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熱中症対策のクーリング・アイシングを目的別に解説

クーリング・アイシングを目的別に解説

みなさん、こんにちは。スポーツナースの山村です。
朝夕はずいぶん涼しくなりましたが、日中はまだ熱中症の警戒が必要な暑さです。以前(スポーツ現場でも行われる熱中症対策「クーリング」とは?)に熱中症で少し触れた【クーリング】と【アイシング】についてお話しします。

クーリングとは、上昇しすぎた温度を下げる事が目的です。それに対し、アイシングの目的は腫れや内出血を最小限に抑えることや痛みを軽減させることになります。このようにクーリングとアイシングという言葉を使い分けすることもありますが、冷やすという点では同じことから、現場では【アイシング】という言葉を使う事が多いみたいです。そこでクーリング・アイシングを使い分けてではなく目的別に解説致します。

ケガをした際の処置の場合

ケガをした際に、損傷部位を最小限に抑えるための応急処置方法「RICE処置」があります。RICEとはRest(安静)・Icing(冷却)・Compression(圧迫)・Elevation(患部挙上)の4つの処置の頭文字を取って名付けられています。患部の出血や腫脹、疼痛を防ぐことを目的とし、スポーツなど外傷の緊急処置の基本となります。

最近は安静だけでは受傷部位の保護ができないため、Protect(保護)を入れたPRICE処置や、必要以上の固定や安静が悪影響を及ぼすことなどからRest(安静)をOptimal Loading(至適負荷)に置き換えたPOLICE処置に移行してきています。

ここでのIcing(冷却)は患部の毛細血管が収縮し、痛みや腫れ・内出血などが抑えられます。時間は患部を20分程度冷やします。その間に冷たくてチクチクするような痛みが出て、感覚がなくなってくれば氷を外します。その後にまた冷やす処置を繰り返します。
※この処置はあくまで医療機関受診までの応急処置であるため、病院受診をしてください。

 

疲労回復をする場合

1日に試合が何試合もある場合や、連日の練習等がある場合に翌日まで疲れを残さないようにする場合などにも行われます。運動によって上昇しすぎた筋肉の温度を適正値まで下げることで、疲労回復や筋肉痛の軽減になります。ただし注意しなくてはいけないのが、温度を下げすぎると逆効果にもなりますので、冷却する時間は5分程度が目安です。それまでに皮膚の感覚がなくなるような場合には中止してください。もちろん、疲労回復には睡眠・食事なども重要です。このほかに、熱中症対策でお伝えした体温上昇を抑える目的のものがあります。

アイシング用の氷の作り方

氷を氷嚢に入れての処置もありますが、衛生面などからビニール袋を使用する事もあります。ビニール袋に氷を入れて空気を抜きます(吸って空気を抜きます)。この際、空気を抜く前になるべく氷が平になるようにしておくと、部位に合わせやすいです。またこの氷を袋に入れる前に水で流す事で角が取れますよ。

 

クーリング・アイシングを使い分けずに目的別で解説しましたが、いかがでしたでしょうか?夏が終わって秋本番に入ってきていますが、まだ暑い日が続きますので、お子さんや保護者の方も熱中症には気をつけてスポーツを楽しみましょう。


※本記事は、看護師としての経験や知識をもとに書かれているものです。
熱中症が疑われた場合は、必ず専門の医療機関をご受診ください。

WRITER PROFILE

山村麻衣子
山村麻衣子

シングルマザーとして3人の子育てをしながら、救命センターで看護師として働き、スポーツナースとしても活動しています。末っ子は高校サッカーで全国を目指し奮闘中です。万が一が起きている現場にいるからこそ、スポーツの現場でも安全や予防の必要性を感じているので、コラムではメディカル目線のサポート情報などを中心にお届けしていきます。

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