【東京五輪サッカーPoint】駒野友一選手が解説!U-24日本代表の見どころ
東京五輪でメダルが期待されているU-24日本代表。気になるU-24日本代表の強みや見どころ、予選を突破するためのポイントを、アテネオリンピック出場経験を持つ元日本代表の駒野友一選手にお聞きしました。
U-24日本代表はディフェンスラインが堅いので、1点取ることができれば、どの試合も勝てると思います。金メダルを獲ってほしいですね!
海外組が最多の9人! 1対1に強い選手が揃っている
U-24日本代表に選ばれたメンバーには、オランダやスペイン、イタリアなど海外でプレーする選手が9人も選ばれています。彼らは、外国選手との試合に慣れているので、自信を持って普段通りのプレーが発揮できるのではないでしょうか。また、オーバーエイジ3選手を含め、1対1の場面で相手を押さえることができる選手も揃っています。日本の特徴である、集団で守って攻めるサッカーができれば、どんなチームからも得点が取れるはずです。
What’s オーバーエイジ?
東京五輪サッカー男子は年齢制限があり、出場できるのは原則24歳以下。ただし、25歳以上の選手をオーバーエイジ枠として、最大3人まで選出できます。U-24日本代表には、吉田麻也選手、酒井宏樹選手、遠藤航選手がメンバーに。
どこからでも攻めることができるのがU-24日本代表のストロングポイント
個が強い選手が揃っているので、個人でも打開できるとは思うのですが、『個人+チーム』で崩せることができれば、相手チームはどこを守ればいいのかがより難しくなるはずです。今のチームは、左、右、真ん中と、どこからでも攻めることができるので、いろいろなバリエーションで攻撃すれば、得点チャンスも多く作れると思いますね。人数をかけて攻めても、後ろには1対1で守れる選手が揃っていますし、相手が攻めに出ようとした瞬間に、そこを挫く強さも持っていると思います。
金メダルを獲るには初戦の「南アフリカ戦」が重要
私自身の経験からも、短期決戦のオリンピックでは、とにかく初戦が重要です。予選リーグの初戦で勝つことができれば、その後の試合のプレッシャーもかなり減りますからね。初戦の相手である南アフリカに勝利して勝ち点3を取ること、最低でも引き分けて勝ち点1を取ることが、金メダル獲得のカギを握ると思います。
日本のサッカーに近い「メキシコ」は手強い相手に
日本が予選リーグで戦うのは、南アフリカ、フランス、メキシコ。中でもメキシコは、とにかく走って、迫力のあるチーム。見ていると楽しさはあるものの、日本に近いサッカーをしてくるので、手強いチームだと思います。
吉田麻也と冨安健洋のディフェンスラインは最強
吉田選手は、長らく日本代表の中心選手であり、ヨーロッパでの試合経験も豊富。各国のフォワードと対戦しているので、その特徴もつかめているでしょう。そんな吉田選手とディフェンスラインでコンビを組むのが冨安選手。吉田選手と同じイタリアでプレーし、フィジカルが強く、スピードもあります。2人の連携によるディフェンスラインの安定感も、U-24日本代表の強みですね。
チームメイトだった冨安選手の印象は?
アビスパ福岡時代にチームメイトだった冨安選手。当時は、高校3年生でしたが、高校生でこれだけサッカーに熱心な選手はいないと思うほど。サッカーをやるために1日24時間考えている感じでしたね。物おじせず、攻撃を組み立てることができる選手だと思います。
右サイドの打開力もポイント!堂安律と久保建英
海外チームの多くは中を固めてくるので、外側から攻めていくことが必要になってきます。共に左利きで、ボールのキープ力が高く、シュートセンスもある堂安選手と久保選手は、一人でも打開することができると思いますが、コンビネーションをみせれば、より大きな武器に。2人が右サイドからポジションを入れ替えつつボールをキープし、得意なカタチに持っていければ、多くの攻撃の起点が生まれるはずです。
ミドルシュートにも期待!攻守に渡って活躍する遠藤航
U-24日本代表のメンバーの中でも、私がとくに注目しているのは遠藤選手。ドイツでもデュエル勝利数(1対1の状況での勝利数)1位を獲得するほど球際に強いですからね。相手のコートでボールを奪い取って日本の攻めに変えたり、中盤で相手が嫌がる位置に入ってボールを受け、前線につないでいくなど、積極的なプレーをみせてくれると思います。ミドルシュートにも期待!
裏への抜け出しからチャンスを作るFWの上田綺世
上田選手は、ボールキープ、シュートの技術も高く、世界と戦っても負けないフィジカルも持っているストライカーです。ディフェンダーとの駆け引きの繰り返しから裏へ抜け出して、パスを引き出すプレーにも注目を。
番外編 東京五輪サッカー親子で観戦する時の秘訣!
❶同じポジションの選手に注目しよう
子どもたちは、自分と同じポジションの選手に注目して、トラップの仕方やボールを持った時にどんな動きをするのかなどをチェックしよう。サッカーにとって、見て学ぶことも重要です。
❷「こんな時はどうする?」という会話を
親御さんは「こういう場面ではどうする?」「ここではどうしたらよかったと思う?」など、試合を見ながら、子どもに質問するといいでしょう。考えることでサッカー力アップに。
❸どの選手が得点するかをクイズに
試合が始まる前に、どの選手が得点を決めるか? というクイズを行うのもオススメです。そうすれば、より楽しみながら試合観戦でき、子どもたちも最後まで試合を見るはずです。
COLUMN アテネオリンピックは、世界との差を知った大会でした
2004年アテネオリンピックの前年に、ひざの靭帯を切る大ケガをしてしまい、間に合うかどうかの厳しい状況でした。でも、トレーナーをはじめ、いろいろな方の手助けがあり、なんとかオリンピックメンバーに選ばれてよかったという思いでしたね。リハビリをする中で、焦りやモヤモヤした気持ちもあったのですが、すべて嬉しさにかわりました。
オリンピックは、初戦で負けて苦しいスタートとなり、個人的にもそれほど出場時間がなく、最後はケガをして大会を終えたので、苦い思い出ではあります。けれど、23歳の時に、日本と世界との差がわかり、現状を知ることができたことで、次へのステップにつながりました。4年に一度の世界にアピールできる大会なので、選手たちにとってチャンスとなる大会だと思います。
写真/Getty Images