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U11で年間100万円!? アメリカジュニアサッカーにかかるリアルな費用事情

テキサスのサカパパ、japa-ricanです!

スペインの優勝で幕を閉じたFIFAワールドカップ2026。世界中を熱狂の渦に巻き込んだだけでなく、さまざまな議論を呼んだ大会として今後も人々の記憶に残っていくのではないでしょうか。その理由の一つは、開催国の中心的な役割をアメリカが担ったことにあるのかもしれません。

そんなアメリカでは、ジュニアサッカーの現場でも毎日のように驚きと発見があります。今年これまでのコラムでは、現地在住者として、日本代表戦が行われたダラスの様子やワールドカップの熱気をお届けしてきました。ここからは再び、10歳にしてアメリカサッカー歴7年目を迎えたジャパニーズ・アメリカンの息子を通して、私たちが日々感じている「アメリカジュニアサッカーのリアル」をお伝えしていきます。

今回のテーマは、多くのサッカー少年少女を支える保護者の皆さんが最も気になるであろう「お金事情」。「アメリカで本格的にサッカーを続けるには、一体いくらかかるのか?」実際に我が家が経験してきたリアルな数字を交えながら、包み隠さずお伝えしたいと思います。

アメリカで本格的にサッカーを続けるには、いくらかかるのか?

今回のワールドカップを通して、アメリカの物価の高さを見聞きされた方も多かったのではないでしょうか。

ホテル代、食事代、駐車場代、そしてチケット代――。現地観戦に来られた日本の方からも、「アメリカは何でも高いですね」という声を、本当によく耳にしました。

では、アメリカの育成年代ではどうなのでしょうか。

アメリカのジュニアからユース年代のサッカーは、大きく4つのカテゴリーに分けられます。それぞれで目指すものが異なり、集まる選手のレベルや保護者の期待、そして必要となる費用も大きく変わります。まずは、それぞれのカテゴリーの特徴と、クラブが請求するおおよその年間費用を見てみましょう。

※レートは1ドル=150円で換算しています。

レベル年間費用(目安)内容
レクリエーション(Rec)100~500ドル(約1万5,000~7万5,000円)誰でも参加できる地域リーグ。サッカーを楽しみながら始めるための入り口。パパコーチが多い。
セレクトクラブ(Competitive / Select)1,000~2,500ドル(約15万~37万5,000円)Recより競技志向。地域リーグや近隣大会に参加し、レベルアップを目指す。現場の指導者はサッカー競技経験者のボランティアコーチが多い。
強豪クラブ(ECNL・MLS Next 2・NPLなど)3,000~5,000ドル(約45万~75万円)全米トップレベルを目指す育成環境。大学へ奨学金を得て進む道が大きな目標。プロコーチによる指導や州外遠征も多い。
プロクラブアカデミー(MLS Next・一部USL)無料~数百ドル(0~約7万5,000円程度)目標はプロ選手の輩出。クラブが育成費を負担するため、多くの場合クラブ費や選手のユニフォーム代、大会出場や遠征費は無料、または大幅に抑えられている。

年間費用には何が含まれているのか?

では、クラブが請求する年間費用には、具体的に何が含まれているのでしょうか。今回は、ダラスにある強豪クラブのU11チームを例にご紹介します。

このチームの年間クラブ費は3,400ドル(約51万円)でした。

この費用には、主に次のようなものが含まれています。

・プロコーチ(フルタイム指導者)による週3回(1回90分)のトレーニング
・リーグ戦登録費(1リーグ分)
・審判費
・クラブが契約するグラウンド使用料・施設維持費
・クラブ全体の運営費
・チーム管理システム利用料
・チーム運営費

これだけでも高額に感じますが、じつは家庭が負担する費用はこれだけではありません。

クラブ費に含まれていない支出として、たとえば次のようなものがあります。

・ユニフォーム・トレーニングウェア代(100~600ドル/約1万5,000~9万円。Recチームだとユニフォーム一着だけで済むことが多いですが、強豪クラブになると、ユニフォームは2色、指定の練習着やリュックサックの購入が必須となり、多くは2年間の使用後、デザイン変更をし再度一式購入を求められることが多いです。)

・カップ戦参加費(1大会につき一人40~80ドル/約6,000~1万2,000円。息子チームは過去2年間、6-8大会ほど参加しましたが、参加は任意となることが多いです。)

・2つ目、3つ目のリーグ戦参加費(1つのリーグ戦のみの場合、基本的には週末に1試合となります。交代制のチームでは、1人あたりの実際のプレー時間が15〜20分程度になることもあります。アメリカでは、日本のジュニア年代でよく見られるような練習試合の機会が比較的少ないため、より多くの試合経験を積むことを目的に、複数のリーグ戦へ登録するチームも少なくありません。)

・コーチ遠征費(遠征時の交通費・宿泊費をチームで分担することが一般的)

・室内トレーニング施設使用料(雷雨や豪雨時などに屋内施設を借りて練習を行う場合)

・遠征時の交通費・宿泊費(テキサス州は日本の国土の約2倍の広さがあり、州外遠征ではジュニア年代でも飛行機で移動することがあります。)

見落としがちな「ガソリン代」

そして、日本の保護者にとって意外かもしれませんが、忘れてはいけないのが交通費です。アメリカでは、子どもだけで練習場へ通うことはほとんどなく、保護者による送迎が前提です。特にダラスのような車社会では、練習場や試合会場までの距離が長く、ガソリン代は決して小さな負担ではありません。

我が家の場合、週3回の練習と週末の試合を合わせると、毎週約300マイル(約480km)を車で移動しています。これを約9カ月(約39週間)のシーズンで計算すると、

・総走行距離:約11,700マイル(約18,800km)
・ガソリン代:約2,100ドル(約32万円)

となります。

ちなみに、青森から鹿児島までの距離は約2,100km。つまり我が家は、年間で日本列島を約4.5往復するほどの距離を車で移動している計算になります(笑)。

もちろん、車種や燃費、ガソリン価格によって金額は変わります。しかも、これはガソリン代だけの話です。車のメンテナンス代やタイヤ交換、渋滞を避けるためにやむを得ず利用する有料道路料金などは含まれていません。

また、成長に合わせて買い替えるスパイクや室内専用シューズ、長距離移動中の補食、真夏の練習や試合で欠かせない熱中症対策グッズ、冬場の防寒具など、細かな出費も積み重なります。

一つひとつを見ると、決して大きな金額ではありません。しかし、それらが積み重なることで、ジュニア年代から本格的にサッカーを続けるには、想像以上の費用が必要になります。クラブ費だけでなく、このような「見えない出費」も、アメリカのジュニアサッカーでは決して無視できません。

これらを合計すると、U11年代でも年間100万円前後という金額になる家庭は決して珍しくありません。

さらに、競技レベルが上がり、より高い目標を目指す家庭では、クラブ費以外の「追加投資」を行うケースもあります。その代表例がパーソナルトレーニングです。

ダラスでは、ジュニア年代の個人指導は1回60分で約50〜100ドル(約7,500〜1万5,000円)が一般的な相場です。週1回受けた場合、年間では約2,000〜4,000ドル(約30万〜60万円)となり、家庭によってはクラブ費に匹敵する大きな出費になります。

もちろん、すべての選手がパーソナルトレーニングを受けるわけではありません(我が家は基本自主練か外遊びをさせます)。しかし、プロ選手や大学サッカーなど、さらに高いレベルを目指す家庭では、このような追加投資を行うことも珍しくありません。そのため、本格的に上を目指す家庭の中には、年間150〜200万円以上をサッカーに投資するケースもあります。

Pay to Play(お金を払ってプレーする)という現実

じつは、アメリカのジュニアサッカー人口は世界でもトップクラスの規模を誇ります。年長さんあたりになりスポーツを始められる年齢になると、男女ともに一番人気はサッカーなのです。一説では、数百万人規模の子どもたちがサッカーをプレーしているとも言われています。

しかし、その一方で、サッカー選手として本格的に成長していく大切な時期である13〜14歳頃までに、多くの子どもたちがサッカーから離れてしまう、または継続することが難しくなるという現実があります。その理由は一つではありません。

学業との両立、他競技への転向、競争環境など、さまざまな要因があります。その中でも、年々高額化する育成年代の費用負担は、大きな課題として長く議論され続けています。

アメリカでは、この問題を「Pay to Play(お金を払ってプレーする)」という言葉で表現することがあります。これは、サッカーに限らずユーススポーツ全体において、競技を続けるために必要な費用が年々増加し、経済的に余裕のある家庭ほど有利になりやすいという問題です。その結果、本来は才能や情熱によって開かれるべきスポーツへの道が、家庭の経済状況によって制限されてしまう可能性があるという課題が指摘されています。

この現実は、決して他人事ではありません。我が家にとっても大きな課題です。子どもの夢や可能性を応援したいという気持ちがある一方で、年々増えていく費用負担は、現実的に親として向き合わなければならない大きな問題でもあります。しかし我が家では、早い段階から「アメリカで本格的にサッカーを続けるには、どのような選択肢があるのか」を考え、試行錯誤を重ねてきました。

このコラムの冒頭で、アメリカの育成年代は大きく4つのカテゴリーに分かれていることをご紹介しました。その中でも、強豪クラブのさらに上に位置するプロクラブのアカデミー(下部組織)に選抜されると、多くの場合、年間クラブ費やユニフォーム代などが免除されます。ユーススポーツがビジネスチャンスとして確立しているアメリカでは、競技レベルの向上だけでなく、家庭の経済的負担を大きく軽減できることも、プロアカデミーを目指す大きな理由の一つと言えるでしょう。

また、大手クラブの中には、返済不要の奨学金制度(スカラーシップ)を設けているところもあります。さらに、チーム運営やクラブ活動に保護者が積極的に協力することで、一部の費用が免除されるケースもあります。こうした制度は、クラブのホームページなどで大きく案内されていることは少なく、実際にはこちらから尋ねて初めて知ることも少なくありません。アメリカでは、分からないことはとにかく「聞いてみる」「相談してみる」が大切です。じつは、それが子どもの可能性を広げる第一歩になることもあるのです。

我が家では、それに加えて私自身がサッカー審判の資格を取得しました。息子の試合の合間や、自宅近くで行われるレクリエーションリーグの試合で審判を担当することで、その報酬を息子のサッカーにかかる費用へ充てています。決してすべてを賄えるわけではありませんが、年間を通して考えると、家計への負担を大きく軽減することができています。

市場原理が働くアメリカでは、質の高い環境にはそれ相応の費用が必要になることも事実です。しかし、だからといって「お金をかけなければ高いレベルでサッカーを続けられない」というわけではありません。情報を集め、子どもの成長とサッカーに対する情熱を見極め、自分たちに合った道を探し続けることで、費用を抑えながら質の高い環境やチャンスを得る方法も存在します。

その具体的な経験や、我が家が試行錯誤してきたことについては、私が運営しているブログやSNSでも発信しています。ご興味のある方は、ぜひ下記プロフィール欄からお気軽にご覧ください。また、近い将来アメリカへ赴任する可能性があるご家族、あるいは現在アメリカで暮らしている日本人の方で、「子どもにアメリカでサッカーを続けさせたいけれど、費用面が心配」という方がいれば、ぜひ気軽にお問い合わせください。

今回の記事では、アメリカで本格的にジュニアサッカーを続けるために必要となる費用について、クラブ費だけでなく、用具代、遠征費、そして送迎にかかる交通費など、普段は見えにくい部分も含めてご紹介しました。

たしかに、アメリカの育成年代のサッカーには、日本とは比べものにならないほど大きな費用負担があります。しかし、その一方で、費用が高いからといって、「高額な費用をかけなければ高いレベルを目指せない」というわけではありません。大切なのは、さまざまな選択肢を知り、自分たちの環境や目標に合った道を見つけることです。

この考え方は、決してアメリカだけの話ではなく、日本のジュニアサッカーにも当てはまるのではないでしょうか。一人でも多くの子どもたちが、環境や費用の壁だけで夢を諦めることなく、自分に合った環境の中で、サッカーを心から楽しみながら成長していけることを願っています。

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