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文武両道は、なぜ大切?

文武両道は、なぜ大切?

子どもにとって「文武両道」が大事な理由を知っていますか?勉強とスポーツを経験することの意味をひもときながら、文武両道の子どもに育てるためのヒントをご紹介。

文武両道は“生きていくための武器”を見つける最良の手段

子どもたちが、スポーツや勉強をしている理由はなんでしょうか?プロサッカー選手になりたい、お医者さんになりたいなど、夢や目標を目指してはいるのですが、要は「identity(アイデンティティ)」を得るためなのです。identity(アイデンティティ)をかみ砕いて言うと「自分が何が得意かを理解し、人生をどう生きたいかをつかむ」ということです。勉強とスポーツの両方を経験することで、自分の得意技を知り、将来につながる目標が見えてくるのです。

そのため、文武両道は目的ではなく手段だということ。子どもの可能性や夢中になれること、そしていつか親離れをし、自分の人生を生きていくための武器を見つけるための最良の手段が文武両道だと言えるでしょう。そして自分の武器がわかっていれば、社会に出た時に自信を持つことにもつながるのです。

また、身体と脳の発達はリンクしているため、身体が成長している間は、勉強だけ、またはスポーツだけに偏ってしまうと成長にとってマイナスに。身体と脳の発達のためにも、文武両道は大切なのです。

部活動はモチベーションを維持する手助けに

スポーツと勉強を両立するには、モチベーションを維持することが重要です。低学年のうちは、親からの褒め言葉で子どものモチベーションは上がるものの、小学5年生あたりからは単純な褒め言葉では通用しなくなってしまいます。そのため、親御さんの力だけでなく、3つの存在が子どものモチベーション維持の助けになります。

一つは「同じ目標を持つ仲間」。思春期になると、親に褒められるよりも友達に「すごいね!」と言われるほうが影響を受けるようになるからです。二つ目は「お手本にしたい先輩」。この人をお手本にしたいという存在ができると目標も明確に。そして三つ目が「応援してくれる親や先生」です。

実は、部活動では、これら3つの存在を得ることができるのです。同じ目標を共有する仲間とのレギュラー争いなどを通してチームワークが身に付き、お手本となる先輩からは上下関係や社会生活で必要となることを学んだり、部活の先生や監督が目標を示してくれることもあるでしょう。また、後輩たちに教えることは、自身の能力を伸ばすことにもつながります。

進路は親が選択肢を増やし、子ども自身が決断すること

勉強は個人プレーですが、受験はチームプレーです。受験勉強のモチベーションを持ち続けるには、周囲の存在が大きいからです。共に苦労を経験し、一緒に乗り越えてきた部活などの仲間は、フラットな関係であり、双方を気兼ねなく補えるものです。また、「チームメイトのあいつには負けたくない。あいつも頑張っているから僕(私)も頑張らないと」といったように、仲の良い関係の中にある競争意識が、受験勉強のモチベーション維持にもなるはずです。

これから迎える中学サッカー進路で何を選ぶにせよ、親ができることは選択肢を増やしてあげること。そして、決断をするのは子ども自身です。そうしないと、モチベーションを継続できなくなってしまうのです。

サッカーと勉強の両立のためにサカママができるコト

親は「どうせ」というレッテルを剥がすこと

「親が運動神経がないから、どうせスポーツは無理だろう」「どうせ私の子だから勉強は…」などと思っていませんか? 親が「どうせ」というレッテルを貼ってしまうと、子どもの可能性ややる気を潰してしまいます。文武両道の子どもに育てるために、まずは親が「どうせ」というレッテルを剥がすこと。

中々上達しない「潜伏期間」は辛抱強く

高学年以上になると、努力をしていても中々上達しない・結果がでない「潜伏期間」がやってきます。挫折しないためにも、この期間は諦めずに辛抱することが重要。P6で記した仲間や先輩、先生、親の存在が諦めない環境をつくり、潜伏期間の子どもの支えになるのです。

プロの試合を観に行こう

どの分野でも、本物には人の心を動かすパワーがあり、本物に触れることで、子どものやる気につながります。ですので、サッカージュニアたちをスタジアムに連れて行き、プロの試合をたくさん見せてあげましょう。生で実物を感じることほど、子どもたちを刺激することはないのです。

子どものノートをチェックしよう!

日々、子どもをよく観察し、何が得意で、どんな時に集中するのかを知っておくことが大切。手っ取り早く観察するには、子どものノートを毎日チェックするといいでしょう。日々ノートを見ていると、筆圧や筆跡から子どもの心理状態がわかるように。ただし、思春期になるとランドセルを勝手に開けると大炎上してしまうので要注意。

低学年のうちは単純な言葉でたくさん褒める

子どもは「できたことを褒められる」の繰り返しが、「上達したい」というモチベーションにつながっていきます。それが低学年のうちはより顕著ですので、「すごいね!」「さすが!」「えらいね!」など、勉強、スポーツにおいて、たくさん褒めてあげましょう。

文武両道にとって読書は一石二鳥

サッカーをするうえで大切な「動体視力(動くものを見る視力)」。動体視力の向上には、たくさん読書をして、なるべく速く読むことを習慣にするといいでしょう。本を読めば、学力の向上にもつながるため、読書は文武両道にとって一石二鳥の方法なのです。

モチベーションには不安や復活がある

個人差があるものの、モチベーションには浮き沈みのサイクルがあります。沈んでいる時、子どもは不安になっているので、微々たることでも「成長している」といった声をかけてあげることが大事。その際、「ドリブルが前より速くなっている」など、子ども自身の成長にフォーカスするような言葉をかけてあげると不安が解消され、モチベーションの復活に。

時間の使い方は「753(しちごさん)の法則」を参考に

「753の法則」とは、1日24時間のうち、睡眠や食事、入浴など生理的に必要な9時間を引いた残りの15時間を、勉強に7時間、スポーツ(部活)に5時間、フリーに3時間を分配するというもの。勉強時間には学校の授業も含み、スポーツの時間には移動や身体のメンテナンスなども含みます。小・中学生の場合は、生理的な時間が12時間程必要になるので、勉強6時間、スポーツに3時間、フリーに3時間という分配に。文武両道には、時間をいかに上手く使うかがポイントです。


参考/浜田一志「東大野球部式 文と武を両立させる育て方」(かんき出版)