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指導者の言霊「赤地信彦 鵬学園高等学校サッカー部監督」|サカママVol.57

指導者の言霊「赤地信彦 鵬学園高等学校サッカー部監督」

社会に出て通用する“人間力”をサッカーを通じて育ててあげたい

サッカー指導者として子どもたちに伝えたいのは「社会に出たときに通用する人間にな ってほしい」ということ。私自身、鵬学園の教員になる前に4年間、大手電機メーカーでサラリーマンを経験したのですが、コミュニケ ーション能力や相手の立場に立って物事を考えること、どんな状況にも対応できるように準備を怠らないことなど、サッカー人生で培 ってきたものがすべての基礎になりました。サッカーを通じて人として成長できれば、学力に関係なく社会で生きていける。技術を磨くこと以上に心を鍛えることが大切だというのを教えてあげたいと思っています。

そのために日々、生徒たちには意識づけをしています。自分を見つめ直して課題を明確にするサッカーノートの習慣、関わってくれる方々への挨拶の徹底、練習前に率先して準備をする姿勢…。オフ・ザ・ピッチの言動すべてがサッカーにつながると伝えています。

監督を始めた14年前に比べると、最近の高校生は自分で考える力、決める力が低下しているように感じます。なんでもすぐに欲しい情報を得られる時代で、私たち大人も教えすぎてしまうところがあるのかもしれません。自ら決断できるように促すには、目標をしっかり持たせること、そのために何をすべきか考える習慣をつけさせることが大事。そうした機会をジュニアの年代からたくさん与えてあげられるといいのではないでしょうか。

同時に小学生の頃は、長所や個性をどんどん伸ばしてあげてほしいです。それぞれが自分の得意なプレーを見つけ、指導者の方々が練習で一人ひとりに合った仕掛けをしてあげる。そして苦手なことは、彼らからコーチに相談できるような環境だと素晴らしいと思います。言われたことだけをやるより、自分で考えて工夫したほうがもっと楽しい。サッカ ーという自由なスポーツの魅力を、ジュニア選手たちには存分に伝えてあげてほしいです。

子どもの多彩な能力を伸ばすという意味では、サッカー以外の運動をやってみるのもいいでしょう。これまでの実感として、サッカ ーだけをしてきた選手は、足の踏ん張りがきかないなど動作に偏りが見られたり、故障するケースも多い印象があるからです。他のスポーツはもちろん、木登りや鬼ごっこをして思いきり遊ぶことでもいい。ケガ予防のためにも、小さいうちから色々な身体の使い方を身につけられるといいのではないでしょうか。

子どもがうまくいかないときこそ 「自分で考える」きっかけづくりを

子どもの可能性を広げるには、保護者の関わり方も重要だと思います。「頑張っているのにうまくいかない」と弱音を吐くこともあるでしょう。でも今は試合に出られなくても、その後の行動次第でチーム内でのポジションが逆転することは多々あります。私も3人の子を持つ親として「失敗させたくない」という気持ちはよくわかりますが、彼らの未来を考えれば失敗も貴重な経験になるはず。そういうときこそ「なぜうまくいかないのか」「どうすれば試合に出られるのか」と自分で考えるきっかけをつくってあげる。親も我慢して見守ることが、子どもの主体性や決断力を育むには大切なのではないかと感じています。

一方で、サッカーをずっと好きでいられるための仕組みや仕掛けを用意してあげるのは大人の役目ではないでしょうか。鵬学園の特徴として自信を持って言えるのが、ほとんどの部員が卒業後も大学でサッカーを続けていること。レギュラー以外のメンバーを含め、3年間を通してサッカーの楽しさを再確認し、みんなサッカーがもっと好きになるんです。

選手個々が“人間力”を高め、仲間を信頼し合い、全員が同じ方向を向いてチームが結束できれば、どんな相手にだって勝てるチャンスがあると信じています。そう断言できるだけの経験を積み重ねてきましたし、信念はブレることなく、これからも高校生たちと向き合い、成長を後押ししてあげたい。そして、今のやり方でも高校サッカー選手権やプリンスリーグで栄光をつかめることを証明して、彼らにいい景色を見せてあげたいですね。

(2026年4月発行 soccer MAMA vol.57 「指導者の言霊」にて掲載)

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