【フィジカルトレーニング ~vol.04~】上半身の強化と肩胛骨周辺の柔軟性
上半身の強化と肩胛骨周辺の柔軟性
サッカーは下半身だけでなく全身を使って行うスポーツである。
速く走るには腕の振りが重要。そのポイントとなる肩胛骨周りの柔軟性を養う。
サッカーは下半身だけを使うのではなく、全身運動である。日頃から日本人選手を見ていて感じるのは、姿勢が悪く、上半身をうまく使うことができていないこと。例えば、DFの間をかき分けるように突破できる選手はほとんどいない。だが、世界に目を向ければ、メッシにしてもアザールにしてもC・ロナウドにしても、腕を巧みに使い相手を抜き去っている。実は、爆発的なスピードやボディーバランスにおいては、下半身だけでなく、上半身の強化は欠かせない。また、肩胛骨周りの関節に柔軟性がなければ、鍛えた筋肉をうまく使うこともできないのだ。それだけに今 回は、上半身の筋肉を活かす肩胛骨周りの柔軟性をテーマにトレーニングメニューを紹介する。実際にトレーニングを見ている岡崎慎司や宮市亮、前田遼一も実践しているメニューだけに、取り組んでもらいたい。
TRAINING1
両腕を水平に左右へ振る動き
20回×2セット
肩胛骨周辺の筋肉を動かすことで可動領域を広げ、柔軟性をもたらす。正しい姿勢を保った状態から、両腕を広げた状態で水平に後ろまで思いきって振る。後ろから見た写真でも分かるように、後ろで手拍子できるくらいに力強く動かす。身体がぐらぐらすることなく姿勢をキープした 状態でこの動きを繰り返す。
後ろから見た動き
体幹を保持して正しい姿勢から、前に伸ばした両腕を勢いよく広げて、水平に後ろまで思いきり振る。後ろまで広げた手がくっついたら、また戻す。この動きを、リズムよく20回を目安に繰り返す。後ろまで広げたとき、腕が肩と同じ高さになるように動かそう。
TRAINING2
両腕を上下に振りしならせる動き
20回×2セット
走るとき、両腕を振ることでスピードは増す。言い換えれば、腕を振ることができなければ速く走ることはできない。特に肩周辺は球関節のため360度動かせるようにしなければならず、両腕を上下に振り、大きくしならせることで柔軟性を養う。手を後ろまで振ったときは、まるで猿のようにしならせる。
前から見た動き
正しい姿勢を保ち、手の力は抜く。そこから片手を上に振り上げ、もう片手は下に振り下ろそう。強く動かすことがポイント。また、後ろまで到達したときには、猿のように手がしなっていることが重要。肘が曲がる傾向にあるが伸ばして、肩周りを意識しよう。
TRAINING3
肩胛骨を意識して両腕をぐるぐる回す
前後10回×2セット
トレーニング1や2と同じ原理ではあるが、両腕をぐるぐる回すことで肩胛骨周辺の柔軟性を養う。両腕が後ろにいったときに、身体が堅いと真横にしかいかないが、後ろから見た写真のように、なるべく後ろ側にくるように意識して回そう。肘を伸ばし、手は少し高い位置をつかむようなイメージを持つこと。
後ろから見た動き
両腕を同時にぐるぐると回す動きを繰り返す。最初に構えて両腕を上げたとき、伸ばした肘が自分の耳より後ろになっている状態からスタートする。また、伸ばした腕は少し高いところをつかむような意識を持とう。前回しが終わったら、後ろ回しも行う。