近大和歌山高校【全国強豪校REPORT〜第103回選手権出場チーム特集〜】
近大和歌山高校
和歌山県/私立/[出場]2年ぶり10回目
県三冠の称号を引っさげ旋風を起こす!
県の二強対決を制し、選手権への全国切符をつかんだのは10回目の出場となる近代和歌山だ。新人戦、高校総体、選手権、いずれの決勝も相手はライバルの初芝橋本。手の内を知り尽くした両者の最終決戦を前に、藪真啓監督も周囲の期待を大きく感じていたと言う。
「3度目の決勝対決で、いい意味でプレッシャーを感じながら試合に臨みました。新人戦も総体もスコアレスでのPK決着。何としても先制点を取りにいこうと言っていました」
ところが、開始早々にMF松林優(3年)が不運なハンドでPKを献上。劣勢の立ち上がりに周囲はざわめいたが、選手たちは冷静なプレーに徹した。「今年のチームは走力があり、後半の得点率が高く粘り強い。選手たちも逆転するイメージができていたんだと思います」。守備に定評のある今年のチームにおいて、藪監督が評価するのは選手たちの主体性。自ら考えることを大事にしたチームづくりは、決勝の劣勢の場面で存分に発揮された。
「ハーフタイムに僕が言う前に選手たちが改善点について話し合いだした。キャプテンの佐久間瑛介を中心に、取り返しにいく姿勢ができていました。途中のスコアにとらわれず、試合最後のスコアにこだわれと普段から話していますが、彼らは1つひとつのプレーに集中して、後半で修正できたことが逆転につながったのだと思います」。(藪監督)
初戦の相手は昨年の高校総体王者の明秀日立。強豪との対戦が控えている。
「小嶺忠敏監督が生前に『全国大会の決勝よりも県大会の決勝の方がはるかにプレッシャーがかかった』とおっしゃっていて、県の予選を勝ち上がったチームは全てがそれを乗り越えてきた強豪だと思っています。明秀日立はたしかに強敵ですが、選手たちには失うものはない。いい意味で期待を裏切れるように頑張れと。そして先輩たちはそれをやってきたと言っています」
プレッシャーのかかる県大会の決勝を3度乗り越えた近大和歌山。地元の期待を力に変え、さらなる高みを目指す。
佐久間瑛介(MF/3年生/主将)
「しっかり強度を上げて、全国で勝ち上がるための準備をしてきました。先制点を取られた県予選決勝では、全員の顔が真っ青だったので(苦笑)、ここは切り替えて自分たたちのやってきたことを信じてプレーしたらチャンスが来ると鼓舞しました。サイドからのクロスだったり、去年と比べて今年は得点力が上がっているので自信があります。個人としては走力に自信があるので、両サイドからチャンスを演出できるよう頑張ります」
松林優(MF/3年生)
「今年はチームワークに自信があります。本当にめっちゃいいやつらばっかりです。決勝では僕のミスから先制点を許しましたが、みんなが元気づけてくれて、なんとか切り替えることができました。自分の長所はゲームメイクだと思っているので、チャレンジャーとして強豪たちを倒していきたいです。最高の仲間たちと少しでも長くプレーできるように勝ち上がりたいです」