高校サッカーの進路選び、最後に決めるのは子ども自身〜親の希望より、子どもの意思を大切にした進路選択〜
これまで高校選びについて、情報収集のタイミングや練習会・セレクション、特待・推薦、成績、そして寮生活など、私たち親子が実際に経験してきたことを書いてきました。
いろいろな高校を調べ、実際に足を運び、先生やコーチから話を聞く。
高校によってサッカーの環境も、学校生活も、寮の設備やサポートも本当に違いました。
情報を集めれば集めるほど、親として気になることも増えていきます。
でも、今回の高校選びを振り返って、一番大切だったと感じるのは、学校の情報をどれだけ集めたかということではありません。
最後に、子ども自身が納得して進路を決められたかどうか。
今回は、私が高校選びで大切にしてきたことについて書きたいと思います。
親が望む高校と、子どもが望む高校
親は、サッカーの環境だけでなく、生活面や学業、卒業後の進路、経済的な負担など、いろいろなことを考えます。
食事はしっかり取れるのか。
ケガや病気のときは誰が助けてくれるのか。
勉強とサッカーを両立できるのか。
卒業後の選択肢は広がるのか。
一方、子どもは自分が憧れる高校や、挑戦してみたいサッカーの環境、チームの雰囲気など、親とは違う部分に魅力を感じることもあります。
親が「ここがいいな」と思う高校と、子どもが「ここに行きたい」と思う高校が同じとは限りません。
どちらが正しいということではなく、見ているものや大切にしているものが違うのだと思います。
私自身も、いろいろな高校を見ていく中で、親として魅力を感じる学校がありました。
でも、その希望を子どもに伝えることはしませんでした。
自分自身の高校選びで感じたこと
じつは、私自身が高校を選ぶとき、親の希望や理想を優先して進路を決めた経験があります。
だからこそ、わが子には同じような選び方をしてほしくありませんでした。
親が希望する学校を知ることで、子どもは知らず知らずのうちに、その期待に応えようとするかもしれません。
本当は違う学校に興味があっても、親が喜ぶほうを選んでしまうかもしれない。
私が避けたかったのは、そういう選択でした。
もちろん、親としてアドバイスはしました。
学校の良いところも、気になるところも話しましたし、生活面や将来のことも一緒に考えました。
ただ、「お母さんはこの高校に行ってほしい」という自分の希望は伝えませんでした。
子どもには、できるだけ自由に、自分の意思で選んでほしかったからです。
親が何も言わずに任せることと、子どもが自分で決められるように支えることは違うと思っています。
情報を集め、選択肢を広げ、判断するための材料を渡す。
そこまでは親ができること。
でも、最後の答えまで親が用意する必要はないと思いました。
決められない理由は、会話の中にある!
高校選びを進める中で、もう一つ大切にしたことがあります。
それは、子どもが決断できない理由を知ることでした。
子どもは必ずしも、自分の不安をはっきりと言葉にするわけではありません。
「これが不安だから決められない」と言ってくれればわかりやすいのですが、実際はそう簡単ではありません。
でも、普段の何気ない会話の端々に、不安や迷いが見え隠れしていました。
今の友達と離れること。
高校の練習についていけるのか。
レギュラーになれるのか。
新しい環境になじめるのか。
学校生活は楽しいのか。
大人からすれば、入学してみなければわからないこともあります。
でも、15歳の子どもにとっては、どれも大きな不安です。
だから私は、「早く決めなさい」と答えを急がせるのではなく、普段の会話の中から何が気になっているのかを考え、その不安について一つずつ話すようにしました。
「大丈夫!」には理由がある
子どもが不安そうにしているとき、私はよく、
「大丈夫だよ!」
と伝えてきました。
でも、ただ何となく「大丈夫」と言うのではありません。
なぜ大丈夫だと思うのか。
その理由を、これまで本人が経験してきたことを例に挙げて話すようにしていました。
「あのときも最初は不安だったよね」
「でも、こうやって乗り越えてきたよね」
そんなふうに過去の経験を一緒に振り返りながら、だから今回も大丈夫だと思う、と伝えてきました。
もちろん、高校でレギュラーになれる保証はありません。
練習についていけるか、新しい友達ができるか、楽しい学校生活になるかも、実際に始まってみなければわかりません。
でも、これまで頑張ってきたことや、困難を乗り越えてきた経験は確かにあります。

「今までだって乗り越えてきた。だから、きっと大丈夫!」
そんなふうに、自分が積み重ねてきた経験を思い出すことで、少しでも自信につながればと思っていました。
不安をすべて取り除くことはできなくても、不安に向き合う力を持たせてあげることはできるかもしれません。
親として私がしたかったのは、子どもを自分の希望する高校へ導くことではなく、本人が安心して自分の答えを出せるようにすることでした。
ある日突然の「ここにする!」
そして、ある日突然、子どもが、
「ここにする!」
と話してきました。
それまでいろいろな高校を見て、考えて、迷ってきた過程で、本人の中で答えが出たのだと思います。
そのときの様子からは、もう迷いがなくなったように感じました。
私から「ここにしたら?」と勧めたわけでも、「もう決めなさい」と急かしたわけでもありません。
本人が自分で考えて、決めた進路でした。
そして、決断してからの行動にも変化がありました。
高校でのサッカーに向けて、体力をつけるためのトレーニングを始めたのです。
さらに、チームの仲間にも「ここで頑張る」と話していたことを、ほかの保護者の方から聞きました。
私が知らないところでも、自分の決断を言葉にしていたことが嬉しかったです。
自分で行き先を決めたことで、次の目標がはっきりしたのかもしれません。
進学先が決まったというだけでなく、本人の気持ちがすでに高校生活へ向かって動き始めているように感じました。
親が決めるのではなく、決められるように支える
高校選びには、正解が一つだけあるわけではないと思います。
どんなに素晴らしい環境でも、本人に合わないことはあるでしょう。
逆に、親が心配していた環境でも、子どもにとって大きく成長できる場所になるかもしれません。
そして、自分で決めたからといって、すべてがうまくいくわけでもありません。
試合に出られないことも、思いどおりにいかないことも、きっとあると思います。
それでも、自分で考え、悩み、選んだという経験は、これから先の人生でも大切な力になるはずです。
親としてできるのは、情報を集め、選択肢を広げ、必要なアドバイスをすること。
子どもの言葉にならない不安に気づき、一緒に考え、自信を持てるように支えること。
そして最後は、子ども自身の決断を尊重すること。
親が望む道を歩かせるのではなく、子どもが自分で選んだ道を、自分の足で歩いていけるように。
私自身の高校選びでの経験があったからこそ、今回はそのことを大切にしてきました。
これまで高校選びについて、いろいろな情報や体験を書いてきましたが、最後に伝えたいのはこのことです。
高校選びは、単に3年間通う学校を決めることではなく、子どもが自分の未来を考え、自分で決断する大きな機会でもあるのだと思います。
これから高校選びを迎える親子が、たくさん話し、悩み、考えながら、最後には本人が「ここで頑張りたい!」と自信を持って言える進路に出会えることを願っています。
子どもの人生は、子ども自身のもの。
その一歩を、親として見守り、応援していきたいと思います。