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勝つから良いチーム?負けるから悪いチーム?【大槻邦雄の育成年代の「?」に答えます!】

サカママ読者の皆さま、こんにちは! 大槻です。
すっかり秋の訪れを感じる季節になりました。グラウンドに吹く風が心地良く感じます。

先日、少しずつサッカーに興味を示すようになってきた息子が、「○○のユニフォームが欲しい!」と初めてサッカーグッズを欲しがりました。その際、息子から「このチームはいつも勝つから良いチームだよね!」という質問があったのですが、何を持って『良いチーム』というのか?と考えてしまいました。

特に育成年代については、勝ち負けだけではチームの良し悪しは分かりません。では、育成年代における良いチームとは一体どんなチームのことを言うのでしょうか?

心理的安全性が高いチームとは?

 

良いチームの一つのポイントとして、『心理的安全性』が保たれているか、というのがあると思います。
心理的安全性とは、組織の中で自分の考えや意見を誰に対しても安心して伝えられる状態のことを言います。心理的安全性が維持されている組織では、各々が集中して自分のタスクに取り組むことができ、よりパフォーマンスを発揮しやすい状況になると言われています。

心理的安全性はビジネスシーンで用いられることが多い言葉なのですが、このことはサッカーのチームにもあてはまりそうですよね。では、心理的安全性が保たれている状態とは、具体的にはどんなチームなのでしょうか?

自分自身の存在が認められている

チーム内において、自分の考えが尊重されていると感じたり、プレーの特徴(特にポジティブな部分)をお互いに認め合える状態が理想です。チームの一員として認められていると感じることで、チーム内での居心地も良いものになっていくでしょう。特に育成年代にある子ども達の場合は、指導者の働き掛けによってこのような状態を作り出していくことが大切だと思います。

ミスや問題が起きた時に相談出来る

ミスや問題があった時に相談しやすい環境であることも重要です。試合中のミスだけでなく、練習中にも失敗することがあると思いますが、そのような問題をそのままにせずに、解決策を相談できる環境を作りましょう。チーム内で共有すべきことは共有して、お互いの問題を自分事として捉えることも必要かもしれません。

分からないこと、知らないことを聞きやすい

これはチームと選手の関係だけでなく、チームと保護者の関係においても同様です。分からないこと、知らないことがあった時にアドバイスや知識を与えてくれるという安心感は、お互いにより良い関係性を作り上げることが出来るでしょう。もちろん、質問する側もされる側も、お互いに尊重する姿勢を持つことが大前提です。

心理的安定性が低いチームはどうなる?

では逆に、心理的安全性が低いチームは、どんな状態になってしまうのでしょうか? まず、心理的安全性が低くなる原因としては、4つの不安があると言われています。

①無知だと思われる不安
②無能だと思われる不安
③邪魔をしていると思われる不安
④ネガティブだと思われる不安

これらの不安があるチームでは…

①聞きたいこと、聞かなければならないことがあっても質問が出来ない。
②ミスや問題が起きたときに萎縮してしまい、対応が遅れてしまう。
③自分のプレーが合っているのかを極端に気にしてしまい、自分の判断に自信が持てなくなってしまう。
④チームの和を乱すことに敏感になり、積極的にプレーが出来なくなってしまう。

こんな問題が起きるかもしれません。

心理的安全性が低い状態では、チームよりも自分を守ることを優先してしまうので、各選手が力を発揮できません。その結果として、チームとしてのパフォーマンスも向上していかないでしょう。こう考えると、良いチームの要素として、「心理的安全性」は大きな鍵を握っていそうですね。

心理的安全性の高いチームになるには?

 

それでは、心理的安全性を高めるにはどうすればいいのでしょうか? そのためには、3つのことを認識する必要があります。

まず1つ目は、『サッカーは不確実なことが多く、お互いに助け合わなければならない』ということ。チームの利益のために、一人一人が協力していかなければならないという共通認識が必要です。

2つ目は、『サッカーにミスや失敗は付き物である』ということ。必ず起きるミスや失敗をそのままにせずに、即座に対応する姿勢を持ち、問題解決に向けて自分事として捉える共通認識が必要です。

3つ目は、『自分がチームの役に立っている』ということ。これは指導者による働き掛けが大きく影響します。どんな役割であっても、そこに意味や意義を見出せるような働き掛けが必要になってくるでしょう。各選手がこの認識を持つことが、チーム全体のモチベーションアップに繋がっていくはずです。

周囲の大人が勝ち負けだけに縛られてしまわないように

もちろんチームを運営していく難しさについては認識しているつもりですし、勝負事ですから、試合の勝ち負けは大切です。
しかし、育成年代の子ども達には、サッカーを通してチームの課題や問題に向き合いながらも、その中で自ら考えて前に踏み出す力を養って欲しいと思っています。周囲の大人が勝ち負けだけに縛られてしまい、大きなものを見失わないようにしたいものです。
そのためには、今回紹介したような理想を追及する姿勢が大切だと思うのです。周囲の大人の働き掛けで各選手の心理的安全性が高まれば、チームは良い方向に向かっていきます。目指すべき方向の一つとして参考にしていただけたらと思います。

WRITER PROFILE

 大槻邦雄
大槻邦雄

1979年4月29日、東京都出身。
三菱養和SCジュニアユース~ユースを経て、国士館大学サッカー部へ進む(関東大学リーグ、インカレ、総理大臣杯などで優勝)。卒業後、横河武蔵野FCなどでプレー。選手生活と並行して国士舘大学大学院スポーツシステム研究科修士課程を修了。中学校・高等学校教諭一種免許状を持ち、サッカーをサッカーだけで切り取らずに多角的なアプローチで選手を教育し育てることに定評がある。

BLOG「サッカーのある生活...」も執筆中
★著書「クイズでスポーツがうまくなる 知ってる?サッカー