Jリーガーたちの原点 Special「相馬勇紀(名古屋グランパス)」 | サカママ メインコンテンツに移動

Jリーガーたちの原点 Special「相馬勇紀(名古屋グランパス)」

ジュニア時代のことを深堀りする人気連載「Jリーガーたちの原点」。今回は、東京五輪U-24日本代表にも選ばれた相馬勇紀選手にインタビュー。子どもの頃を振り返りながらサッカーとの関わり方、両親のサポート、そして東京五輪への意気込みなど大いに語ってくれました。

母に練習しろと言われても楽しくないサッカーはしなかった

-まずは、サッカーを始めたきっかけを教えてください。

「幼稚園の頃、仲がよかった友達に誘われて三菱養和調布サッカースクールに入りました。とにかくサッカーが楽しかったですね。小学生になると、布田SCにも所属しました。3、4年生頃から、ブロック大会を勝ち進めば東京都大会に出られるという環境になり、勝負の楽しさ、負けて悔しい気持ちも生まれてきたように思います」

-街クラブの中でも強豪の三菱養和(以下、養和)。スクールからチーム(選手コース)に移るには選考会もありますよね。養和でサッカーをしたいと思った理由は?

「強いチームで、上のレベルでサッカーをしたいと思ったからです。今でも覚えていますが、家族で中華を食べに行った時、自ら選考会を受けたいと両親に話をして。6年生になったタイミングで、チームに移籍できました」

-小学生の頃、ご両親からサッカーについて何か言われてました?

「うちの両親、サッカーのことは全く知らないんですけど、僕が下手だったこともあって、とくに母からは、ああしなさい、こうしなさいと、ずっと言われていました(苦笑)。『リフティングの練習をしなさい』とも、よく言われていたんですけど、反発して、やらなかったです(笑)。友達やチームでやる“好きで楽しいサッカー”はするけど、母に薦められる“楽しくないサッカー”はしない。そんな自分の意思を持ってましたね。でも、振り返ると、自分で意欲を持ってやる時に成長したり、能力が身につくと思うので、自分主導で動くことが大事だったんだと思います。今になって、母は常に僕のことを思って練習しろと言い続けてくれてたと思うので、本当に感謝しています」

これまでのサッカー人生で辞めたいと思ったのは一度だけ

 

-サッカーを続けていく中で「辞めたい」と思ったことってありますか?

「高校2年の頃、何をやっても上手くいかない時期があったんです。そんな中、高円宮杯JFA U-18サッカープレミアリーグの東京ヴェルディユース戦で0対6と大負けして。僕も途中から出たんですけど、自分のパスミスを起点に失点したり、スピードでもドリブルでも抜けない、パスもなかなか通らなかったりと、どんどん悪循環になっていきました。この時、これまでのサッカー人生で唯一、辞めたいと思いました」

-そこから、どう乗り越えたのですか?

「いろいろ考えていく中で『サッカー好きだし、もっと上手くなりたい』という気持ちに気づけたことが大きかったですね。それと、この頃、身長がある程度伸びきったので、体を強くしようと思ってウエイトトレーニングを始めたんです。筋肉がついたことで当たり負けしない体になって、スピードも速くなったりと劇的に変わりました。それがメンタルにも反映されて、常に自信を持ってプレーできるようにもなりましたね」

東京五輪で目指すのは金メダル。攻守においてチームのために戦う

 

-東京五輪U-24日本代表に選ばれた、今の想いは?

「目指すところは、金メダル。それだけしかないと思っています。両親もすごく喜んでくれているので、金メダルを獲って、恩返しをしたいと思います」

-チームの雰囲気はどうですか?

「自分を持っている、意思の強いメンバーが集まっているというのを代表にきて感じています。プレーについて話し合いをする時も、互いに意見を持ちながら、みんな傾聴力があり、伝える力もあるので、擦り合わせがすごく上手いくと感じますね」

-今回、オーバーエイジ枠として3選手が選ばれていますが、相馬選手にとってどのような存在ですか?

「日本のトップで、スタメンで活躍する選手なんだということを肌で感じています。3人とも、1つ1つのプレーの強度が高く、安定感があり、自分自身に とっていい刺激になっていますね。とくに麻也さんは、1つ1つの言葉が的確で、重みがあるんです。経験があるからこその言葉なんだとすごく感じます」

-中でも、遠藤航選手との絡みは多いですよね。

「ピッチ内では、ボランチとサイドハーフという関係でもあるので、動き出しの部分やポジショニングについてなどをよく話し、コミュニケーションもとれています」

-相馬選手ご自身が感じる、チームの中での役割は?

「僕がやらなければいけないと思っているのは、攻守においてチームのために戦うこと。アシストやゴールを目指すだけではなく、自分の特徴のひとつに、守備の1対1もあるので、相手からボールを奪って、走り負けないように戦いたいと思います。フィジカルにも自信があるので、いくら身体能力が高い国の選手であっても、絶対に目の前の相手には負けないという気持ちを大切にやっていきたいと思います」

-コロナ禍でのオリンピックとなり、コンディションを整えるのも大変だと思います。

「そこを調節するのがプロの選手だと思っています。今、いいコンディションですし、夏は体が動く時期でもあるので、プレーのキレなども上がってきていると実感しています。AFCチャンピオンズリーグもあり、連戦が続く時もあるのですが、リカバリーして、コンディションを整えていくことがオリンピックに向けて一番大切だと思っています」

-最後に、サッカーを頑張っている子どもたちへ、メッセージをお願いします。

「プロになった今も、僕はサッカーが楽しいんですよね。ボールを相手から奪う瞬間や、相手をドリブルでかわしたり、ゴールを突き刺したり。それは、養和でサッカーの楽しさを教えてもらったから。楽しければ続くし、上手くなると思います。もう1つ、養和で学んだのは、自分の武器を育てることの大切さです。小学生の頃、足が速いことはそれほど重要ではないと思っていたんですけど、その部分を伸ばし続けていったことで、今、それが武器としてあるんです。だから、小学生の時は、得意なことを伸ばす時間に費やしてほしいと思いますね。

僕はこれまでに後悔はあまりないんですけど、上手くいかなかったり、パフォーマンスがよくなかったと思う時はたくさんあります。でも、それをマイナスに捉えずに、その後につなげて結果を出せば、それはよかったこととして復活するんですよね。僕自身、昨シーズンはコンディションがなかなか上がらず、苦労したこともたくさんありました。でも、今回、東京五輪の代表を獲得できたことで、去年の失敗も上手くいかなかったことも、素晴らしい経験だったと思えますからね。プロになるうえではメンタルが大切です。目の前のことに一喜一憂するのではなく、失敗しても大きな目標に到達する過程の1つだと思って、サッカーを頑張ってほしいですね」

写真提供/名古屋グランパス