総監督

1966年生まれ。筑波大学でプレー。90年に作陽高校に保健体育教諭として赴任し、サッカー部コーチに。99年監督に就任し、2007年、岡山県勢初となる全国高校サッカー選手権大会準優勝に導く。2017年より総監督に就任。

適応力

正攻法だけではない、相手との「駆け引き」を学ぶ

スポーツ指導と学校教育の違いとして、日本の学校教育では、『相手の裏をかく』とか、『抜け目のなさ』など習いませんよね。だけどサッカーは、場合によっては相手をあざむき、ギリギリの駆け引きで試合を有利に進められる能力も求められます。『いじられ上手』は、『いじり上手』になります。あきらめないし、なぜ回されるか、何をしたら相手の裏をかけるか、と考えるからです。

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SPODUCATION

「スポーツ×教育」の観点から、育成、教育、マネジメントに関わるあらゆるすべての人に向け発信している「SPODUCATION」(https://spoducation.jp)。サッカー選手をはじめとしたアスリート、指導者、有識者たちによるセミナーを毎月オンラインで開催中! これらのコンテンツに加え、今後は大学・高校サッカー指導者インタビューや、サッカーに関わる仕事に就いているビジネスパーソンを追う「サッカーの続け方」、さらには大学サッカー進路説明会の告知・募集など、サッカー進路に関わる情報を中心に、高校生にとって役立つコンテンツを随時更新予定!

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  • ❶大学・高校サッカー指導者インタビュー
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