チームスポーツの魅力「縦のつながり」で子どもの社会性を育もう!
サカママコラムをご覧の皆さま、こんにちは。ライターのまりこです。今回は、サッカーチームに所属することで経験できる、学年を超えた「縦のつながり」の大切さについて書いてみたいと思います。
上級生の試合を観戦して感じた「縦のつながり」
つい最近、次男所属のチームで上級生の試合をチームメイトと共に観戦する機会がありました。自分たちの試合も忙しく、なかなか応援に行けていなかったので、今年度初めての観戦でした。いざ試合が始まると、普段横で練習しているお兄さんたちの迫力のあるプレイに一喜一憂! 熱くなって一生懸命応援する次男たちの姿を見て「学年を超えて応援できるチームスポーツってやっぱりいいなぁ」と心が動きました。だって、Jリーグの試合より、何だったら日本代表戦より熱心に応援していましたからね(笑)。
試合はとても白熱した内容で、最後は勝利をつかみ取ることができ、観客席も大盛り上がり。試合後は、上級生の保護者が「応援ありがとう~!」とハイタッチに来てくれました。それもすごく嬉しかったですし、“保護者も含めてチーム”だということを感じることができました。
思えば、コロナ禍は厳しい観戦制限で、他学年どころか自分の学年の応援すらできない状況が続きましたよね。だから、どんな先輩たちがいてどんな後輩たちがいるのか、リアルで交流する機会が失われ、自分たちが所属するチームの”縦のつながり”は非常に希薄になっていたと思います。
でも、最近では観戦制限もほぼなくなり、他学年との交流も活発に戻ってきましたね! 我が家は長男が中2、次男は小4と、二人とも上級生と下級生がいる真ん中の学年です。先輩とも後輩とも、ぜひ積極的に交流をして縦のつながりを感じてほしいなと思っています。
「縦割り活動」を作る意義
ここまで読んで「縦のつながりってそんなに重要?」と思った人ももしかしたらいらっしゃるかもしれません。たしかに、つながりはなくとも自分の学年のメンバーたちと切磋琢磨できれば、それで大きな問題はないと思います。ただ、せっかくチームに所属するのであれば、つながりゼロよりはあったほうが、選手たちの学びは増えるだろうと思うのです。
例えば、小学校では「縦割り活動」がよく行われていますよね。1年生から6年生まで混合でグループを作り、集まってさまざまな活動をすることですが、これには教育的にたくさんの狙いがあるそうです。具体的にどんな効果が期待されているのか、まとめてみました。
上級生にとっては…
下級生のお手本になりたいと、積極的に役割を担う。そこで「自分は誰かの役に立つことができる」という自己有用感が得られる。人と積極的に関わることで社会性が育つ。
下級生にとっては…
「かっこいいな」と上級生へのあこがれを持つ。大人から指導されるよりも、同世代や少し上の学年の子どもの行動や姿勢を見たほうが「自分にもできそう」「真似してやってみよう」という気持ちがより高まる。
※参考文献
・『協同的な学習に対する動機づけとピアモデリングが異学年集団での学習活動における積極的参加構造の認知に与える影響』 日本教育工学会論文誌 43(1),53-63,2019
・『子どもの社会性が育つ異年齢の交流活動—活動実施の考え方から教師用活動案まで—』 文部科学省 国立教育政策研究所 2011
縦のつながりから学べるピッチ内外の振る舞い
現在中学2年生の長男のチームでは、試合の度にコーチがレポートを選手に出してくれます。ありがたいことに選手一人ひとりへのコメントがあり、さらにチーム全体に対するメッセージもあります。その全体へのメッセージの中に、今年度は繰り返し「2年生は、ピッチ内だけでなく、オフザピッチでも1年生のお手本になる動きをしましょう」という内容が書かれていました。コーチから、まさに“縦のつながり”を意識したピッチ外での振る舞いについて指導がもらえるのは、本当にありがたいなと思います。親の言葉はだんだん聞かない年齢になってきますからね…(苦笑)。
次男も、ありがたいことに上級生・下級生と共にボールを蹴る機会があります。上級生と一緒にボールを蹴る際は、一生懸命ついていこうと体も頭もフル回転させており、良い刺激をもらっているようです。また、下級生には“絶対に負けられない”という気持ちになって、それもそれで非常に燃えるようです。
要するに、他学年との交流は人との関わりで得られる刺激がたっぷりで、社会性がぐんぐん育つのだと思います。特に「挨拶はしっかりしましょう」などマナー的な話は、座学で大人から学んでも子どもたちにはピンと来にくいと思います。ですが、サッカーチームの中で上級生から「こうやるんだ」と示されたら、あっという間に真似して身につきそうですよね!
縦のつながりが発生する活動の具体例
長男・次男のサッカーライフを振り返りながら、縦のつながりが発生する活動を具体的に挙げてみました。
日々の練習で…
・用具の準備や片づけ
次男のチームでは、上級生が練習前の用具の準備や練習後の片づけを行っています。コーンやマーカー、ビブスなどを丁寧に片づける姿を見て、下級生たちは「今はお兄さんたちがやってくれるけど、いずれは自分たちが片づける」ということを学んでいます。
・荷物の整理整頓
水筒やサッカーリュックなど、荷物の置き方は上級生のほうが整っています。「上級生の置き方を見て真似して~」と言えば下級生たちには伝わる状況なので、きっと上級生は気が抜けないことでしょう(笑)。
試合観戦・応援で…
他学年の試合を見る機会があると、自分の学年とは違うアップの仕方や声のかけ方、フォーメーションなど、たくさんの学びがあるようです。普段横で練習している選手たちが実際にどんなプレイをしているのか、興味津々で観戦するので、集中力高く応援にも熱が入ります。子どもたちは自分のことのように勝ったら嬉しいし負けたら悔しいと感じて、一体感や所属感を味わうようです。
チームのイベントで…
・学年混合チームでのゲーム大会
複数の学年の選手が混合でチームを作り対戦するイベントです。“下級生がシュートを決めたら3点”などの特殊ルールを導入することで、全学年が楽しんで盛り上がれるイベントになります。下級生にとっては6年生のプレイを間近で見ることができる良い機会ですし、上級生も下級生の面倒を見て、よく声をかけてくれます。
・卒団式
卒団式は、その年の6年生がどんな軌跡を歩んできたのか、下級生や他学年の保護者が知ることができる貴重な機会です。チームの“伝統”を下級生に引き継ぐ意味でも、大切なセレモニーだと位置づけるチームもあると思います。
・合宿
複数学年合同の合宿を行うと、上級生が下級生の面倒を見ることが当たり前のこととして身につくようです。長男のジュニア時代のチームでは、上級生が班長となり、プレイだけでなく衣食住含めて面倒を見ることが前提にありました。上級生は大変ですが、自分も下級生のときにしてもらっていたことを思い出せば、自然に面倒を見ることができるのだと思います。
ジュニア時代は“縦の関係が生まれる環境づくり”を大人がサポート
今回は、他学年との交流で生まれる「縦のつながり」の良さについて書いてみました。中学生や高校生になれば、先輩・後輩という縦のつながりを子どもたちが自分で勝手に作ると思います。ですが、ジュニア時代はチームの方針や親の意識がなければ、つながりを感じる機会は少なくなりがちな世の中だと感じます。だからこそ、他学年との交流ができるイベントには積極的に参加させてあげたいなと考えています。
大きなイベントとなると、親も参加や手伝いが求められるケースもあり、正直面倒くさいと感じる人もいると思います。でも、子どもにとっては社会性が育つ絶好の機会ですからね。サッカーという素晴らしいチームスポーツを通して得られる縦のつながり、たくさん経験させてあげましょう!
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。