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教えて!カントク!府ロクジュニアユース(東京都)高山有史監督

「中学サッカー進路」について、サカママからの疑問に監督が答えます。ただ上手さだけを追求するのではなく、サッカーを通した人間教育の大切さについて、耳を傾けてみてください。

府ロクジュニアユース
(東京都)
高山有史監督

中学年代のサッカー進路はいつ頃から考えるべきでしょうか?

常に先のカテゴリー(中学サッカー)を考えておくことは、小学生のうちから必要だ考えています。最近の傾向では、6年生の夏頃からセレクションや練習会を行うクラブチームが増えてきているため、その時期には明確な方向性を持つことができているといいと思います。

とはいっても、一度しかない小学生年代、まずはしっかりと自分のチームの練習や試合に仲間と一生懸命に励んでほしいです。そうして成長していけば、中学サッカーでの可能性も大きく広がっていくと思います。

クラブチームにおける中学の部活動との違い、部活動と比較したクラブチームの良さとは何でしょうか?

3つの良さがあると考えています。

1つ目は、「いろいろな仲間ができること」です。中学の部活動では、その学区で出会う仲間は限られてきます。クラブチームではさまざまな地域から選手が集まり、子どものコミュニティが広がっていきます。もちろん中学校での仲間もいるので、いろいろな仲間ができるのです。多くの人との関わりは子どもを成長させます。

2つ目は、「切磋琢磨できる環境があること」です。中学の部活ではレベルに関係なく選手が入ってきます。クラブチームではセレクションが行われます。ある一定のレベルに達した選手たちが同じ志をもって集まります。互いにレギュラーを争い、日々の練習から競争が存在します。お互いに競争し、高め合う、そんな切磋琢磨できる環境がクラブチームにはあります。

3つ目は、やはり「指導者」にあります。中学の部活では、先生の異動もありずっと同じ学校にいるとは限りません。顧問の先生が専門外のこともあります。クラブチームには、サッカーの指導のスキルを身につけた指導者がいます。GK専門のコーチやトレーナーがいるチームだってあります。選手の成長のためには、指導者の存在は非常に大きくなってきます。そういった存在の指導者がしっかりといることが、「クラブチームの一番の良さ」かもしれません。

中学年代の育成について、大切なことは何だとお考えですか?

大切なことは2つあると考えています。

1つ目は「個々に目を向けた指導をする」ことです。大きく分けて小学年代をゴールデンエイジ、中学年代をポストゴールデンエイジと言います。ゴールデンエイジでは技術がすぐ身につきます。ポストゴールデンエイジでは、思春期にみられる急激な身長の伸びにより、バランスを崩しやすくなる、できていたことができなくなってしまう時期(Clumsy:クラムジー)となります。その反面、筋肉の量が増えてくる、スタミナ(心肺機能)が伸びるといった時期でもあります。中学年代を見ると、発達段階に大きな差(同じ学年に20cm近く身長に差がある、など)があり、同じ練習の中で同じように教えていくことは効果的ではありません。

もちろんチームとして同じ練習を行っていく事はありますが、その中で子どもの発達段階を理解し、把握して指導していくことが大切となります。特に思春期では、自我が芽生え始め、親など周りの大人と距離を取りたがります(反抗期ですね)。子どもたちのそれぞれに合わせてしっかりと会話をしながら日々の活動をしていくことも必要なことであると考えます。

2つ目は「それぞれの子どもの可能性を信じて育成する」ことです。先ほど1つ目でお話ししたように、中学年代と一言にまとめてもゴールデンエイジの子どももいれば、ポストゴールデンエイジの子どももいます。中学1年生の時には目立たなかった子どもが、中学3年生でレギュラーとして試合に出て高校でも活躍している、なんてことがあるのです。実際に私のチームでもそのような事は良くあり、「いい意味で期待を裏切られた」なんて思うことがよくあります。うまくいく日もうまくいかない日も、勝つ日も負ける日もありますが、全ての子どもたちに可能性があることを信じて育成に当たることが大切であると考えています。

クラブチームでの活動と学業は両立できるでしょうか?

「両立できる」と考えています。もちろん両立することは大変なことです。サッカーの世界は厳しい競争の世界です。プロになれる選手は一握りです。高校進学や将来のことも考えると、学業をおろそかにしていけないことは明白です。クラブチームは部活とは違い、学校が終わり家に帰り、家から数十分かかるグラウンドまで通う必要があります。平日はナイターでの練習がほとんどです。帰る時間は遅くなります。勉強する時間がないように思うでしょう。学校から帰ってすぐ勉強する、行き帰りの電車の中で勉強する、練習がオフの日に勉強するなど、時間は作ろうとすればいくらでも作れるのです。

中学の部活動に所属していても、クラブチームに所属していても、すべては子ども自身の努力にあります。もちろん、クラブチームがサッカーだけやっていればいいと考えているわけではありません。毎学期に成績表を提出させ面談をさせるチームもあり、クラブチームにおいても、学業との両立を大事なこととして取り組んでいるチームもあります。

中学年代の保護者のサポートについて、どういったことが大切か、また保護者はお子さんとどう向き合うことが大事だとお考えでしょうか?

中学年代の保護者のサポートについては2つ大切なことがあると考えています。

1つ目は、「自立」のためのサポートをすることが大切です。サッカーはピッチの中で自ら考え、決断を下していくスポーツです。もちろん保護者のサポートなしではまだまだ難しい年代ではありますが、日常生活からできること(たとえば朝自分で起きる、サッカーの荷物の準備をする、など)を子ども自身にやらせることです。そのなかで、時に失敗することもあるとは思いますが、そうやって自分で考え自分で行動して、成功や失敗をしていくことが子どもの成長につながります。子どもから少し距離を取り、温かく見守るサポートが自立へ向かっていくと考えています。

2つ目は、子どもが安心できるようにサポートすることです。選手である以上、時にうまくいかないことがあり、弱音を吐くこともあるでしょう。仲間やチームや指導者の愚痴をこぼすこともあるでしょう。そこで保護者も同じように批判の言葉を発してしまうと、選手は今いる環境に不信感を持つことになります。そういった気持ちでは思いっきりプレーすることはできません。サッカーのことはそのチーム(指導者や選手たち)に任せ、子どもが全力でプレーできるように背中を押してあげることが大切だと考えます。

「どう向き合うか」については大事なことは一つだと考えます。「選手(子ども)を尊重すること」です。「Players First」とも言われます。練習や試合を見ていて、「なんでそんなことできないんだ!」と思うこともあるかもしれません。しかし、そこで保護者が口を出してはいけません。コートの中は選手のもの、プレーするのは選手たちです。良い時も悪い時も応援してあげることが大切です。子どもたちは私たちが想像を超えた可能性を持っています。子どもたちを周りの大人が信じて、向き合っていくことが大事であると考えています。

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