流通経済大学サッカー部 中野雄二監督「 サッカー選手としての衣・食・住」という考え方 | サカママ メインコンテンツに移動
 

流通経済大学サッカー部 中野雄二監督「 サッカー選手としての衣・食・住」という考え方

グラウンドが使用できず、チーム練習もままならない。そんな時に「今、考えるべきこと」は、基本に立ち返り、自分のカラダに向き合うことなのではないだろうか。1998年の監督就任以来、流通経済大を業界を代表する強豪校へと押し上げた中野監督に、サッカー選手のライフスタイルの考え方について伺った。

 

流通経済大学サッカー部

トップチーム以外にJFL 所属の「流経大ドラゴンズ龍ヶ崎」、社会人リーグの「流経大FC」があり、多くの選手に出場機会が与えられている。全国屈指の練習施設を誇り、20年で90人以上のプロ選手を輩出。

生活の基本ができずにサッカーの成功はない

-中野監督は以前からチームづくりにおいてコンディションニングの重要性を語っていますね。

「コンディショニングというと『試合に臨む上での体調』など、限定的な捉え方をしてしまいがちです。しかし、僕はそうではなく日々の生活習慣と捉えた方がわかりやすいと思っています。幸い、ウチのサッカー部は全寮制なので、同じ志を持った仲間と助け合って、目標を目指せる環境があります。僕がこの大学の監督として、コンディショニングで最も大事にしたのは『衣・食・住』なんです」

-生活する上で最も基本的なことですね。

「そうです。まず『食』について。もう17年、朝と晩は僕と家内が寮で食事を作っています。今も毎朝5時に起きて5時半には厨房に入ってますよ。うちの家内は厳しいから、僕が仕事の関係から食材を紹介してもほとんど採用してくれません(笑)。食事に関しては妻の下で徹底されています。次に『住』に関してですが、ウチでは選手がどれだけトレーニングの負荷をかけていて、どれだけ睡眠をとるべきかを把握しています。人間は熟睡する時間を多くとるから、体調を維持することができるわけです。今の若い子は日付が変わる前に寝ている選手は少ないですからね」

-たしかに1人で普段の生活をコントロールするのは難しいことですね。

「 だから18年前に全寮制に踏み切ったことで、ウチのサッカー部は強くなりました。栄養、休養、トレーニングの正三角形はスポーツ選手にとっての原点ですから。当時はヤンチャな選手も多かったですから、半ば強制的にそこはハード面を整えました。『衣』に関しても、プロ選手は寒い時にカラダが冷えないように心がけたり、余計に汗をかかないようにと徹底していますよね。でも学生は例えば寒い遠征先でもハーフパンツで冬のジャケットを着ているわけです。『お前、上は冬で下は夏だな』って注意してますよ(笑)。プロになりたいと言っても、学生はまだまだ甘い。これら根本的なところをセルフコントロールできずに、上のレベルの話はできないわけです」

日頃の準備ができてない選手はケガのリスクも高い

-生活そのものがコンディショニングなんだと。

「だから一夜漬けじゃないんですよ。試合の前だけコンディショニングを整えて、試合でパフォーマンスを発揮できますか? ドイツ、スペイン、ブラジルはそれぞれ特徴があるように、生活スタイル、つまり文化がサッカーに現れるのです」

-遠征ではどうされているのですか?

「 公式戦では全試合、常に前泊しています。コンディションとしてもマネージメントとしても、公式戦で当日移動はありえないと思っています。そこの質を高めないで、サッカーの質の向上は望めないと思います。反対に練習試合であれば当日にバスでの長距離移動もしていますよ。常に良い条件でしかできないようでは、強い精神力は養えないですから。バランスが難しいところですけどね」

-生活を徹底できている選手とそうでない選手は試合でもわかる?

「分かりますよ。こればっかりは誤魔化しができない。日頃の準備が整っていない選手はケガのリスクが高く、病気に対する抵抗力が低い。栄養バランスをしっかり摂って、睡眠がとれている選手とは差が出るのは当たり前ですよね」

この時間を基礎から考え直す時間にしたらいい

-特に意識の高かった選手はいますか?

「プロになった選手は総じて意識は高かったですよ。流経大のOBはプロでも息の長い選手が多い。20歳前後で食生活をしっかりできていた選手は習慣化できているという証拠でしょう。その競技において、本質がわかった上でカラダを作っていくのは時間のかかる作業なんです。逆にJリーガーになっても、ウチにいる時にコンディショニングの意識が低かった選手はケガをしがちです。アクシデントもあり一概には言えませんが、傾向としてはありますよね」

-上のレベルに行くほど生活サイクルが大事になるわけですね。

「そう、全部自分に跳ね返ってくる。しかし、プロになっても日本代表になっても、いつかはプレーヤーとしてのサッカーを辞める日が来るわけです。その意味ではコンディショニングは生きている間、ずっと付き合っていく自身の健康管理なわけです」

-今は日本全体でチームで練習ができなくなったり、満足に外で練習することもままならない事態となっています。

「学生も手洗いやうがいに対して、これまで以上に気をつけるようになりました。つまりこれを機に、コンディショニングも基礎から考え直す良いきっかけとすればいいのではないでしょうか。原点に立ち返り、生活のバランスを見つめ直す。そして再びサッカーを思いきりプレーできる日までの、大切な時間と捉えてほしいと思います」