環境が変わればサッカースタイルも変わる。異なる環境での経験を武器に、長期的な視点で育む子どもの可能性
「このチームの選手たちはドリブルが上手」
「このチームはよく走るし、パスがよくつながる」
我が子のチームと比べて、そう感じたことはありませんか?
他県のチームへの移籍を経験した我が家の兄妹は、地域によるサッカースタイルの違いを感じ、兄は課題克服、妹は長所をより生かす形で成長を続けています。
今回の経験をもとに、子どものチームだけにとらわれず、親自身が外の世界を知り、長期的かつ広い視野で子どもを見守ることが、子どもの可能性を広げるきっかけになるのではないかと考えました。
地域それぞれのサッカースタイルの違い
移籍してすぐに、以前住んでいた県(以下:A県)と今住んでいる県(以下:B県)で、サッカースタイルの違いを感じました。
A県「賢く、キレイなサッカー、足元の技術に特化」
J下部組織のアカデミーや街クラブの強豪チームがあり、丁寧にパスをつないで数的優位を作るような、洗練された戦術と組織力が特徴だったと思っています。
フットサル文化も盛んで、狭いスペースでも慌てない足元の技術、個の創造性やドリブル技術を極める傾向にあったと思います。
A県で所属していたスクールやチームでも、逆をつくためのフェイントを使った、相手を騙すプレーを中心に練習し、まずは自分で相手と駆け引きをし、アイディアを持ってチャレンジする、個を育てることを主に取り組んできたように思います。
また、両足を使えるように、利き足ではない足でもたくさんボールを触るように指導を受けました。
B県「逞しい個、泥臭さが目立つサッカー」
全国的に有名な強豪高校があり、伝統的に、1対1で負けない、気持ちとフィジカルの強さのある個を育成することが特徴だと感じています。
試合に勝つために、個々のハードワークや攻守における切り替えの速さ、「止める・蹴る」の精度を主とした正確な技術が求められると感じています。
個人のプレーよりも、チーム全体でつないで崩すため、判断力のある選手が育ち、動きの良い選手が多いように感じました。
勝つことに対する熱意は、A県と比べて強いなと感じています。
兄妹それぞれが、新しい環境のサッカースタイルに触れて
同じA県でサッカーをしてきましたが、兄と妹で、面白いことに全く真逆のプレースタイルの選手に育ちました。

兄の場合(街クラブジュニアユースチーム所属、中学2年生)
兄は、ボールを扱う“巧さ”を優先して取り組んできた技術先行タイプで、試合をするよりも、ボールを扱う基礎練習が得意です。右利きですが、左足でも蹴り分けができるキックの精度を持っています。
B県では、最初の頃、周囲の動きの速さと運動量についていけず、ボールを受けてもトラップミスをしたり、判断が遅れてボールを奪われてしまったり、目線が下を向いていて、周囲の状況把握ができていないことが目立っていました。
走れない、動けないことで、悔しい思いをし、日々のチームでのトレーニングや練習試合に対して本気度が増し、できないことや苦手なことに対して必死に向き合って克服しているのかなと思います。本人から、「今のチームでサッカーするのが楽しい」とか「前より対応できるようになった」「今は走るのが速くなった」など、自信につながる発言が増えており、精神面の成長とB県のサッカースタイルへの適応を感じています。
技術先行で増やしてきた引き出し(武器)を、試合でチャレンジできる雰囲気があるチーム、そして、コーチだけでなく周囲の仲間が、動きの面で積極的に声をかけてくれることが良かったと感じています。
兄にとって、他県への移籍は試練だったかもしれませんが、異文化のピッチの中で新しいスタイルを必死に吸収し、自らのプレースタイルの幅を広げてくれていると思います。

妹の場合(女子チーム所属、小学6年生)
妹は、運動量やオフザボールの動きから伸びてきた動き優先タイプで、どこにいたらパスが来るか、どのタイミングで、どの距離感でいたら相手のボールをインターセプトできるか、動き重視でプレーしてきました。華奢で、フィジカル面は課題がありますが、走ることが苦にならず、負けん気も強いので、試合が大好きです。
妹はよく走れることや、1対1での粘り強い対応、裏に抜ける動きなどが持ち味で、B県のサッカースタイルにすぐに対応できたように感じます。また、B県では球際の強さを求められるので、逞しく感じるプレーが増えています。
しかし、B県では浮き球に対して「落とすな」「先に触れ」と言われるため、浮き球処理が苦手な妹は、ヘディングができなくて、よく泣いていました。
自主練習として、頭でのリフティング練習や浮き球のヘディング練習をしていました。ヘディングへの恐怖心、姿勢の作り方や体の使い方など、習得するまでに時間がかかりましたが、今ではできるようになっています。よく努力していたと思います。
他地域のサッカースタイルを知り、広い視野で子どもを見守る
一歩外の地域に目を向けると、全く違うサッカーの世界があることを知りました。どちらのサッカースタイルもそれぞれ良さがあり、魅力的で面白いと感じています。
兄妹の姿を見ていて、プレースタイルや環境への適応の仕方もさまざまですが、異なる2つの地域で経験しているすべてが、兄妹の武器になっていると思っています。
目先の勝敗や我が子のチームのやり方だけにとらわれず、
「こんなサッカーがあるんだ」と他地域のサッカースタイルを知ることや、
「こんなにうまい選手がいるんだ」と他県の選手のプレースタイルを意識することで、
将来、我が子がどんな選手に育つのだろうという長期的な視点を持ち、親自身が広い視野を持って子どもを見守ることが大切だと思います。