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サッカーで身につく、社会で役立つ力とは!?

サッカーで身につく、社会で役立つ力とは!?

サッカーでプロになれるのはほんの一握り。ではなぜ我々はサッカーをするのだろうか? 「楽しいから」「上手くなりたいから」はもちろん、試合で勝つために努力する姿勢は尊い。しかし高校サッカーの研鑽の場は技術向上だけが目的ではない。サッカーには思考力を上げ、周囲との適応力、自律心を磨き、社会に通用する人間力を培う力も持っている。

本特集ではスポーツ×教育をテーマに「人を育む力」について考察するメディア「SPODUCATION」から、プロサッカーアスリート、指導者の言葉を紐解き、サッカーで身に付く力についてお伝えする。

森重真人

森重真人

FC東京/元サッカー日本代表
1987年生まれ、広島県出身。対人戦に強く得点も取れる日本を代表するセンターバック。2010年FC東京に移籍以来、チームの支柱としてけん引する。3児の父。


佐藤寿人

佐藤寿人

元サッカー日本代表
1982 年生まれ、埼玉県出身。ゴールの嗅覚と裏への抜け出しを武器にゴールを量産した点取り屋。Jリーグ通算得点数の歴代最多記録を持つ。3男の父。


権田修一

権田修一

清水エスパルス/サッカー日本代表
1989年生まれ、東京都出身。2010年A代表デビューし、2014年ブラジルW杯メンバーに選出。2022年カタールW杯では守護神としてベスト16進出に貢献した。


鈴木啓太

鈴木啓太

元サッカー日本代表
1981年生まれ、静岡県出身。16年間のプロ生活をすべて浦和レッズで過ごす。2015年に現役を引退。2015 年、AuB(オーブ)株式会社を立ち上げ代表取締役社長に。


福田正博

福田正博

元サッカー日本代表
1966年生まれ、神奈川県出身。日本人初のJリーグ得点王に輝く。浦和レッズの象徴的存在として活躍し、サポーターには「ミスター・レッズ」と呼ばれた。


橋本英郎

橋本英郎

元サッカー日本代表
1979年生まれ、大阪府出身。1998年にガンバ大阪に入団。日本代表としても国際Aマッチ15試合出場。2014年にプエンテFCスクールを開講し代表に。


太田宏介

太田宏介

FC町田ゼルビア/元サッカー日本代表
1987年生まれ、東京都出身。FC東京では2014年と2015年にJリーグベストイレブンに選出。左足から放たれる正確無比なフィードが最大の武器。


山瀬功治

山瀬功治

レノファ山口/元サッカー日本代表
1981年生まれ、北海道出身。2000年、コンサドーレ札幌に入団。2006年、日本代表に初選出された。今年3月にはJリーグ24年連続ゴールを達成。


都倉 賢

都倉 賢

V・ファーレン長崎
1986年生まれ、東京都出身。身長を活かしたダイナミックなプレー、当たり負けないフィジカルの強さが特徴。株式会社NewSPO. エグゼクティブアドバイザー。

SPODUCATIONが推奨するスポーツから身に着く4つの力

社会の中で発揮できるスポーツのチカラは、この4つの能力を枝として、無数の葉を広げる可能性を秘めている。サッカーを通じて、これらの能力をどのように身につけ、向き合い、実践してきたかをゲストの言葉からピックアップして紹介する。

スポーツから身に着く4つの力

 


コミュニケーション力

佐藤寿人

腹を割って話さないと伝わらない。常に「向き合う」ことが大事(佐藤寿人)

 

(キャプテンとして)自分の結果よりも、チームが勝つという意識を全員で共有できるように、コミュニケーションを積極的にとってきた。やっぱり腹を割って話さないと人には伝わらない。いい時だけではなくて、結果が出ない時も含めて、常に自分とも仲間とも「向き合う」ことが大事でした。

 


森重真人

サッカーを通して、コミュニケーション力が自然と身についた(森重真人)

 

コミュニケーション力は、意識するというより、自然に育まれていったと思います。チームメイトとしっかりコミュニケーションが取れないと、そもそも試合で勝てません。チームスポーツなので、仲間が何を考えているのか、今どんなイメージをしているのかを把握する力が身につきます。経験を重ねるごとに、癖だったり、表情だったり、動き出しで分かってくるようになります。

 


権田修一

言わないのに選手が変わる時が来る(権田修一)

 

コーチングしていない時間というのも、実はすごく大事なんです。言うのをグッと我慢する。そして、言わないのに選手が変わってくれる時が訪れたら、その時に抜群に褒めてあげる。指導者の方もそこにやりがいを感じてほしいですね。

 


太田宏介

ポジティブな言葉は組織を強くする(太田宏介)

 

仲間を尊重し、上を目指そうと向上心を持つチームは本当に強い集団になっていきます。逆にネガティブな言葉は伝染力がすごく、選手を罵倒ばかりしているチームは成果がでません。モチベーターとして選手を鼓舞してくれる監督のチームは、全員が同じ方向を向いて一つにまとまっていく。組織において、リーダーがポジティブな言葉を発し続けていくと、グループは自然と強くなっていくんです。

 

 


自己管理能力

佐藤寿人

強みと目標が明確になれば、大きなエネルギーを生み出す(佐藤寿人)

 

FWはゴールをどう奪うかを逆算します。例えば、どの位置でシュートを打つか、そのためには、どうやってボールをつないでいくのか。逆に明確な目標=自分の強みを持っていないと、そういった逆算はしづらくなります。目標設定とモチベーションは相通じるものがあります。目標を強く持てれば大きなエネルギーを生み出せますが、逆にそこがぼやけてしまうとモチベーションを保つのは難しい。

 


山瀬功治

目標が明確だったので、ケガは苦労ではなく学びだった(山瀬功治)

 

(大きなケガをしても)サッカーを辞めるという選択肢がなかった。それは「自分がどうしたいのか」という目標が明確にあったから。ケガが治ることは過去の事例からも医学的に証明されていたので、治ったときにどうするかしか考えてなかったです。ケガをしたことに目を向けるのではなく、その先にしか視線が向かっていなかったので、落ち込まずに前に進めたと思います。それは苦労というより、一つの経験であり学びでした。

 


森重真人

目先の目標に惑わされるとすぐに悲観してしまう(森重真人)

 

目の前の目標しか見ていないと、それがダメだった時に落ち込んでしまうケースが多い。そうではなく、もっと先の目標を作るべき。将来的にプロになるという大きな目標があれば、今試合に出られていないことを悲観している時間じゃないと気づきます。目先の目標に惑わされないように。自分に意識を向け、環境のせいにしないことが大事です。他人を変えることより、まず自分を変えること。

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橋本英郎

勉強とサッカーの両立のヒントは「オンとオフの切り替え」(橋本英郎)

 

高校時代、勉強を頑張っているメンバーと勉強する時は、(レベルの高いガンバユースでの)サッカーから離れられるという側面もありました。オン、オフの切り替えです。どちらもオンと言えますが、僕は常に景色を変えて動いていたと思います。サッカーをする環境もさまざまで、ジュニアユース時代は地元の友達と長居公園で草サッカーをすることが心のオアシスでした。

 


権田修一

日本代表の選手は、普段から先を見据えて行動している(権田修一)

 

「ここに行きたいから、これが必要」という高い目標からの逆算は、間違いなく必要。日本代表では目先の利益ではなく、その先の成功を見据えて、よく考えて行動している選手が多かったです。人生プランがなくて、「ただ楽しくてやっている」という選手はいません。僕も勉強はそれほど得意ではありませんが、普段から先を考えて生きている自信があります。あとは、上手くいかない時に軌道修正するためのセルフマネジメント能力も、上に行くためには必要です。

 

 


適応力

森重真人

人より10倍多く挑戦したから、人より10倍多く失敗してきた(森重真人)

 

失敗しない人生なんてない。サッカーなんて失敗の連続です。唯一成功したものがゴールであり勝利なんです。嘆いている時間がもったいない。僕は人よりチャレンジした数が10倍多いからミスする可能性も10倍多い。それでも難しい10本のパスの中で3本が通れば、それが自分のプレーになる。でも、やっちゃいけないのは、同じ失敗を繰り返すこと。初めてそこで失敗になると思います。

 


橋本英郎

スポーツで経験した理不尽が、実力社会を生き抜く強さになる(橋本英郎)

 

スポーツではレギュラーとサブを同列にはできない瞬間がどの年代でも出てきます。限られた人数しか試合に出られない。そこの競争では監督の好みとか、理不尽なことも多くあります。しかし実力社会の世界で戦う中で、生き抜いていくための洞察力や「マインド」を得られることができると思います。

 


山瀬功治

失敗が許されない世界だと、僕はこの世にいない(山瀬功治)

 

人間は失敗そのものよりも、その結果によって訪れる事象の方ばかりに目が行ってしまいます。本来、失敗の本質とはそれを糧として次に生かすためのもので、「経験」という言葉に置き換えられます。終わったことでなく、次のことに目を向けるべきだし、その状況を作ってあげることも大人の役目だと思います。

 


都倉 賢

アスリートは幼少期から挑戦のマインドを磨いているスペシャリスト(都倉 賢)

 

初めてボールが曲がった喜びの原体験を言語化すると、「成長した喜びを実感できたから」。成長が嬉しいから、それに向かって挑戦する。挑戦して失敗しようが全てが成長につながります。人生における全ての挑戦が、成長するためにある。それが理解できれば、立ち止まっても、転んでも、歩き続けることができる。アスリートは幼少期からこのマインドを磨いているスペシャリスト。その強みを活かしてほしいです。

 


鈴木啓太

大体のネガティブな要素は、ポジティブに捉えることができる(鈴木啓太)

 

自分はずっと身体が小さくて、技術を磨きたいという思いがありました。周囲の大人が「いつか勝負ができる身体になる」、「焦るな」と言ってくれたのが大きいです。早熟より遅咲きの方がいろいろおいしそうだと思ったし(笑)。大体ネガティブな要素って、ポジティブに捉えることができるんです。でもそれは子どもだけでは気づけないから、周りが言ってあげることはすごく大事だと思います。

 

 


自律力

権田修一

考えて行動できる選手が多いチームは強い(権田修一)

 

選手には「状況を感じて、考えて判断して、行動する」というサイクルの速さが求められます。サイクルを速くするためには、最初のステップである「感じる」のスピードアップが大事です。感じることで、「見えていたらチャンスだったのかな?」と自分で気付けることもあります。それが考える事につながります。「考えるチカラ」は曖昧な言葉のようで、実はすごく深い言葉だと思います。ピッチ内でベストの方法を選択するために、考えて行動できる選手が多いチームはやっぱり強いです。

 


佐藤寿人

サッカーは判断の連続なので、自然と考える習慣が身につく(佐藤寿人)

 

サッカーは判断の連続ですから、いろんな現象が起きたときに自然と自分で考える習慣ができました。その延長として、相手の立場になって考える癖も身についたと思っています。例えば自分が試合に出ている時、そこには出場できない仲間がいるわけです。小学生から友達として、仲間とやってきて、必ずしも仲のいいチームメイトばかりが試合に出られるとは限らない。自然と相手の痛みを理解し、思いやる気持ちを持てるようになったのもサッカーやってきたからこそだと思います。

 


福田正博

「自分で判断した」結果は、次のエネルギーへ変えられる(福田正博)

 

サッカーってピッチに立ったら自由。監督が何かを言っていることもあるけど、僕は聞いちゃいないから(笑)。野球のように誰かの指示でプレーしたら、極端な話、失敗しても人のせいにできる。でもサッカーの場合は自分で判断してプレーをして、その結果の責任は自分で負わないといけない。成功したこともうまくいかなかったことも、それを全部受け入れられるか。次へのエネルギーに変えられるか、変えられないか。それがポイントだと思う。

 


鈴木啓太

成長を実感できるのは自分から取り組んだことだけ(鈴木啓太)

 

僕は一番サッカーが上手くなったのは30歳を過ぎてからなんです。当時の浦和レッズの監督だったミハイロ· ペトロヴィッチは、技術や目の前の結果ではなく「チャレンジ」することを価値基準としていたので、彼の予想を超える=褒められるにはどうすればいいかを自分で考えることで、毎朝練習に行くのが楽しくなりました。そしたらもう成長するしかない。「成長」を実感できるのは、自分から取り組んだことだけです。人からやらされることじゃない。

 

 

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「スポーツ×教育」の観点から、育成、教育、マネジメントに関わるあらゆるすべての人に向け発信している「SPODUCATION」(https://spoducation.jp)。サッカー選手をはじめとしたアスリート、指導者、有識者たちによるセミナーを毎月オンラインで開催中! これらのコンテンツに加え、今後は大学・高校サッカー指導者インタビューや、サッカーに関わる仕事に就いているビジネスパーソンを追う「サッカーの続け方」、さらには大学サッカー進路説明会の告知・募集など、サッカー進路に関わる情報を中心に、高校生にとって役立つコンテンツを随時更新予定!

 

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