【夢を叶えるために】新しいスパイクより、試合の評価より、子どもが欲しいものって?
サカママWEBをご覧の皆様、初めまして!
元なでしこリーガー(女子サッカー選手)の吉野有香(ゆか)と申します。
24歳でサッカーを引退後、独学で勉強、そして自身の経験を生かし、メンタルコーチとして起業しました。コーチング実績は1000人以上。全国でメンタルや夢に関する講演、褒めることに特化したサッカー・フットサル教室などを行っています。
今月からサカママライターとして、コラムを書かせていただくことになりましたので、よろしくお願いします!
さて、2021年スタートということで、今月は「夢」についてお伝えしていきたいと思います。
今まで、たくさんの子どもたちと出会ってきましたが、堂々とみんなの前で夢を語れる子もいれば、夢をうまく言葉に出来ない子もいました。ですが、どんな子も同じだけの可能性を秘めていると私はいつも感じています。
子どもたちが夢を持ち、それに向かって努力する。そのために大人ができることについて考えてみましょう。
夢は「思うこと」から全てが始まる
夢を叶えていく前提として、「当たり前に夢は叶う」と信じることが、まずいちばん大事だと考えています。
才能がないから、足が速くないから、体力がないから、技術がないから・・・様々な言い訳を取っ払い、「できる、できる、できる」と心の底から思うことが、とにかくとても大事です。まず「思う」というところから全ては始まります。
というのも、夢を叶える方法や、目標設定の方法を知り、それらを実践したところで、自分の可能性を信じてあげられなかったら、根本的に向かう方向がずれてしまうからです。
それでは、子どもたちが自分を信じられるようになるために、私たち大人は何をしてあげられるのでしょうか?
キーワードは「安心」です。
私がサッカーに明け暮れた子どもの頃、両親にいちばん求めていたものが「安心」でした。新しいスパイクでも、かっこいいウェアでも、サッカーの知識でも、試合での評価でもなく、ただ「安心」が欲しかったことを鮮明に覚えています。
子どもにとって「安心」とは?
「安心」と言っても、一体どういうことか、ピンと来ない方も多いかと思います。「帰る場所」とでも言い換えましょうか。どんなプレーをしても、どんな結果でも、どんな私でも、受け入れてくれる場所が欲しかったのです。
いちばん怖いのは「否定されること」。自分の選択したプレーを、私のサッカー観を、ただ否定されること。これがいちばん怖かったし、辛かったです。そんな幼少期を思い出すと、今でもとても苦しくなります。
私の家庭は、サッカーに関していうと母が否定するタイプでした。「あれがダメ」「それがダメ」「あの子と比べて全然ダメ」そんなことを言われ続けました。今思えば、それは母の愛情で、もっと上手くなってほしいという強い思いの裏返しだったとわかります。
しかし、まだ小学生の私は、否定されることが怖くて、のびのびしたプレーができなくなってしまった時期もありました。そんな時に「あなたはあなたのやりたいようにやってみたら?」と言われたら、どれほど気持ちが楽になったか。
ハッキリ言ってサッカーに成功はないのです。だから面白いのです。他の子が考えつかないようなプレーができることは、素晴らしいことです。サッカーのプレーは多数決では決まりません。ボールを持った選手が決めるのです。
サッカーに正解を求めたら、個性が消えてしまうのではないでしょうか。子どもたち、一人一人のイメージや視点が違うから、チームが成り立っていき、サッカーが成り立っていくのだと私は思います。
「サッカーがよく分からないから、褒め方が分からない…」というお母さんもいるかもしれませんが、繰り返すようにサッカーに成功はありません。知識がなくても、「よく頑張ったね」「あなたが頑張ってくれて、私も嬉しい」と、そのまま伝えてください。自分が頑張ってことで、誰かが喜んでくれているという実感を与えてあげることが大切で、それが子どもにとっての「安心」に繋がるのです。
子どもを信じることが私たち大人の役割
目標や夢を掲げるのはとてもいいことです。とても素晴らしいことです。しかし、掲げる前に考えて欲しいこと。子どもたちは安心してプレーできていますか? 大人が与える安心感は、子どもたちの可能性を無限に広げていきます。
簡単にできることではありません。だけど、子どもたちも、一生懸命に目の前のボールを追っています。日々成長しようと、努力を続けています。大人の私たちも、負けじと子どもたちに「安心」を与えられるよう、今日から少しずつ意識することから始めてみませんか?
まずは「思うこと」。子どもの将来を信じる。曇りなく、信じることです。
これが全てのスタートだと、私は思います。