同じミスはもう繰り返さない!失敗の原因を具体的に分析する方法とは!?
元プロサッカー選手で現在はメンタルトレーナーとして活動する山下訓広さんによる連載第20回目。一度ミスをして、次からは同じ事を繰り返さないように意識していても、また同じミスをしてしまう事があると思います。そこで今回のテーマは「失敗の原因を具体的に分析する方法」について解説します。
意識していても同じミスを繰り返してしまうのはなぜ?
「同じミスを繰り返してしまう」
先日、小学6年生の保護者の方からこんなご相談がありました。毎回コーチから同じ注意をされているのに同じミスを繰り返してしまうそうです。実際にお子さんにご意見を聞いてみました。すると、「同じミスをしないように意識してプレーをしているけどまた同じ行動をしてしまう」ということでした。この時メンタル的にどのようなことが起きているのかを解説していきます。
最初にどのようなミスなのかを言語化する
まず、人は意識していることより無意識に行動していることが大半を占めます。同じミスをしないようにと意識しているはずなのに、無意識に体が反応してしまうのです。「同じミスしないようにしないとだめだよ」と問いかけても直らないことが多いのではないかと思います。
大切なのは同じミスが起きている時、どのように行動を変えていかなければいけないのかを具体的にしていくことです。どんなシチュエーションで同じミスが繰り返されているのかを理解していくと、より原因が鮮明になっていきます。そして、ミスが起きた時の状況に合わせて修正していくことができます。
この小学6年生の選手は1対1のディフェンスの際に毎回届かない距離で足を出してしまい相手に抜かれてしまうことが課題だったそうです。では、1対1のシチュエーションはどんな状況でも足を出してしまうのかと聞いてみると、「練習の時は足を出さずに最後までついていける時もあるけど、試合になると足を出して抜かれることが多い気がします」ということでした。
ミスの原因を分析する
この状況を様々な視点から見ていきましょう。まずどんな時に足を出してしまうか聞いてみました。「体力的にきつい時(疲労している時)や、焦っているとつい足を出してしまいます」逆にどんな時に足を出さずついていけるのか聞いてみると、「体力的には余裕がある時は足を出さずに相手についていけます」。ここでわかるのは疲弊している時、また焦りを感じている時に同じミスを繰り返しやすいことがわかります。
体力が減っている時のミスは、体を追い込んだ状況でトレーニングをしていかないと自分の本当の課題が見えてこないということです。ここで体力的にきつい状況で1対1をするとどんなことが起きやすいか聞いてみました。
「いつも通り距離を詰めていくけど、ついていけなくなりそうで足を出してしまう」
どうすれば疲れている時でもついていけそうか聞いてみました。
「疲れていない時より、相手と距離をとればついていけるかもしれない」と自ら解決策を導き出しました。
そこで次から疲弊した状態では、相手と距離をとることを意識してやってみようと行動を整理することができました。
心理的な要因がミスを引き起こす可能性も想定
続いて焦ってしまい足を出してしまう部分です。
何に焦りを感じているか聞いてみると、「抜かれたら周りから『またか』と思われてしまいそうで焦ってしまう。そうするとボールを取らないといけないから足を出してしまう」ということでした。
行動の裏にはこのように感情が隠れていることがあります。彼の場合は、焦りという感情が出てくると無意識に足を出してしまうことがセットになっていました。焦りを感じたことが引き金となり行動に出てしまうのです。こんな時は、焦りという感情を感じた時に具体的にどんな行動をすべきか整理できていると、パフォーマンスを発揮しやすくなります。
1対1でやらなければいけない行動は足を出さずについていくことです。焦りを感じた時こそ足を出さないという行動を意識するようにしました。同じミスをしないということに意識を向けるのではなく、足を出さずについていくという行動に意識を向けることで、焦りが出た状況でもやるべきことが整理できました。
失敗の原因を具体的に分析して成長に繋げよう
その後プレーにどのような影響が出たのか聞いてみると、1対1の場面で同じミスがなくなったということです。お子さんをサポートする際は、抽象的に「同じミスをしないようにしなさい」というのではなく、お子さんと一緒にどんな状況で同じミスが起きているのか具体的に分析していくことが課題解決の糸口となるでしょう。