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中央大学商学部で学ぶスポーツ ・ビジネスの最前線!東京23FCの認知拡大を目指す!

最前線のスポーツ・ビジネスの現場で課題解決に挑む中央大学商学部の活動を追う連載企画第6回。Jリーグ昇格を目指す東京23FCの認知拡大へ向け、コロナ禍ながら彼らが実現した企画の全容とは?

何度も這い上がって掴み取ったプロジェクトの商品化

「大事なことは与えられた環境で何ができたのか。その過程で学生諸君が学びを得られたのなら、今後に発展させてほしい」

中央大学商学部の渡辺岳夫教授は、半年間に及んだ講座の最後の授業をこう結んだ。「スポーツ・ビジネス・チャレンジ演習/実習」は、本来であれば東京23FCのホームゲームを学生が総合プロデュースできる人気講座だが、コロナ禍にある昨年はクラブとホームタウンの江戸川区の認知向上、ファン獲得の施策をオンライン授業中心に行ってきた。立ち上げられたプロジェクトチームは5班。例年のようにクラブへの往来ができない中、認知度拡大に向け各々の班が知恵を絞った。

マーケティング戦略のフレームワークであるSTP分析を行い、具体化に向けて施策を立案。市場のニーズに寄せるほど、クラブ・江戸川区の魅力訴求という目的とはかけ離れていく矛盾にぶつかりながらも、クラブや自治体との相関性を考慮し、渡辺教授の指導の下、計画は練り上げられていった。

 
コロナウイルス感染拡大が本格化した7月までは対面形式にてプロジェクトは進められたが、後半はオンラインでコミュニケーションを重ねていった。

その中で江戸川区の特産品・小松菜をベーグルに落とし込むというユニークな発想のもと、企画の完成度を高めていったのが小松菜2班だ。お菓子のマーケティング開発事業および食品の卸売事業、自社ブランドの開発を行う美多加堂の目に留まり、最終授業では同社の杉田篤信社長への最終プレゼンが行われた。結果、杉田社長のお墨付きを得ることに成功し、「小松菜ベーグル」は商品化されることが決定した。

実はこの最終プレゼンの1週間前、商品の販促・PRにおいて企画書の詰めの甘さを渡辺教授に指摘されていた経緯があった。「勝利の女神は細部に宿る」というが、小松菜2班のメンバーは一週間をかけて指摘された箇所の精度を練り上げ、本番に臨んだのだった。

「誰もが失敗したいと思って失敗しない。でも失敗することの方が多い。人生の栄光は成功することではなく、失敗しても何度でも這い上がることにある」と渡辺教授は言う。たしかに、本来は東京23FCのホームゲーム運営を目的とした講座だ。コロナ禍によってプロジェクトは大きな方向転換を余儀なくされたが、その環境下でも全5班の学生は知恵を絞って任務を全うした。

もちろん、「100に1つ」と言われる確率のお菓子の商品化を掴み取ったことは素晴らしい結果だが、何よりの成果は逆境の中でも立ち止まらずに計画をまい進した5班の姿勢にあったのかもしれない。

 

5班で挑んだ東京23FC・江戸川区の認知拡大の施策

小松菜2班
名産品で江戸川区の課題解決!

 
ベーグルの市場調査で食べ比べを決行!小松菜の苦みはベーグルとなってどのような味のハーモニーを生み出すのか?

地域の名産品である小松菜の豊富な鉄分をベーグルに落とし込んだ商品を開発。出荷量が減少傾向にある名物の認知度を広げ、東京23FCの集客拡大につながる20代~30代の女性ファン獲得を狙う。SNSの活用、メディアへの呼びかけで販促・PR活動も計画。

学生の視点

 関山舞美さん(商学部2年)
 船田恵莉さん(商学部2年)

「小松菜ベーグル」商品化の内諾を掴み取った小松菜2班の中心として活動した二人。株式会社美多加堂の杉田社長からの評価を受け「全員が役割を遂行したからここまで来れた」とリーダーの関山さん。企画力に優れた船田さん等、チームのメンバーの個性を引き出しながらも「本筋から逸れないよう常に客観的な視点を忘れなかった」と言う。その船田さんは「STP分析などマーケティングのフレームワークから商品を考え、特にポジショニング(市場での立ち位置)に苦労したけど、悩んだからこそ企画が明確になっていった」と振り返る。渡辺教授からのアドバイスを真摯に受け止め、ブラッシュアップを重ねて掴み取った商品化。今後は実際に商品開発の過程へ携わっていくことになる。関山さんは「多くの人に買ってもらうにはいかに認識のない人に届けるか。ここからが大変。売れる商品にしていきたいです」と決意を新たにしていた。

小松菜1班
鉄分豊富な低糖質チョコで女性にアピール!

 
小松菜の断面は実はバラ型。この形状がチョコにどう活かされるのか。

小松菜とチョコレートを融合し、低糖質・豊富な鉄分といった素材の成分をアピールし、手軽さ、ダイエット目的など働く女性をメインターゲットとした。小松菜の茎の断面がバラの形状に見えることから、バラ型のチョコにするなど見た目にも工夫が凝らされた。

伝統工芸品班
育てるアクセサリーで“映え”を意識

 
携帯できる吊りしのぶの試作品。アンケート調査ではさまざまな意見が集められた。

伝統的な古典園芸である「吊りしのぶ」をコンセプトに、「育てるアクセサリー」として、“インスタ映え”に敏感な女性層への訴求を狙う。東京23FCのロゴデザインが描かれたカプセルで持ち運びができる試作品をつくり、アンケート調査も行われた。

熟年者班
地元コミュニティとの関係性を構築

 
今まで接点が少なかった江戸川区の熟年者の関心を引き寄せることはできるか?

東京23FCのサポーター層に手薄な熟年者層の参加機会の創出を目的に、江戸川区の高齢者コミュニティ「くすのきクラブ」との交流を企画。東京23FC の選手も参加するイベントやレクリエーション、パンフレットの作成など、長期的な関係を構築すべく、計画が進行中。

学生の視点

 佐々木健人さん(商学部3年)

東京23FCと熟年者コミュニティを結び付けるべく、佐々木さん率いる「熟年者班」は交流イベントの企画・運営に向けて奔走した。佐々木さんは、渡辺教授や東京23FCの原野大輝GMにアドバイスを受けながら「考案したものを調査して根拠を示し発表するプロセスは勉強になった」と振り返る。その成果は就職活動にも活かされ「決められた時間で論理立てて説明する能力が身に付いた」と言う。来年3月に予定しているイベント開催に向けて「熟年者の方たちと東京23FCの交流のきっかけになりたい。最後までやり切りたい」と意気込んだ。

女子サッカー動画班
母親に感謝を伝えるPV制作

 
サッカーとともに歩んだある女性の親への感謝の気持ちを映像で表現する。

子育て世代に向けて、女子サッカーに焦点を当てスポーツの素晴らしさをプロモーション動画で訴求。20歳になった娘が母親に感謝の気持ちを手紙で伝えるストーリーで、サッカー、そして東京23FCの魅力を伝えるべく制作が進められた。

成功は副産物にすぎない

 渡辺岳夫教授

「“小松菜ベーグル”の商品化が決まった小松菜2班は、指摘された部分を分からないままスルーせず、何度も聞きに来て的確に修正してきました。複数回授業にご参加いただいた美多加堂の杉田社長には、そのプロセスの努力、発展性も評価をしていただいたのだと思います。(コロナ禍により講座の目的であるホームゲームのプロデュースが軌道修正されたが)不自由さの中にこそ自由があります。困難な状況でも、その中から自分で動けることを見つけて行動することに意義がある。成功は副産物にすぎないのです。失敗に対して何度も這い上がり耐性を身に付けることがこの講座の醍醐味だと思っています」

写真/中央大学商学部