メインコンテンツに移動
マルチスポーツはなぜ良いのか? 複数のスポーツをするメリット<後編>

マルチスポーツはなぜ良いのか? 複数のスポーツをするメリット<後編>

サカママコラムをご覧の皆さま、こんにちは。先月から引き続き、今月もマルチスポーツをテーマにコラムを書かせていただこうと思います。

複数のスポーツをする子の親にヒアリング

マルチスポーツとは、幼い頃にさまざまなスポーツを行ったほうが良いとする考え方です。

<前編>では、マルチスポーツのメリットについて考えてみました。今回は、サッカー以外のスポーツ経験がある子の親に、サッカーにどんなプラスの影響があったと感じているかヒアリングをし、情報をまとめてみました。おかげさまで、11種目ものスポーツについて話を聞くことができました!

親の話に加え、実際に子どもたちがどんな個性的な身体能力を身につけているのか、幼い頃から成長を見ている私が勝手に分析(笑)。スポーツによってそれぞれどんな能力が伸びる可能性があるのか、まとめてみました。

質問! 「他のスポーツをやっていた経験はサッカーに生かされている?」

野球

・空間認知能力が高まる
ボールとの距離感覚が研ぎ澄まされ、ハイボールやロングボールへの対応、トラップが上手。落下地点に入るのがうまい!

・キーパースキルが身につく
野球経験者はボールを正面で受けとめる感覚に長け、ボールへの反応や飛びつきも速い。自然とキーパーができる子が多い。

・チームプレイや声出しの意識が高まる
野球はサッカー以上によりチームプレイという考え方が強く、声出しも指導されるそう。プレイ中に自然と声が出るし、仲間を鼓舞する声掛けも上手。

バスケ

・攻撃のアイデアが豊富になる
パスワークや1VS1などの動きで、サッカーだけでは思いつかないような自由なアイデアを感じる。

・瞬発的な動きが得意になる
クイックネス(俊敏性)といって、瞬間的にパワーを伴ってあらゆる方向へ素早く動く能力が伸びる。躍動感がある。

ラグビー

・体の入れ方がうまくなる
相手への体の寄せ方、体の当て方などが上達するので、ディフェンス力が増す。

・サッカーにも通じる判断力が身につく
状況判断、空間の使い方、チームプレイなど丁寧に教えてもらえるので、サッカーにも通じる判断力が養われる。戦術的なこともたくさん教えてもらえるらしい。

陸上

チームメイトと公園で陸上の出張レッスン

・走りに自信が持てる
フォームが整い、走ることへの苦手意識がなくなる。

・持久力やスピードがつく
厳しい試合でも最後まで走りぬけるタフさが身につく。

水泳

・体のバランスが良くなる
同じ力で左右の手足を動かして泳ぐため、体の左右差が減りバランスが整う。

・心肺機能がアップして体が強くなる
苦しい時間帯でもハードに動き続けることができる。低学年のうちは風邪をひきやすく呼吸器官も弱かったのが、プールを続けたことで体が強くなった!

体操

・跳躍力が高まる
裸足で飛んだり跳ねたりを繰り返すことで、全身のバネが鍛えられる。コーナーキックに合わせる動きで、ジャンプや体のひねりで無理が効くのは体操のおかげ。

・柔軟性が増す
体操の前後にしっかりと柔軟体操をするのがありがたく、全身の関節の可動域が広がる。

空手

・キック力がつく
足の振りが速くなる。ミートする感覚も研ぎ澄まされるかも。

・礼儀作法が身につく
挨拶や道具を大切にすることを教えてもらえるのは良かった。サッカーでも、コーチから挨拶などをよく褒められた。

スキー

・重心をコントロールできるようになる
自分の体の軸や重心をとらえるのが上手になり、バランス感覚が高まる。重心を低く構えられる。

・下半身が強化される
下半身のあらゆる筋肉が鍛えられ、また股関節の可動域も広がる。瞬発力につながる。

パルクール

・転び方がうまく、ケガ予防になる
サッカーで倒されたり勢い余って転んだりしても、肩からゴロン! と回転してケガをしない。受け身が上手。

・腕の力の使い方が上手になる
手や全身を使って壁を押して跳んだりするので、腕の力が強く、相手との接触プレイでも上手に腕を使えている。

ランバイクレース

・運動能力が総合的に上がる
サッカーに限らずどんなスポーツにも応用できる基本的な運動能力やスタミナを身につけることができる。

・瞬時にスペースを見分ける能力が身につく
どのスペースから相手を追い抜くかを瞬時に判断する力が養われる。

・メンタルが強化される
レースという勝敗がつく勝負を繰り返すことにより、メンタル面が鍛えられる。全国各地で大会に参加し、各地のライバルと交流することによってたくましく育つ。

チアリーディング

・柔軟性が高まる
元々体が硬かったのに、今では開脚もできて体が柔らかくなった!

・ドリブルに独特のリズムが出せる
チアのダンスの要素は、ドリブルのときに独特のリズムが生まれることにつながるらしい。

習い事以外でも取り入れられるその他の運動

サッカー前に公園で野球ごっこ

サッカー以外のスポーツを習わせたいと思っているけれど、「送迎が大変」とか「時間がない!」など、さまざまな理由でマルチスポーツは無理だと思っているサカママもいらっしゃるのではないでしょうか。たしかに「習い事」として考えたら親の負担が発生します。でも、もっと柔軟に考えてみるとどうでしょうか? 例えば、サッカーの練習を始める前のアップとして陸上トレーニングを取り入れたり、ダンスを取り入れたり、という工夫をしているケースもあるようですよ。

何よりいい方法だなと感じるのは、遊びの中で体を動かすことです。練習前後や練習がお休みの日にみんなで公園に行けば、サッカー少年たちは全力で遊び倒します。鬼ごっこ、かくれんぼ、キックベースボール、缶蹴り、ドッヂボール、リレー遊びなど。観察していると、これはもう十分スポーツだと思えるくらい、子どもたちは縦横無尽に走り回り、思いっきり体を動かします。危なっかしさもありますが、サッカーとは違う動きがいっぱいで「マルチスポーツは遊びの中で取り入れています!」と言っても過言ではないと感じるほどです。

また、親は遊びに介入しないので、子どもたちだけでどんどんアイデアを出し合ってルールを決めて自由に遊んでいるのも、素晴らしい時間だなと思います。「遊ぶ時間があったらサッカーの練習をしろ!」なんて言わずに、たくさん外遊びの機会を作ってあげられるといいですよね。

マルチスポーツで経験を広げよう

今回のコラムを書くにあたり質問に答えてくれたサカママさんたち、本当にありがとうございました! おかげさまで、これだけ多くのスポーツについて書くことができました。皆さんから話を聞いて、マルチスポーツの大切さは既に周知のもの、スタンダードになりつつあるのかなと思いました。これから先、何かサッカー以外にもスポーツを始めてみようかなと思っているサカママさんの参考になれば幸いです。

ついサッカーのことばかりになりがちですが、幅広い経験が心技体を充実させてくれることを忘れずに、親子で視野を広げていきたいとあらためて思いました。今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございました。

WRITER PROFILE

まりこ
まりこ

臨床心理士/公認心理師/食育指導士
13歳と9歳のサッカー兄弟のサカママ。サカママ歴12年。
長男はおっとりマイペースに地域の街クラブでサッカーを楽しみ、次男は強烈な負けず嫌いを活かし強豪クラブで切磋琢磨。心理の専門知識が役立った経験を踏まえ、実体験や失敗も絡めながら情報を発信していきたいと思います。

Pick Up

soccer MAMA vol.51 発行のお知らせ

soccer MAMA vol.51(2024年秋号)を発行しました!
今号の特集は「スポーツ事故から子どもを守る!」。
子どもたちが日々頑張っているサッカー。ときに、一歩間違うと大きな事故につながってしまう場合も。そこで今号では、サッカー中に起こりうるスポーツ事故について特集します。
子どもたちが楽しくサッカーが続けられるよう、もしものときに備えて正しい知識を身につけておこう。

豪華賞品が当たる!サカママvol.51 読者プレゼント

「仙骨クッション 仙律」「4WAYマザーズリュック」「ハウス オブ ローゼ ボディケアセット」「パリサク かつおふりかけ 海鮮バター醤油味」など、サカママ、サッカーキッズに嬉しい賞品を揃えました!
たくさんのご応募お待ちしております。

実録!ジュニアユースセレクション~合格から入団以降の流れと注意点

小学6年生世代にとってはジュニアユースのセレクションもいよいよ佳境に入っていると思います。
そこで今回はクラブチームのセレクションに受かった後のスケジュールや注意点などを経験を踏まえてお伝えしていきます。