監督・コーチ禁止! 戦術も交代もすべて子どもたちだけで考える! 本田圭佑氏考案の4v4全国大会決勝の舞台へ
皆さまこんにちは! 2025年がSTARTし、今年もサカママコラムを担当させていただくことになりました、早坂と申します。サカママコラムも5年目に突入しました。皆さまいつもお読みくださりありがとうございます。
我が家のサッカー兄弟は4月から中学2年生と小学5年生になるので、どちらも今後の進路を考えていかなければいけない一年になりそうです。
あらためて、皆さま本年もどうぞよろしくお願いいたします。
本田圭佑氏考案「4v4」とは
昨年末12月24日~26日の3日間で行われた「4v4 JAPAN CUP 2024 RESPECT YOU,au」に、我が家の次男が出場しました。
「4v4」初めて聞く方も多いと思いますが、元日本代表の本田圭佑氏が考案した4対4のサッカーです。
ただの4人制サッカーではなく、特殊なルールがいくつかあり、例えばボールを持っているチームは20秒以内にシュートを打たないといけない「20秒ショットクロック」や、ペナルティーエリアの外側からのシュートは2点、ペナルティーエリアの内側からのシュートは3点など、点差次第では残り数秒でも逆転可能なルールになっています。その他ドリブルインOKや、ハーフラインを越えてからしかシュートが打てないなど、バスケットのような、フットサルのような、でもサッカーボールは4号球という、いろいろな競技の良いところを詰め込んでいます。
中でも一番特徴的なルールは「監督・コーチ禁止!」
小学生年代の大会で、監督・コーチ禁止は他に無いでしょう。大人がいない状況で子どもたちだけでどのように戦略を立てるか、それがまたこの大会を面白くしているものだと感じます。
予選大会で優勝! 初めての全国大会へ
4v4の全国大会に出場するには2つの方法があります。
・各地域で行われるゴールド大会で優勝する
・4月~11月に行われる予選大会でポイントを貯めて、ポイントランキングの上位32チーム以内に入る
次男の4v4のチームはそれぞれ普段の所属チームが違うため、なかなか皆の予定を合わせることができません(4v4はプライベートチームのため、基本的に所属チームの活動優先)。そのため、予選大会に何度も出場してポイントを貯めることは難しいというなり、ゴールドランク大会で優勝して全国の切符を手にしようという目標になりました。
それでもなかなか予定が合わず、メンバーは7人いましたが、4人ギリギリでゴールド大会に参加することになりました。
既に東京でのゴールド大会は終了していたため、4人の日程が合う福島のJヴィレッジで行われたゴールド大会に参加しました。そこで見事優勝し、全国への切符を手にすることができました。
全国大会の雰囲気に飲まれ…まさかの初戦負け
いよいよ全国大会初日!
千葉のZOZOPARK HONDAに全国各地からU-10のチームが49チーム集まりました。49チームを7ブロックに分けて、予選リーグは総当たり戦。各ブロック2位までが決勝トーナメントに進むことができます。
大事な初戦は同じ東京都のチーム。子どもたちの中には知っている子もいたようで、絶対に負けられない戦い! だったのですが、まさかの3-4で負け!
4v4初めての負け! 初戦で出鼻を挫かれ泣き出す次男。
まだチャンスはあるよと慰め、気を取り直して残りの2試合は快勝で初日終了。
翌日、残り3試合全勝しないと決勝トーナメントに行ける可能性がほぼ無くなる状況で、まさかのまた負け! 相手は福島のゴールド大会決勝で対戦したチームで、リベンジされてしまいました。緊張からなのか皆の動きが固く、いつも通りのプレーがなかなか出せていませんでした。
「さすがにもう決勝トーナメントに行ける可能性はほぼ無くなったね…」と言いながらも、残りの試合は大量得点で全勝。
予選ブロック4勝2敗で3位かな…と思っていたところ、ブロック2位だったチームが他のチームに敗れ、次男たちのチームがなんと勝ち点2位で予選リーグ通過することが決まりました。
運を味方につけたまま臨んだ決勝トーナメント1回戦。
予選2位通過のため、相手は別ブロックの予選1位通過のチーム。しかも、相手チームの予選結果は大量得点で圧勝しており、間違いなく優勝候補であろうチームとの対戦でした。
朝一の試合に弱かった彼らも、夕方には元気! 決勝トーナメントからは観客も増え、個性的な彼らはスポットライトを浴びたらさらに元気になり、優勝候補のチームに見事勝利することができました。
試合終了後、対戦相手の親御さんから声を掛けられ、相手チームの選手は全員関西のJリーグ下部組織のチームに所属しているということが判明。みんな上手だったので納得! とても貴重な対戦をしていただき、感謝でした。
その後の準々決勝も快勝し、予選ブロック初戦で負けたとは思えないまさかまさかのBEST4まで残り、最終日につなぐことができました。
BEST4進出チームは一人ずつ最終日に向けてのインタビューを受けたのですが、記者会見のような大きなバックパネルを背に照れくさそうに答えている姿がまだまだ10歳という感じで可愛かったです。
想像を遥かに超えた会場! 主役は小学生!
あれよあれよという間に迎えた最終日。
準決勝・決勝の会場は新しく出来たばかりのLALA ARENA TOKYO-BAY。
「え!? こんなにすごいところでやるの??」と会場に到着して驚いたのは私たち保護者。中に案内されると、パーテーションで仕切られた選手控室。アップルームにも案内され、すごいねーなんて話していたら、そこからがもっとすごかった。
スタッフさんに、会場内確認お願いしますとドアを開けた先は、奇麗な人工芝に大きなスクリーン、たくさんのカメラ。そしてスクリーンに映し出されたのは次男たちのチーム「seasons」のこれまでの試合映像のハイライト。
U-10の大会とは思えないほどの素晴らしい会場に、子どもたちは大興奮、私たち保護者は終始圧倒されていました。
開会式の準備や入場シーンのリハーサルなどでアップをする時間はあまりなかったのですが、リハーサルの待ち時間の間に「アップ行くぞ!」「作戦会議!」など、子どもたちそれぞれが声をかけて準決勝に向けて準備をしているところが、この4v4で一人ひとり成長しているな~と感心しました。
ちなみに、大会を盛り上げてくれるダンサーやDJもみんな小学生!
我が子と同い年くらいの子たちのダンスや歌のリハーサルを見ていて、みんなそれぞれ違う世界で頑張っているのだな~と、子どもたちの一生懸命な姿に感動し涙が出そうになりました。
初めての選手宣誓と、準決勝で魅せた魂のゴール!
リハーサルも終わり、いよいよ本番。
BEST4に残ったU-10とU-12の各チームの代表が選手宣誓をして開幕です!
キャプテンをやらせてもらった次男は初めての選手宣誓! 前日の死闘で声を出しすぎたこともあり、ちゃんと大きな声が出せるか心配でしたが、若干かすれつつも振り絞って無事に選手宣誓をすることができました。
開会式が終わったら、すぐに準決勝の第一試合がスタート!
こんなに大きな会場でプレーすること自体が初めてだったので、この全国大会初戦を思い出し、みんな緊張していないかなと心配でしたが、立ち上がりからガンガン攻めていてびっくり。やっぱりスポットライトを浴びると燃える子たちだったようです(笑)。
開始2分が過ぎたころ、次男のゴールで先制! ダイレクトでゴール左隅にズドン!
まさに毎日の朝練で練習しているシュートがこの大舞台で出ました。暑い日も寒い日も、眠くても頑張って起きて、自分で準備して自転車を漕いで、5年間コツコツ努力してきた魂をすべて込めた一本のシュートでした。
結局このゴールがそのまま決勝ゴールになり、準決勝は2-0で勝利! (ペナルティーエリア外のゴールなので2得点)決勝の舞台への切符を手にしました。
6000人の観客が見守る中、いよいよ決勝戦!
4v4決勝戦で優勝したチームは、本田圭佑氏率いるレジェンドチームと試合ができます。レジェンドチームのメンバーは三浦知良さんをはじめ、内田篤人さんや乾貴士さん、宇佐美貴史さんなど元日本代表から現役選手まで、豪華なメンバーが勢揃い! 槙野智章さんと宮市亮さんは解説に。実況はワールドカップでもおなじみの寺川アナウンサーと、サッカーファンならみんな大興奮するような贅沢すぎる環境でした。
レジェンドたちの試合を観にお客さんが続々と集まって来て、決勝戦が始まる頃には観客席は埋め尽くされていました。その数6000人!
みんな拍手や大歓声で盛り上げてくれて、こんなに大勢の観客の前でこれから我が子たちが試合をするの? となんだか夢見心地なふわふわした気持ちで見ていました。
そして迎えた決勝戦。
決勝戦前に子どもたちで作戦会議。出場の順番やポジションを話し合い、前日の決勝トーナメントでセービングが良かった次男がキーパーをやることに。本来はストライカーで前のポジションが多い次男。きっと今までの次男だったら「俺がキーパーをやる!」なんて言わなかったと思います。チームで優勝するために何が最善か選手たちだけで考える、心の成長を見ることができた瞬間でした。
試合開始早々攻めるseasonsの選手たち。
最初のピンチをナイスセービングで「うらあ!」と吠え会場を煽り、盛り上げた次男。
ABEMAでLIVE配信もあり、見逃し配信で見たところ、解説の槙野さんに「早坂くん止めたあと会場を煽っていていいですね~!」と言われていました(笑)。
そして仲間の素晴らしいシュートで先制!
その後、相手の攻撃も仲間が必死のディフェンスで身体を張って守る! 守る!!
しかし残り3分で相手チームに得点を許し、両チーム1ゴールずつ決めて3-3でタイムアップ。そのままPK戦へ。
1人目からサドンデスPKというルールだったので、1人目で外した時点で即終了。
そんな緊張感の中、先攻後攻を決めるじゃんけんで勝った次男は先攻を選び、自らボールを持って1人目のキッカーに…!
シュートに自信があるとはいえ、6000人の観客の前で我が子が最初のキッカー。心臓がドキドキして見ていられなかった私は、次男が蹴る瞬間目を瞑っていました(笑)。
そんな私の心配をよそに、本人は落ち着いてサクッと決めてPK成功!
そのままキーパーとしてゴールに向かいました。
その後味方のシュートが惜しくもバーに当たり、相手のキッカーのシュートを触ってはいたものの威力があり弾かれてしまい、その瞬間にseasonsの敗退が決まりました。
負けが確定した瞬間、仲間は崩れ落ちて号泣。優勝した相手チームの選手たちもみんな泣いていました。
一人だけ涙を見せなかった、泣き虫な次男
不思議なことに、負けが決まった瞬間から最後まで次男が涙を見せることはありませんでした。普段はどんなに小さな大会でも負けたら顔をくしゃくしゃにして泣く、泣き虫で負けず嫌いな次男。予選リーグ初戦で負けた時もあんなに泣いていたのに。
挨拶が終わった後も、PKを外して泣いている仲間の肩に手を置き声をかけたり、応援してくれた会場の皆さんに拍手をして挨拶をしたりと、毅然とした態度で決勝の舞台を後にしていました。
帰りに「珍しく泣いてなかったね」と聞くと、『なんか泣けなかった。でもがんばったし、すごく楽しかった』と話していました。
きっと、この3日間自分なりに全力を出し切って、やり切ったのだと思いました。
こんなに大勢の人の前でプレーすることはなかなか無い経験で、緊張したり興奮したりすると思いますが、それも全部含めて楽しんでいたのだと思うと、とても良い経験をさせてもらえたな~と思います。
一緒に戦ってくれた仲間や相手の選手たち、支えてくれた運営の方々や応援してくれた皆さまに感謝の気持ちでいっぱいです。
優勝にはあと一歩届きませんでしたが、2500チーム以上ある中の全国2位、みんなよく頑張ったと思います。
何より大人のコーチングや助けも一切なく、子どもたちだけでここまで来られたことは、これからのサッカー人生に必ずプラスになると思います。
本田圭佑さんが言っていたこと
「負けてもいい、負けても諦めないこと。やり続けること。みんなが辞めても最後まで辞めなかった選手がプロになる」
この言葉は、参加した選手たちの心に響いたと思います。
4v4見たよ! 感動したよ! と声を掛けてくれた方が多く、とても嬉しく思います。次男の担任の先生はクラスのみんなと一緒に見てくれたそうで、とても嬉しそうに話していました。
今回のかけがえのない素晴らしい経験を胸に、これからも日々コツコツ継続して、夢に向かって頑張ってほしいなと思います。最後までお読みいただきありがとうございました。
※準決勝、決勝の様子はABEMAで無料で見られるので、お時間ありましたらぜひ見てみてください。