2分でできる適性検査シートでチェック!トレーナーに向いているのはこんな人!
実際にどんな人がトレーナーに向いているのだろうか?これまでサッカーに夢中で、トレーナーに興味、関心がなかった人でも、潜在的な適性があるかも!?
尾垣孝博(おがき たかひろ)
1987年、北海道出身。日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナーと鍼灸師の資格を持ち、2011年からFC東京ですべてのカテゴリーでトレーナーを担当。現在は年代別のサッカー日本代表を担当しながら、母校である東京スポーツ・レクリエーション専門学校(TSR)で後進の育成に励んでいる。
高度な一般常識と健全な価値観。誰に対しても“思いやる”ことができるか
-トレーナーに向いている人とは?
「一言で表すと、思いやりがある人ですね。コミュニケーション能力や指導力をもって選手と接するわけですが、時に厳しいことを言う必要があるタイミングがあります。読者の皆さんも部活動の監督が厳しいことばかり言うと感じることがあるかもしれません。しかし、それは選手の成長を思っての指導であり、優しさでもあると思うんです。今私も学生を指導していて難しさを感じる部分ではあるのですが、学生を相手にするにしても、プロを相手にする場合も、相手を思いやることを忘れずに接することができる人が、トレーナーとして選手を支えることができると感じています」
-実際に働くうえで信条にしていることは?
「学生のころに教わった『高度な一般常識と健全な価値観』を忘れないことを大事にしています。例えば、“挨拶”をするのは一般常識ですよね。でも顔を見ずに暗いトーンで挨拶する人と、いつでもどんな場面でも、どんな人に対しても笑顔で明るく挨拶をする人では、受け手の印象も全く違うと思います。当たり前のことですが、そういった一般常識を常に高いレベルで行うということは、トレーナーだけでなく社会人としても必要なことだと思います。後者については、自分の知識だけで物事を判断、決定しないことです。例えば治療をする際、ドクターやフィジカルコーチなど他のスタッフと連携していろいろな考え方を聞き咀嚼します。そうして自分の価値観を健全に整えた上で選手に提供します。その方が処置を受ける選手も安心して受け入れられますよね。学生時代から常にこの二つを心掛けながら現場に出ています」
-そもそもトレーナーを目指すようになったきっかけは?
「小学校のころサッカーと出会って、高校卒業までプレーしていました。中学生時代に地元のJ クラブのジュニアユースと対戦したときに、レベルの差を痛感して『プロになりたい』と漠然と思っていた夢が現実的ではないことを悟ったんです。
それでもJ リーグに関わりたいということは変わらずに思っていたので、選手以外にサッカーに携わる道を模索していたところ、ふとテレビでサッカーの試合を見ていたときに、ケガをした選手に駆け付けるトレーナーが目に留まりました。いろいろな仕事があるなかでより選手に近い位置で関わりたいという想いがあったので、直接選手をサポートすることができるトレーナーという仕事を目指して、東京スポーツ・レクリエーション専門学校(TSR)に入学したという流れになります」
-卒業後に就職したFC東京ではどのような活動を?
「トップチームからU-23(2016-2019年にJ3に参加)、U-18、U-15と全カテゴリーを見ることができたというのはいい経験になりましたね。トップチームでは、練習前に選手のテーピングなどの準備やコンディションなどの情報共有を行い、練習中はケガが起きないかのモニタリング、練習後はクールダウンやケガが発生すればその処置、筋力トレーニングの運動指導などを行っていました。育成年代でもトレーナーとしての仕事は変わりませんが、教育として選手たちにはセルフコンディショニングの重要性を伝えることを心掛けていましたね」
-印象に残っている出来事は?
「U-23チームを一人で担当した経験は糧になっているなと感じますね。U-23は、U-18からプロに向けて上がってくる選手と、トップチームでメンバーに入れずに下りてくる選手たちが融合しているチームなので、それぞれメンタル面でのケアがとても重要なチーム状態でした。トップから下りてくる選手は若い選手を引き上げようと思っている反面、メンバーに選ばれなかった葛藤を抱えている選手なので、メンタルが落ちないようサポートする必要がありますし、ユースから上がってくる選手に対しては、浮かれることがないように心構えの部分で教育をすることがありました。トレーナーは身体をケアするだけでなく、選手の気持ちの部分も支えられる人が求められているんだなと感じた経験でしたね」
-今後の尾垣さんの目標や目指すところは?
「今の目標は、次の世代で日本代表を支えることができるトレーナーを育てることですね。講師を務めているTSRで、今年からコンディショニングセンター(下記参照)という施設が設立されたのですが、在校生や卒業生がよりトレーナーに必要な学びを深めるためのサポートを目的としています。こういった取り組みからトレーナーを目指す学生が増え、次世代の育成が活発になっていくことを願って、代表での活動や実際に指導という形で後進を育てていくことが現在のやりがいになっています」
アスレティックトレーナーのつながりの場を提供「TSR CONDITIONING CENTER」とは!?
東京スポーツ・レクリエーション専門学校(TSR)がアスレティックトレーナーのキャリアサポートをメインとして、プロフェッショナル・アマチュア問わず運動をするすべての人に対してコンディショニングを提供する拠点及びトレーニング施設。トレーナーの人材育成を目的としたセミナーの開催や施設の貸出を行っている。
問い合わせは…JIKEI CONDITIONING CENTER TEL:03-5696-9090
STEP1 日頃の自分を思い出して、回答してみよう
STEP2 Yesに丸をした数に応じて、要素ごとの点数を確認してみよう
この基礎的な能力に加え、実際に現場に立ってみて求められる能力や自分に何が必要かを見極めることが大事!
イラスト/三谷夏妃