【黄金世代への道 パリ五輪世代特集PART02】川﨑颯太(京都サンガF.C./U-23日本代表)
22歳にしてJ1・京都サンガF.C.の主将を務める川﨑颯太。高校時代からレベルの高い環境に身を置き、ひたむきに努力を重ねSAMURAI BLUE入りを果たすなど選手として成長するだけでなく、2024年3月まで大学生として勉強にも励む文武両道を体現している。プロとして成長を続ける彼の日々の取り組みや、より上を目指していくうえで意識していることを伺った。
ハイレベルな環境での努力で手繰り寄せたトップ昇格
──高校年代にトレーニングを含めてオンザピッチで心掛けていたことを教えてください。
「とりあえず1対1とかデュエルでは絶対に負けないことです。僕は甲府から高校進学のタイミングで京都に来たんですけど、1つ上には今チームメイトの(福岡)慎平くんや上月壮一郎くん(現ポーランド・グールニク・ザブジェ)のように年代別日本代表にずっと選ばれている素晴らしい選手ばかりでした。そういう選手と1対1とかデュエルの練習をしたことで、球際では負けない力が伸びていったかなと思います」
──その当時心掛けていたことが今の川﨑選手のベースになっていると考えていますか?
「そうですね。年上の人だろうがガツッと行って、ビビらずにそこで取り切るというところを京都ですごく伸ばせたからこそ、自分はここで生きられるかなというふうに思えています。そういうコツコツした努力を経て、みんなの信頼を掴んだり自信を持てるようになりました」
──高3でプロ契約が決まったとき最初に感じたことはどんなことでしたか?
「決まったときは純粋にびっくりしましたね。同期昇格の山田楓喜選手(現東京ヴェルディ)はずっとトップの練習に参加していましたけど、僕は高3になってからやっと参加したぐらいだったので、正直望みは薄いのかなと思っていました。だからこそあまり意識せずに高円宮プレミアリーグを戦えましたし、のびのびと思い切ったプレーで良かったのかなと思いつつ、びっくりが大きかったですね」
身体のケアや大学生活プロとの両立から得られたモノ
──今、チーム練習以外で個人的に取り組んでいることはありますか?
「チーム練習後の筋トレもそうですし、あとは食事にもすごく気を使うようになりました。奥さんも勉強してくれているのでとても助かっています」
──身体のケアはどうですか? 結婚前後で変わりましたか?
「結婚するまで自分1人で全てやっていたことを助けてもらえるようになりました。自分がもちろんやることもありますけれども、分担できているので自分のケアに使える時間も増えたと思いますし、すごくありがたいなと思います」
──川﨑選手の場合、とくに注目を集めたのは大学生活と両立されたことだと思います(2024年3月に立命館大学を卒業)。学業との両立は大変だったのでは?
「そうですね、親は親元を離れるんだったらやっぱり勉強もしっかりするところじゃないと駄目だという感じでした。立命館宇治高校も京都サンガも非常にレベルの高いところだったので、親も理解してくれたし自分も高いレベルでやりたいというのもあってそこが決め手になったと思います」
───4年間の大学生活で、勉強面で得られたことはどんなことでしょうか?
「産業社会学部でスポーツ社会専攻というスポーツと社会を結ぶ勉強をしていたので、クラブはどうやって成り立っているかとか、スポーツビジネスを通して自分たち(リーガー)が今どうやってご飯を食べられているのかも分かって面白かったですね。地域に支えられているということを学べたので、それがファンサービスなど、地域の活動へのモチベーションにつながっているかなと思います」
──大学での友人関係はいかがでしたか?サッカーと関係ない人もいたと思いますが?
「同じクラスにはガンバ大阪のサポーターがいたりとか(笑)、逆にちょっと面白かったですね、いろんなチームの話ができて」
自分が決めたことを覚悟を持ってやり切ってほしい
──将来的に“上”を目指す部分では、どういう目標を掲げていますか?
「どのクラブにいても、海外にいても『皆さんの心に残る選手になりたい』ということを一番に考えています。チームを上位に行かせるとか、点を取るというような記録も大事ですが、やっぱりサッカー選手は応援してくれる人や見てくれる人たちがいないと成り立ちません。そういう面でいうと、自分のピッチ内外の言動やファンサービスなどの行動も含めて、サポーターの皆さんや子どもたちに良い影響を与える、そういう心に残る選手になりたいなというのが一番ですね」
──読者のサッカーをやっている高校生たちに伝えたいことはどんなことでしょうか?
「何か自分が決めたことをやり切ってほしいと思っています。自分の場合はサッカーと勉強をどちらも頑張ると決めたので最後までやりましたが、毎日朝練をやるとか、筋トレを朝早く起きてやるとか、そういうことを3年間愚直に続けてきた人がプロになっていると感じます。そういう面でいうと、何か自分の覚悟とか、決意したことを簡単に折れてしまう人はプロになれないと思うので、何か一つでもいいから自分が決めたことを3年間、あるいは残りの生活で続けるという覚悟を持ってやり切るということをしてほしいと思いますね」
インタビュー・文/貞永晃二