夢を叶えた先輩に聞く!トレーナーという生き方。林 恭平 (FC東京)
サッカーを仕事にする事は、プロサッカー選手になる以外にもたくさんある。
今回、紹介するのは FC 東京でトレーナーを務める林さんです。トレーナーとして育成年代の選手と関わる際に心がけていることや、さまざまな現場での業務から得た学びについて伺いました。
Q1 サッカー歴は?
高校生まで12年間プレー
「小学生から高校生までの12年間選手としてサッカーをしていました。中学生のころ、チームにテーピングなどに詳しいコーチの方がいたので、サッカーノートを通して関わっているうちに、自分もトレーナーのような仕事を初めて認識しました」
Q2 高校卒業後の経緯は?
ケガの経験からトレーナーを志す
「高校生のころ腰のケガを負ったことをきっかけに、“同じようにケガで苦しんでいる選手の助けになりたい”と思うようになりました。そのときにお世話になっていたトレーナーが東京スポーツ・レクリエーション専門学校(TSR)の卒業生で、その方と同じようにTSRへ進学し、トレーナーを目指すことを決めました」
Q3 TSRで得られたことは?
多様な現場で得た技術や価値観
「解剖学や生理学、テーピングといった普段の授業に取り組んでいるうちに、“サッカーに限らず、とにかくスポーツの現場に出たい”という意欲が出てきました。学校の実習でチームに行ってトレーナーとして働く経験もできていましたが、それとは別に高校の部活動や他のスポーツなどを自分で調べて、さまざまな現場で活動していましたね。現場に出ると、授業ではわからなかったことを学ぶことができ、逆に現場で学んだことを勉強に生かすこともできます。学校での勉強と現場での経験、双方に全力で取り組んだからこそ得られるものがあったと思いますね。私の場合はTSRの知り合いのご縁からデフサッカー(聴覚に障がいがある選手が行うサッカー)男子日本代表に5年ほど関わらせていただいた経験が特に大きく、トレーナーとしての技術だけでなく、働くうえで持つべき価値観を得られた意味でもいい経験だったと思います」
Q4 現職への経緯は?
メディカルの現場経験や資格を持ち サッカーの現場へ
「TSR卒業後は、在学中にインターンで行っていたトレーナーの派遣会社に就職し、2年勤めた後、TSRの姉妹校である東京メディカル・スポーツ専門学校(TMS)で理学療法士の資格を取得しました。スポーツの現場で働くなかで、医療の知識が必要な場面もあります。そのためTMSで資格を取得し、その後スポーツ整形外科に勤めてリハビリなどメディカル面での経験を積んだのち、昨年からFC東京U-15深川でトレーナーとして働いています」
Q5 現在の業務内容は?
メディカル面でのサポートや 教育者として“伝える”指導も
「チームにフィジカルコーチもいるため業務の分担ができており、私はそれまでの経験を生かしたメディカルの面での選手のサポートがメインになります。ケガが発生したときの対応やリハビリ、さらに選手の身体づくりのための食事の手配なども行っています。育成年代のトレーナーの重要な役割として、教育的指導があると考えています。クラブスタッフや監督、コーチよりも選手と近い距離で接することが多いのですが、適切な距離感で選手と関わり、普段の生活にも必要になってくる食事についてなど、ベースの部分を“教える”というより“伝える”ことを意識していますね」
Q6 喜びを感じた出来事は?
苦境を乗り越えた選手の成長・復活をともに
「今の業務では、ケガをしてマイナスの感情を持っている選手と関わることが多いのですが、そういった選手を鼓舞して、ケガをする前より良い状態でチームに合流する。その努力する過程を目の当たりにする立場なので、練習、公式戦と復帰していき、良いパフォーマンスを見せてくれたときは“一緒に頑張ってきてよかったな”と、やりがいを感じることがありますね」
Q7 高校生へ伝えたいこと
失敗も含め挑戦から学びを得よう
「勉強や恋愛、部活動と、今を精一杯楽しんでほしいと思います。全力で楽しむなかで、さまざまな成功や失敗をすると思いますが、失敗の中から学ぶこともあると思うので、その経験を生かせる道を見つけられたら素晴らしいと思います。恐れてチャレンジしないよりも、いろんなことに挑戦して、成功も失敗も含めて楽しんでほしいと思います」
ある一日のスケジュール
12:00 | 出勤/リハビリメニュー確認 |
15:00 | スタッフMTG |
16:00 | 食事会場準備 |
16:30 | 選手のコンディションチェック |
17:30 | 練習 |
20:00 | 食事 |
21:00 | スタッフMTG |
21:30 | 帰宅 |
写真協力/FC東京