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3度目のスペインサッカー留学へ ~16日間たった1人で個人留学に挑戦〜

3度目のスペインサッカー留学へ ~16日間たった1人で個人留学に挑戦〜

皆さまこんにちは!
前回のコラムでは次男の「KAIHAN CUP 2025」での様子をお話しさせていただきました。

あれから2カ月。
5月にもう一度、次男がスペイン・バルセロナへ3度目のサッカー留学に旅立ちました。

3月に訪れたバレンシア遠征からわずか2カ月でのスペイン留学でしたが、今回は団体での留学ではなく、個人での留学になります。これは次男の希望により以前から検討していたことでした。たまたまその前にKAIHAN CUPに参加することになったので、急遽このタイミングでの留学になりました。

小さい頃から海外サッカーへの興味がとても強かった次男。Jリーグより、プレミアリーグ(イングランド)やラ・リーガ(スペイン)、ブンデスリーガ(ドイツ)、リーグ・アン(フランス)などなど、海外サッカーばかり観ていました。

いつか海外でプレーしたいという気持ちが強く、2年生でスペインに行ってからもう一度行きたい! と話していました。

もっと海外の選手とサッカーをしてみたい、スペインサッカーを肌で感じてもっとうまくなりたいという彼の強い想いと、中学・高校になるとなかなか行けなくなるという思いもあり、いつかいつかと先延ばしして成長のチャンスを失うより今、チャレンジしたい気持ちを尊重することにしました。

友達もいない、たった1人でのスペイン挑戦

今回の留学は、以前からスペインの個人留学について相談していた方にお願いしました。
滞在期間は16日間。本当は1カ月くらいお願いしたかったのですが、日本での公式戦や運動会などもあり、半月の滞在となりました。

今までのスペイン留学は日本からチームを作って団体で行っていたので、練習や生活全般を日本人の仲間と過ごしていました。

今回は今までと違い、完全に個人での留学

当初は行きも帰りも、保護者も誰も同伴無く1人で飛行機に乗る予定(保護者無しで国際線に乗る場合のアナカンサービスを付けて行く)だったので、乗り継ぎもして無事に辿り着けるのか不安でした。

ところが、同じタイミングで中学1年生の子がお母様と一緒に留学に行かれるとのことで、羽田空港から一緒に乗ってくれたので、1人でスペインまで大丈夫かなと心配していた私はとても心強かったです。現地では日本食を作ってくださって、体調を崩さず滞在できたのもそのお母様のサポートのお陰でした。

RCDエスパニョールのユニフォームを着てテンションUP

無事にスペインに到着し、最初はRCDエスパニョール(スペイン1部・過去に中村俊輔氏が所属)の練習に参加させてもらいました。

スペイン人の中に日本人1人ポンっと入った状態でも、ワクワクが勝った次男。
皆大きくて足も長かったようですが、次男もエスパニョールのユニフォームを着られたことが嬉しかったようでテンションが上がり、ゴールを決めてノリノリ! とても楽しく過ごし、早速友達もできたようでした(日本語が分からないスペイン人なのでどうやって友達になったのかは謎ですが)。

翌日はエスパニョールスクール選抜での試合に参加させていただき、トップ下をやらせてもらったようでした。前後半で25分ずつ、次男だけフル出場! そこでもゴールを決めて気持ちの良いスタートを切ることができました。

今回の留学では、月曜日〜金曜日まではエスパニョールと1部の強豪クラブの2チームの練習(U-11AとU-12B)に参加し、土曜日はエスパニョールスクール選抜に混ざって試合に参加、日曜日はオフ。
平日の日中はビーチトレーニングなどなど、盛りだくさんなスケジュールでした。

とにかくスペインでのサッカーが楽しくて仕方ない! とテンション上げ上げの次男。
次に行った1部強豪クラブの練習で、見事に打ちのめされることになりました。

「何もできなかった…」初めて聞いた次男の言葉

週明けの月曜日。1部強豪クラブチームで初めての練習参加。

アテンドの方から、ここのAチームはかなり強いよと聞いていました。
練習ではU-11のAチームに入れてもらったものの、日本とはまるで違うスピード感、球際の強さ、そしてプレッシャーの激しさ。ミニゲームですら“本気”で、公式戦のような気迫がぶつかり合う世界に、完全に圧倒されたそうです。

「何もできなかった」――そう電話で漏らした言葉。私はその言葉を聞けて良かった、と思いました。

最初の2日間、調子が良く何となくできていたことに満足してほしくなかったからです。

身体能力も戦術理解度も何もかもレベルが違う子たちが集まり、練習でも本気でボールを奪いに来る。キーパーも大きく手足も長く、シュートが得意な次男がいつものコースで打っても入らない。

そもそも監督が何を言っているのか、仲間が自分にどうしてほしいのか、何も分からなかったと。
帰り道、アテンドの方にもとても悔しそうに話していたようでした。

これまでのサッカー人生で、次男の口から「何もできなかった」という言葉が出たこと自体が初めてで、スペインの強い子たちの集まりとはいえ同世代に対してこの気持ちになれたこと、素直にそう思えたこと、とても良い経験だなと思いました。

その後、次男は落ち込むどころか、帰ってから寮にいる長期留学のお兄さんたちにスペイン語を教えてもらったり、ポジショニングや動き方、声のかけ方、そしてスペインの子たちの“戦う姿勢”を一つひとつ吸収しようと必死に食らいついていました(普段進んで勉強をするタイプではないので、スペイン語を覚えようとしていたことに驚きました)。

この日の次男のサッカーノートには「何もできなかったけど、楽しかった。次はみんなよりうまくなる」と書いてありました。

最後の練習試合でゴール!! コーチや仲間からの熱い抱擁と次男のとびっきりの笑顔

バルセロナでの時間はあっという間に過ぎていきました。

平日のビーチトレーニングも結構きつかったようでしたが、高校生のお兄さんたちと朝から頑張ってトレーニングを続けていたようです。

あれから強豪クラブチームの練習にも何度か参加し、徐々に自分らしいプレーができる時間も増えていきました。

そして迎えた強豪クラブチームの練習最終日。

練習中もたくさん声を出し、すっかり仲間とも打ち解けた様子の次男。
練習にもついていけたようで、ミニゲームではアシストしたり、最後には逆転ゴールも決めることができました!

私が何よりも嬉しかったのは、ゴールを決めた後にコーチや仲間たちが駆け寄ってくれて、ハグをしてくれたことです。

初日“何もできなかった”彼が、スペインの仲間に認められ、共に喜びを分かち合っている姿を見て、私は思わず涙してしまいました。

落ち込んでも切り替えて、自分ができることをする。次男の心の強さに感心しました。

最後の練習後の次男のサッカーノートにはゴールを決めて嬉しかったこと、コーチやみんながハグしに来てくれたことなど、この日の練習での出来事がたくさん書いてあり、最後に「終わった後みんなにあいさつをした。ちょっと悲しかった。」と書いてありました。

バルセロナショップで購入した大好きなレヴァンドフスキのユニフォームを着て応援!

FCバルセロナの優勝セレモニーと、スーパースターを生で見た特別な時間

今回の留学では、もう一つ特別な経験がありました。

当初は予定していなかったのですが、FCバルセロナ(スペイン1部)がリーグ優勝を決めたことを知り、急遽「FCバルセロナvsビジャレアルCF」の試合チケットを手配。
バルセロナの本拠地カンプ・ノウスタジアムは大規模改修中でしたが、その試合の後には優勝セレモニーも開催されるとあり、親としては高額なチケットに迷いつつ、なかなか優勝セレモニーを見る機会も無いし…と購入。

レヴァンドフスキやヤマルなど、いつもテレビで見ていたスーパースター選手のプレーを間近で見ることができ、大興奮の次男!

試合後は「ヤマルがすごかった…!! 」と、優勝セレモニーよりヤマルのすごさばかり興奮気味に語っていました笑

その後、バルセロナのミュージアムツアーも楽しみ、会場の熱気やスーパースターたちのプレーを目の当たりにできたことは、息子にとってかけがえのない宝物になったようです。

留学中に唯一出した“宿題“

今回の留学で、唯一私が持たせた“宿題”があります。
それは「毎日、日記を書くこと」
少し迷いましたが、学校の宿題は持たせませんでした。たった16日。日本のことは忘れて、スペインでの生活を思いきり味わってほしかったからです。

「その日あったことや感じたこと、サッカー以外のことでもいい。どんな些細なことでもいいから、毎日欠かさず日記を書いてね」と、ノートを一冊だけ渡しました。

後から見せてくれたそのノートには、スペインと日本のサッカーの違い、嬉しかったこと、悔しかったこと、スペイン人の友達ができたこと、ビーチトレーニングのこと、スペインで食べた美味しかったもの、観光して楽しかったこと、バルセロナの試合を観て感じたこと…などなど、次男がスペインで過ごした日々が、飾らない言葉で綴られていました。

この16日間で、スペイン人の友達もでき、本当にたくさんのかけがえのない経験ができたんだなぁと感じました。

留学中には、長期滞在しているお兄さんたちと仲良くなり、食事の席や移動中も面倒を見てもらったそうです。スペイン語を少し教えてもらったり、学校や現地での過ごし方を聞いたり、年上の仲間と過ごすなかで得られた人とのつながりも、大きな財産となりました。

次男が経験したすべてが、これからの人生の糧になりました。
あっという間の16日間だったようで、アテンドの方からは「日本に帰りたくないって言ってるよ(笑)」と言われました。

「もっともっとうまくなって、また絶対スペインに行く!」

帰国後の次男は、現地で覚えたスペイン語を私に教えてくれたりと、なんだかとても逞しく見えました。

今回の経験で分かった次男の「コミュニケーション能力」

これまでたくさんの留学生を受け入れているアテンドの方から、帰国前日に電話を頂き、滞在中の次男の様子を教えてくれました。
次男はかなりコミュニケーション能力が高いようで、寮でもずーーーっと喋っていると言われました(笑)

練習でも言葉が分からなくても気にせず声を出していたようで、仲間のDFに対して「寄せろ!」と言っても通じないので「アタック! アタック!」などと叫んでいたそうです。また、自分からコミュニケーションを取ろうとしていたようで、仲間の名前を憶えて練習中にたくさん呼んだりしていたようでした。
そのお陰もあり、試合中に次男がゴールすると、仲間のスペイン人たちが口々に「NAOKI~! NAOKI~!」と名前を呼んでくれている声が送られてきた動画で聞こえました。

寮の長期留学生の間でも次男の話題が出たりしていたようで、お兄さんたちがとても仲良くしてくれて買い物や生活面でもたくさんお世話をしてもらい、本当に感謝でした。
次男のスペイン生活での武勇伝(笑)をたくさん聞いた後、最後に「やんちゃでうるさいけど、面白いやつ! 海外向きだね!」と言われ、「大変、大変お世話になりました」とスマホ片手に深々とお辞儀をした母でした(笑)

ちなみに・・次男がいない半月、我が家はとっても静かでした(笑)

子どもの夢を応援するためにできること

サカパパ、サカママとして私たち親ができることは限られています。
海外に行きたいからといって何でもかんでもお金を出せばいいというわけでもないですし、逆に心配だからと制限しすぎると成長のチャンスを逃してしまいます。

サッカーばかりにお金をかけていられませんし、将来のためには勉強も大切です。

もちろん、いつか必要であれば親としてできる応援はしたいとは思っていますし、今後も海外へのチャレンジができる機会があったり、どうしてもやりたいことがあるなら、自分自身が必死になって日々の努力を継続し、夢に向かって挑戦した先に、そのチャンスが巡って来るのではないかなと思っています。

次男にはスペインに行く前、今回の個人留学の費用含めてこれが当たり前じゃないこと、を伝えました。
今はまだ10歳なのであまり実感はないかもしれませんが、いつか自分で海外に行くようになったときに実感するのではないかなと思います。

今回の素晴らしい経験を今後の糧にして、これからもたくさんチャレンジして、サッカーが大好きで、夢中でボールを追いかけている今の気持ちを大切にしてほしいなと思っています。

最後までお読みいただきありがとうございました。
そして今回の留学に携わってくださったすべての方に感謝申し上げます。

※余談ですが、大好きな堂安律選手を真似して4歳からずっとそのヘアースタイルを守り続けてきた次男が、突然「スペインカットにしたい」と言い出し、急遽現地でスペインカットにして来たのが滞在中一番の衝撃でした笑

バルセロナで元日本代表の柏木陽介さんに会い、お話ししてサインももらったスペインカットの次男

WRITER PROFILE

早坂英里
早坂英里

料理&テーブルコーディネート教室
【Eri’s Kitchen】主宰
アスリートフードマイスター/(社)日本テーブルデザイナー協会認定講師/専門学校 テーブルコーディネート講師

12歳と9歳の子を持つサカママ(サカママ歴8年)
兄弟それぞれ都内の強豪クラブチームに所属。5年以上続けている朝練は兄弟の日課。プロサッカー選手を目指す子どもたちの為に日々首都高を走り回り、食事やマッサージなどサポートに務める。

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