【中央大学商学部スポーツ・ビジネス・プログラム】世界最先端のサッカービジネスを学ぶということ | サカママ メインコンテンツに移動

【中央大学商学部スポーツ・ビジネス・プログラム】世界最先端のサッカービジネスを学ぶということ

中央大学商学部がドイツプロサッカークラブのフォルトゥナ・デュッセルドルフ(2020/21シーズンはブンデスリーガ2部所属)とカレッジ・パートナーシップを締結。世界のサッカーリーグの中でも眩い成功を収めているドイツに1週間滞在し、クラブ経営の最先端を学ぶ。中央大学商学部のスポーツ・ビジネス・プログラムを構築してきた2人のキーマンにその内容と目的について聞いた。

渡辺岳夫
商学部教授(商学部長)

1968年、東京都出身。中央大学商学部卒業、中央大学大学院商学研究科博士後期課程単位取得。岡山大学経済学部助教授を経て、2000年から中央大学に。2017年から同大学商学部長兼理事を務める。

瀬田元吾
元フォルトゥナ・デュッセルドルフ日本デスク
V・ファーレン長崎執行役員

1981年、東京都出身。筑波大卒業後、関東リーグとJFLでプレーした後、渡独。2005/06シーズンにフォルトゥナ・デュッセルドルフのサテライトでプレー。ケルン体育大学大学院に在籍した後、2008年からフォルトゥナ・デュッセルドルフ日本デスクに。

1週間ドイツに滞在し、世界最高峰のサッカークラブ経営を学ぶ

Jリーグクラブの経営トップ、さらに村井満Jリーグチェアマンら、日本サッカー界のキーマンが講演する「Jリーグ・ビジネス論(明治安田 生命寄付講座)」、そして学生がクラブ経営に参画する「スポーツ・ビジネス・チャレンジ演習 /実習」。中央大学商学部長の渡辺岳夫教授が旗振り役となって、他に類を見ないスポーツ・ビジネス・プログラムを推し進める中央大学商学部が、新たにドイツプロサッカークラブのフォルトゥナ・デュッセルドルフ(2020/21シーズンはブンデスリーガ2部所属)とのカレッジ・パートナーシップを結んだ。渡辺教授によると、今回の締結の実現は、同ビジネス・プログラム立ち上げから関わってきた、元デュッセルドルフ日本デスクの瀬田元吾氏の功績に依るところが大きいという。単身ドイツに渡り、12年間クラブのフロントを務めた同氏から見た日本のサッカービジネスとは?研修の内容、目的、そして今後のスポーツビジネスと学生の関わり方について、渡辺教授とともにお話を伺った。

 

秋学期開講科目「スポーツ・ビジネス・プログラムB2(グローバル・スポーツ・ビジネス・キャリア/GSBC)明治安田生命協賛講座」の受講者10人が、ドイツに1週間滞在する研修プログラム。フォルトゥナ・デュッセルドルフでのクラブ運営を学ぶとともに、市庁舎や、フォルトゥナのユニフォームスポンサーとしてパートナーシップを結ぶ日系スポンサー企業などを訪問する予定だ。

5年かけて辿りついた念願のドイツ研修

-お二人の出会いは?

渡辺 2015年の秋、将来的にサッカーのビジネス・プログラムの構築を考えていた頃に、知人を介して瀬田さんを紹介していただきました。お会いすると、お互いしゃべり出したら止まらない(笑)。瀬田さんは次から次へとアイデアが飛び出し、すごい方だなと。

瀬田 私のように日本の大学を卒業し、ドイツに渡って20代で貧乏暮らしをしながら、一生懸命頑張っている方をたくさん見てきました。彼らは苦学して大学でライセンスを取り、安月給でクラブで働きながらも、30歳前後で不安になり帰国するケースが多く、帰った日本でも能力に見合った評価を得ているとは言い難い。この状況に違和感を持っていた私は、何かお役立てできることはないか、自分の持っているドイツでの知見を、広く日本の皆さんに知ってもらう機会はないか。そう考えていた頃、渡辺教授とお会いさせていただきました。

渡辺 瀬田さんには中央大学企業研究所の客員研究員として、学術論文の執筆を薦めさせていただきました。これは日本サッカー界にとって、有意義なフィードバックになると思ったからです。2014年W杯の優勝によりドイツサッカーの需要が国内で高まっていた中、業界内でも高い評価と多くの反響をいただきました。客員研究員になっていただいて本当に良かったと思っています。

-今回のパートナーシップ契約の経緯、目的は?

渡辺 このスポーツ・ビジネス・プログラムを始める2015年当初から瀬田さんにお願いしていて、長い時間をかけてようやく締結にたどり着きました。今回のドイツ研修は、明治安田生命様のご協力をいただくとともに、商学部の奨学金プログラムが適用できますから、金銭的負担もあまりかかりません。僕が学生時代にこの講座があったら飛びついてますよ(笑)。学生には世界で最も成功しているリーグのクラブ運営を、1週間だけでも現地で見て肌で感じてきてほしいです。日独の一側面だけを見てもらうのでなく、適切な判断基準、いわば物差しを持ってもらい、良い意味で日本のサッカークラブ経営とブンデスとを比較してほしいと思っています。

現地の生の声を聞いてクラブの在り方を再考してもらいたい

 

瀬田 1週間のドイツ研修では、クラブの様々な部署のスタッフに仕事の内容を語ってもらいます。クラブのフィロソフィー、コンセプトに沿った上で、チケッティング、CSR、ホームタウン活動、ユースの育成がなされているかを学んでもらいます。さらにスポンサードしてもらっているデュッセルドルフの日系企業にも伺います。彼らはアジア人・外国企業としてフォルトゥナを支援することで、市民権を得られる喜びを肌で感じていらっしゃる。そういった現地の生の声を学生に聞いてもらうことで、クラブの営業、パートナーシップの在り方を再考してもらえる機会となります。その時、大学1年生で学んだ「Jリーグ・ビジネス論」で地域を大切にしていたクラブ、パートナーさんの意見を取り入れ努力しているクラブの存在を思い返し、自分に合ったクラブを4年生の就職活動に生かせるわけです。そういった熱意を持った優秀な学生がスポーツ界に入っていく。渡辺教授には以前からそういった人材の育成をやっていきましょうと話をしていました。ですから「Jリーグ・ビジネス論」と今回のドイツ研修は、僕にとっても非常に大きな目標でした。

渡辺 昨年から始まった「Jリーグ・ビジネス論」は、その建て付けや人選を含めて、瀬田さんのご意見を色濃く反映した、いわゆる合作みたいなものです。非常に感謝しています。

瀬田 最近は日本の学生から問い合わせを多くいただきます。そこから感じるのは「スポーツをビジネスにしたい」と言う価値観が、学生の中から生まれているということです。日本の多くの大学もその需要に応えるためにスポーツビジネス科など作ってらっしゃると思いますが、学生が求めるWillとWantを明確にしてあげることが重要だと思っています。

-ドイツのスポーツビジネスにおける大学の位置付けとは?

瀬田 ドイツでは大学に進学すると専門職に進み、30歳で大学を卒業する人もたくさんいますよ。その代わりに大学生はインターンのレベルで即戦力で、卒業するとある程度のポジションから高いサラリーで雇われます。ドイツではそれほど大学で勉強することにビジネスとしての意味があります。本来、スポーツビジネスは収益を上げる構造になっていれば、金銭的な面で「情熱」に甘えるのではなく、優秀な人材に対して高いサラリーを支払うべきなんです。そうなれば、日本のスポーツ界も、もっと優秀な人材が集まる業界になるはずです。

-ドイツ研修を経て期待することは?

渡辺 一番大事なのは現地の空気を吸って体感してくること。それがモヤモヤしたものであっても、日本に帰って追体験する事で、フォルムが見えてくることがあるはずです。

瀬田 私は6月末をもって現職から退くのですが(8月1日、V・ファーレン長崎の執行役員に就任)、信頼できる後任へと引き継ぎを済ませています。中大商学部で講座を受けた300人の中から、スポーツビジネスに興味のある人間が実地体験をして、さらにリーダーシップを持ち、面白い視点を持った学生が、今回ドイツに行きます。日本人が流暢なドイツ語で仕事をしている姿を見て、ブンデスの生の声を聞き、試合を見て肌で感じてもらいたいです。これを大学3年生で経験し、学生として限られた残りの時間にどう向き合っていくのか? 語学の習得や資格の取得など、学生時代にできるスキルアップを考えるといいと思います。将来的に日本のスポーツビジネスを変えるような、優秀で熱意を持った学生の参加に期待したいです。

「サッカーを仕事にしたい!」高校生へ伝えたいこと

スポーツだけでなく、
全ての事柄に少しでも目を向けること

サッカー、スポーツに集中し、その道を目指して邁進するのは素晴らしいことです。ただ、私が高校生、そしてその先に大学生になっても考えていてほしい言葉が「Try to know something about everything」と「Try to know everything about something」なんです。全てのことについて何某(なにがし)かを知るということです。ある事柄に深い造詣、専門性があることは大事ですが、それだけでは一つの側面しか見ることができず、物事を相対的に見れなくなってしまいます。世の中で起こっていることを、少しでも知る努力をしてほしいと思います。

需要があるからこそ、
供給するものの価値が高まる

スポーツを仕事にする、生業にすることは本当に大変なことです。ビジネスにおいて、需要があるから供給するものの価値が高まるんです。Jリーグは発足時のバブル崩壊から、地方に根ざした地方創生に方向転換し今があります。高校生の皆さんも「サッカーでビジネスがしたい」と思うのなら、Jリーグが行ってきた働きかけや成り立ちを知る必要があります。そして、若い人たちが新たな需要を引き上げ、新しいビジネスモデルを作り出すことができれば、この国のスポーツはもっと大きな可能性を生むコンテンツになります。

中央大学商学部スポーツ・ビジネス・プログラムの軌跡

 

Jリーグ・ビジネス論
Jリーグのタイトルパートナー明治安田生命保険相互会社の寄付により、Jクラブの経営者、広報・企画責任者が週替わりにサッカービジネスの実務について講演。昨年からスタートし、各クラブの地域特性や、スポンサーの特徴など、同講座でしか知り得ない内容となっている。昨年はJリーグの村井満チェアマンが登壇。
中央大学商学部で学ぶスポーツ・ビジネス・プログラム「Jリーグ・ビジネス論」

 

スポーツ・ビジネス・チャレンジ演習/実習
サッカークラブ運営に学生が参画し、クラブが抱える課題の解決に挑む演習科目。学生が能動的に問題解決を目指し、2015年のスタートから数々の実績を残す。昨年は半年間にわたって東京23FC(関東サッカーリーグ1部)のホームゲーム運営を考案し、集客を含め総合プロデュース。シーズン最多の有料入場者数1,633人を動員した。
中央大学商学部で学ぶスポーツ・ビジネスの最前線!東京23FCホームゲーム運営REPORT