大学サッカーに進んで良かったことは?【大学サッカーのすゝめ総集編2023】
高校卒業後、それぞれの目標を持って大学サッカーへとチャレンジし続ける大学生プレーヤーを紹介する「大学サッカーのすゝめ」。2023年版では、関東一部・二部・三部の計36校から、48名の選手を紹介してきました。
2023年版の総集編として、各質問の多かった回答や選手達のコメントをピックアップしてお届けしていきます。
第2回目は、「大学サッカーに進んで良かったこと」について。実際に大学サッカーに進みプレーしていく中で感じた、大学サッカーの利点とは? また、進学前に抱いていた大学サッカー・大学生活のイメージとのギャップも聞いてみました。
大学でサッカーをすることの利点って?
Jリーグでの大卒ルーキーの活躍も増え、近年注目度が増しつつある大学サッカー。とはいえ、高卒プロを目指すプレーヤーもいる中で、あえて大学に進学してサッカーを続けることにはどんな利点があるのでしょうか? 選手達の回答から、大学サッカーで得られるものを探ります。
利点①よりプロに近い環境でプロになるための準備ができる
最も多かったのは、プロに近いレベルでプレーすることができ、尚且つ4年間かけてプロになるための準備ができるといった回答。大学サッカーでは、同じチームにプロ内定者がいたり、対戦相手がプロ内定者という場合も少なくありません。そういった選手達と切磋琢磨することで、自分には何が必要か、何が足りないかを感じることができるようです。
井上太聖選手(順天堂大学)
「自分の実力次第で道が開けることです。大学サッカーはプロにも劣らないくらいレベルが高いです。同じ大学の先輩やリーグ戦で対戦する他大学の選手などを含め、身近な選手がプロの道と進んでるため、そういった選手と高め合い、自分次第で道を切り開くことができます。」
青島健大選手(流通経済大学)
「高校時代で自分に足りなかったところを1から見つめ直せること。サッカーに集中できる時間を確保できるのも大きなメリットです。勉強面ではスポーツの知識などについて学ぶことができるのも良かったです。」
中山昂大選手(東洋大学)
「大学サッカーに進んで良かったのは、スピードや強度なども含めプロにも劣らないくらいレベルが高いことです。そして、サッカーだけでなく、生活面でも自分で考えて行動することが増えるので、サッカーも人間としても成長できる点です。」
屋宜和真選手(平成国際大学)
「大学サッカーは、高校サッカーの頃に比べてチームの戦術に合うプレーを選ばなくてはいけないことが増えました。そのためには戦術をしっかり理解するだけの賢さと実行するだけの技術を持ち合わせなくてはいけません。このように大学サッカーでは、技術だけでなくサッカーIQも必然的に高くなるので、大学サッカーをしていて良かったなと思いました。」
高橋昴選手(作新学院大学)
「高校卒業のタイミングで、プロへのスカウトや練習参加というのは全くなかったので、必然的に大学でサッカーをするという選択肢になりました。当時の僕はプロで通用するレベルではなかったので、大学4年間でしっかりとサッカーに打ち込める環境に入れたのは良かったです。ただ「最終的にプロになれなかった」で終わりたくはなかったので、大学卒業後はプロで通用する技術を身に着けて、活躍できるように努力したい。今年は関東2部へと昇格することができたので、自分の価値をあと2年間で証明したいです。」
利点②同じ目標を持った仲間と切磋琢磨できる
大学サッカーでは、リーグ戦に加えてカップ戦やカテゴリーごとの公式戦があって、試合に出場するチャンスも多いです。その中で同じ目標を持った仲間と、4年間一緒に切磋琢磨できる環境があります。
持山匡佑選手(中央大学)
「大学サッカーに進むと、全国の強いチームから選手が集まるので、日頃から高い基準で練習できていることがよかったなと思います。生活面ではサッカー以外の友達と喋ることで、いろんな考え方や情報などを知ることができるので、それも大学ならではの良い部分だと思います。」
情野依吹選手(専修大学)
「大学サッカーでは、全国から集まる素晴らしい選手たちとプロに近い形で練習が行うことができます。プロ内定のチームメイトや対戦相手と切磋琢磨することで自分に足りない部分を考えることができ、自分自身をさらにレベルアップすることができるため大学サッカーを選んで良かったです」
荒井涼選手(東洋大学)
「高校よりも更に上手い選手たちとサッカーをすることができるという点です。4年間同じ道に進んだ仲間たちとサッカーに打ち込むことで、プロになるという夢を体現できると感じたことから大学サッカーに進んでよかったなと思っています。」
吉川元輝選手(城西大学)
「高校とは違いプロに行ける可能性が無限大にあるなと思いました。先輩方や知り合い、対戦する相手など数々の選手がプロへの道に進んでいます。そのような選手たちと一緒にプレーできる嬉しさもありながら自分のプレーの甘さを感じます。ですが、これが自分が成長する一つの糧になっていると思い続けて良かったと感じています。」
利点③サッカー以外でも人間性の成長に繋がる
大学サッカーの特徴の一つが、学生主体の運営。試合の運営や広報活動などを学生自らが行うことで、ピッチ外でも様々な経験を積むことができます。それらを通して、人として成長できたと感じるとの回答も見られました。
水落智也選手(亜細亜大学)
「大学サッカーを選んで良かったと思うことは、人間性や社会的スキルを身に付けられたということです。またサッカー面では、献身的に人のために動けるようになって周りにも目を配れるようになったのが良かったなと思いました。」
杉山諒選手(東京農業大学)
「大学サッカーに進んで良かったことは、主体性が身につくことです。高校の頃とは違い、大学サッカーは、試合の運営や分析、備品の管理など基本的には全て学生主体で行なわれます。学生ならではの貴重な経験をすることができるのは大学サッカーの醍醐味であり、きっとこれからの人生においても役に立つことだと思います。」
長木仁選手(東海大学)
「大学サッカーは1人の人間として成長できる場と思っています。その中で特に寮生活が一番の良かった点です。ピッチ上もそうですが、寮生活というピッチ外での集団行動の中で、どのように仲間と関わっていくのか?どのようにコミュニケーションをとるのか?などといった人として成長できる場所が寮での生活だと感じます。」
田中祉同選手(国士舘大学)
「大学サッカーでは、学生連盟や補助学生の方々によって大会やリーグ戦の運営を行っています。そのため日々の活動でサポートしてもらえるありがたさなどを常に感じることが出来ます。他にもリーグ自体のレベルが非常に高く、常に自分より上手い選手が周りにいます。だからこそ、競争の中で揉まれて成長することが出来ます。」
吉野陽翔選手(立正大学)
「プロに行く選手たちと一緒にプレーしたり、Jリーグのチームや強豪校と試合したりと高いレベルでプレーすることで自分の成長につながっています。また大学では資格が取れるので、セカンドキャリアの形成もできるので安心です。」
サッカーのことやキャンパスライフ、ギャップはあった?
大学に進学して良かったことを聞いた質問では、選手達の満足度の高さが伺えましたが、進学前に抱いていたイメージとのギャップはなかったのでしょうか?サッカー面、生活面に分けてみていきましょう。
サッカーについてはイメージ通り?とにかくレベルが高い
サッカー面において、「高校時よりもギャップがあった」「レベルが全く違う」という声や「イメージ通りだった」「とにかくレベルが高い環境が良かった」など様々な声がありました。
常盤亨太選手(明治大学)
「サッカー面ではある程度の自信を持って入学したので、通用すると思っていたが全てが足りていない事に気付かされて、すごくギャップがありました。生活面では中学からFC東京の下部組織にいたため、部活に所属したことがなく、16人部屋での生活などはユースと比べてギャップが大きかったです。」
馬場智己選手(東京国際大学)
「サッカー面では攻撃だけでなく守備のスピード感も高校生と比べると全く避うし、強度も全然違った。生活面でいうと思っていた以上に自由な時間が増えたからその時間をどう使うが大切か感じている。」
松本拓也選手(明治学院大学)
「フィジカル面において、大学サッカーは高校サッカーとのギャップがあると思います。もちろん頭では分かっているつもりでしたが、やはりスピード感も含めて大きな差があるなと実感しました。生活面では自由な時間が多くなるので、有意義な時間を過ごすにはどうすればいいか自分で考えるようになりました。」
練習会に参加して、プレーの質、強度、判断のスピードなどは高校よりも高いという事を実感して、イメージはできていた選手も多数いました。
成田安里選手(日本体育大学)
「サッカーの面ではフィジカル面、一つ一つのプレーの質、強度、判断のスピードなど高校の時よりもレベルが高いとイメージしていたので、大学に入ってからもギャップはなかったです。」
外川陽登選手(東京学芸大学)
「あまり大きなギャップは感じていませんが、高校生の頃、自分が思っていた以上に、時間は確保できていると思います。ただ、そうなると必然的に自己管理能力が大事になるので、入学当初は個人的にも苦労しました。」
唐尼陽斗選手(共栄大学)
「高校生の頃は、大学サッカーとは「フィジカルサッカー」をイメージしていました。しかし、思ったよりパスをつないでくるチームが多くてびっくりしました。また、想像はしていましたが大学サッカーのスピード感には圧倒されました。」
中村晃大選手(国士舘大学)
「イメージしていたこととのギャップを感じることはなかったです。生活面では、初めての寮生活であり最初は不安が多くありました。しかし、同級生や先輩もやさしい人がたくさんいるので楽しく生活しています。」
先輩たちが優しく、上下関係がいい意味でない!
体育会の部活動、しかも大学の…となると、何となく上下関係が厳しそうなイメージがありますよね。でも、実際のところは思っていた以上に先輩たちが優しく、いい意味で上下関係がなかったという意見が見られました。この先輩後輩の仲の良さは、サッカー部のPRポイントを聞いた別の質問でもあげている選手が多かったです。
吉川元輝選手(城西大学)
「高校の時のように上下関係には厳しいのかと思っていましたが、大学の先輩方は自分たちにとてもとても優しく接してくれ居心地の良い空間であったことが1番のギャップでした。」
角田惠風選手(慶應義塾大学)
「当初は、上下関係が厳しく個人的な意見を言えないような環境だと思っていましたが、全くそんなことはなかったです。学年問わず、お互いの意見をしっかりと交換できる良い関係性を築けています。」
星野創輝選手(中央大学)
「サッカー面では、想像していた通り激しい争いの中での技術や予測・判断力など、他と違いを生み出す事を求められるのはこれまでと大きく違います。生活面はもっと上下関係が厳しいと思っていましたが、良い意味でフランクに接する事ができる環境です。」
自由な時間が多いからこそ有効活用!
多くの選手が高校生の時よりも自由に使える時間の多さをあげていました。空いた時間はトレーニングや勉強にあてたりして、有効に活用しているようです。
井上太聖選手(順天堂大学)
「自生活面においては、自由な時間が高校の時と比べてたくさんあり、自分次第で有意義な生活を送ることができます。サッカー面においては、イメージ通りすべてにおいてレベルが違ったのでそこにギャップは特に感じませんでした。」
安西晃輝選手(拓殖大学)
「想像していた以上にギャップはなかったです。自由な時間が多くて自主練をしたり、授業の課題に取り組んだり、プライベートを充実させたりというイメージでした。自由な時間が多い分、時間の使い方で成長に差はつくのかなと思います。」
森夲空斗選手(青山学院大学)
「大学に入るともっと忙しくなると思っていましたが、想像以上に自由な時間を確保できました。サッカー面では関東リーグのレベルの高さに驚きました。1年生から試合に出させてもらった自分としては毎試合、対戦相手に4年生のプロ内定者がいて、マッチアップできたことは貴重な経験でした。」
黒岩幹介選手(東京国際大学)
「高校の時よりもスケジュールを自分で組む事ができるので、自由な時間を確保できるという点はイメージ通りでした。授業・サッカー・プライベートとそれぞれの時間をいかに有効活用できるかが、自分自身の成長に繋がると思っています。」
【番外編】大学サッカープレーヤーの生活に迫る!
「大学サッカーのすゝめ」では、毎年選手の生活面に関する質問(住まい・通学時間・起床就寝時間など)も聞いています。ここでは、住まいと通学に関するデータをご紹介。
住まいに関しては、約半数が寮生活、実家と一人暮らしは同程度の数に。一人暮らしと寮を合わせると、34人と3分の2が親元を離れて生活しているということになりますね。
また、通学時間を見てみると、約半数の26人が15分以下という結果に。ちなみにこの26人のうち、実家暮らしは1人のみ。やはり寮や一人暮らしの方が通学時間はかからない傾向があるようです。
※「大学サッカーのすゝめ」は関東大学サッカー連盟のご協力のもと作成しています。記事内で使用している写真は各チームの了承を得た上で、連盟を経由してご提供いただいたものです。