トヨタとJFAの挑戦 巡回指導による地方創生【サッカーを仕事にするということ】
株式会社トヨタマーケティングジャパン メディア・総括室 コーポレートメッセージグループ
石田典子
―就職から現職までの経緯は?
数々のスポーツ協賛に携わった
「高卒で当時のトヨタ自動車販売(1982年にトヨタ自動車工業と合併し現在のトヨタ自動車株式会社へ)に就職したのが始まりです。先生に勧められての入社でしたが、自販機の会社と思っていたくらいです(笑)。そこで配属されたのが販売拡張部、今でいう宣伝部でした。東京モーターショーの他には、サッカーや野球、ゴルフ、テニス、箱根駅伝等のスポーツ協賛のイベントに携わり、サッカーではトヨタカップ(インターコンチネンタルカップ)は第8回から、2014年のFIFAクラブワールドカップまで関わり、トヨタチャレンジカ ップも担当していました」
―現職での主な業務は?
JYDとの取り組みに尽力
「今年の5月、日本サッカーの継続的な普及や次世代選手の育成促進 を目的とした『JFA Youth & Development Programme(JYD)』と弊社がパートナーシップ契約を締結しました。そこに至るまでに、弊社としてどんな取り組みができるのかを、幾度も協議してきました。そこでJFA の方にお話を伺っているなかで、キッズ巡回指導をされているお話を聞いた時に『これだ!』と思いました。昨年よりトヨタでは全国の販売店による地域貢献を推進する施策を行っていて、今回のJYDとの取り組みに、親和性と大きな可能性を感じたんです。そこから実現までにはさまざまなハードルがありましたが(笑)、最終的に全国の販売店を中心に未就学児童を対象とした「サッカー巡回指導」の支援、活動に弊社が関わらせていただくことにつながったんです」
―具体的な活動内容は?
トヨタスタッフによる巡回指導
「未就学児のスポーツ活動の推進を目的に行っている『JFAキッズプロジェクト』の活動に弊社が参画させていただく形になります。まず、トヨタの全国の各販売店、共販店、レンタリース店のスタッフが「JFA 公認キッズリーダー」のライセンスを取得します。そして各都道府県のサッカー協会と連携しながら、地域の幼稚園・保育園等に対してサッカーの指導を行いながら、身体を動かすことの楽しさを教えていきます」
―ライセンスの取得方法は?
各地域のサッカー協会による講習会への参加
「各都道府県のサッカー協会(FA)とトヨタの販売店とで講習会の日時の調整と場所を決めます。そこで未就学児童との接し方や指導方法についての座学を1時間半行い、後半には実際にボールを扱った実技を1時間半行います。計3時間の講習を受け、キッズリーダーのライセンスが発行されます」
―取り組みの今後について
販売店100社以上の参加
「今年の5月に全国のトヨタ販売店376社に参加案内を出し、東京、栃木、熊本ではほぼ全社が参加しています。現在トヨタスタッフのライセンス取得者は100人を超えています。100社の参加を目標としていますが、これが達成されればキッズリーダーのライセンス取得者は一定数まで拡大し、より地域ごとの結びつきを深めていけると期待しています」
―巡回指導に望むこと
地域の触れ合いと出会いの機会であってほしい
「全国の販売店の方たちに、まずはどれだけ笑顔があふれて、楽しい空間であるか、巡回指導の現場を見て、感じてほしいです。キッズリーダーには子どもたちから『コーチ』と呼んでもらうようにしています。何度も幼稚園に足を運ぶことで、“コーチ”のいるお店に家族で来てくれるかもしれない。そんな出会いの機会になれば素晴らしいことですよね」
サッカー巡回指導で使用されるボールやビブスにはトヨタが掲げる企業ビジョン「WHAT WOWS YOU.」(この世界のすべての心にWOWをつくろう)が記されている。
―高校生にメッセージを
トヨタの販売店に就職してぜひ一緒に活動しましょう!
「すでにトヨタの販売店の10%以上が参加しています。今サッカーを全力でプレーしているみなさんに、ぜひトヨタの販売店に就職していただきたいと思います。業務としてサッカー指導を行えますし、未来を担う子どもたちの成長に貢献することは、すごくやりがいになると思います。この取り組みは始まったばかりですが、トヨタとして『地域で愛される販売店になる』という理念を実現できる大きな機会と捉えています。ぜひ、みなさんにも参加いただき、サッカーを通じて地域社会を元気にする活動を行っていきましょう!」
石田さんが取得したJFA公認キッズリーダ ーライセンスの修了証。全国のトヨタスタ ッフが一人でも多くこれを取得することで、サッカーの未来はもっと豊かになる。
喜びの1ページ
子どもの笑顔を見て自然と涙があふれてきた
「巡回指導の現場を初めて視察した時、サッカーに興じる子どもたちの笑顔を見た時に鳥肌が立ちました。夢中になって無邪気にボールを追いかける姿を見ていたら、自然と涙があふれてきました。販売店の方もみんなが笑顔になっている光景を見ると嬉しくなります。こうして、子どもの未来を育む仕事をできていることは幸せだなと思いますね」