走って、止まって、また走る! 長く走るだけじゃない、サッカーの持久力とは
「サッカーは走るスポーツだから、持久力が大事!」
これは、保護者だけではなく、お子様自身も感じていることではないでしょうか。
実際、サッカーでは試合の最後まで動き続ける体力が必要です。だからこそ、学校の持久走で長い距離を走ったり、家でランニングをしたり……。
「もっと走れるようにならないと、サッカーでも最後まで動けないのかな?」
と考えてしまいますよね。
私も以前は、持久力を鍛えるため、「家の周り走るよー!」と声をかけ、マラソン練習をしていました。でも、サッカーの試合を見てみると、選手たちはマラソンのようにずっと同じペースで走っているわけではありません。
・歩いていたと思ったら突然ダッシュ
・相手を追いかけて急停止
・方向を変えてまた走る
・ボールを奪ったら今度は攻撃へ
・ほんの少し動きが落ち着いたと思ったら、またスプリント
歩く→ジョギング→ダッシュ→急停止→方向転換→またダッシュというように、強度が何度も変化するので、マラソンとは異なる部分があるのがわかります。
そんなサッカーにおける持久力を測るうえで考えたいのが、体力測定などで使われる“ヨーヨーテスト”です。
ヨーヨーテストって何?
主にジュニアユースやユース年代に行われている体力測定で、ジュニア年代の方には、まだ馴染みがないかもしれません。
ヨーヨーテストは1990年代に、デンマークのスポーツ科学者Jens Bangsbo(イェンス・バングスボ)氏らによってサッカー選手の体力評価に用いられる形で発展したもので、正式にはYo-Yo Intermittent Recovery Test(ヨーヨーインターミッテントリカバリーテスト)といいます。
“IR1”と“IR2”があり、
IR1は、繰り返し走る中での有酸素能力や間欠的持久力を評価するもの
IR2は、さらに高い強度で運動を繰り返す能力を評価するもの
という違いがあります。
特徴は、ただ走り続けるのではなく、走る → 短い回復 → また走るという動きを繰り返すところです。
つまり、「長い距離を走り続けられるか」だけを見るのではありません。
一度強く動いたあと、短い時間で回復して、もう一度高い強度で動けるか。
そこがポイントになります。
日本代表やJ下部育成年代でも実施されており、ヨーヨーテストは長年にわたってスポーツ科学の研究で使われてきた評価方法なのです。
ちなみに、「ヨーヨー」の由来は、行って、戻って、また行って…の動きがヨーヨーのように見えることから、この名前がついているとのことです。

シャトルランとの違い
「それなら、学校のシャトルランでもいいんじゃない?」
そう思う方もいるでしょう。実際、共通する部分はあります。
どちらも、往復する→スピードが上がる→方向転換する→また走る、という要素があります。
違いは「回復」を挟むかどうかです。
サッカーの試合でも、選手はずっと全力で走り続けるわけではありません。
高強度の動きをしたあと、少し歩いたり、ジョギングしたり、ポジションを取り直したりする時間があります。そして、その短い回復のあとに、またダッシュ。この繰り返しです。
「疲れないこと」よりも、「疲れてからもう一度動けること」が大切になります。
サッカー持久力アップのカギは方向転換?
では、ヨーヨーテストの回数を増やすには?
毎日20mを往復させればいいのでしょうか?
大切なのは、ヨーヨーテストそのものを繰り返すことではなく、ヨーヨーテストで求められる能力を身につけること。
たとえば、短い距離を走る→少し休む→また走る、という動き。
あるいは、ダッシュ→減速→方向転換→再加速、という動き。
サッカーの練習そのものにも、こうした動きはたくさん含まれています。
じつは「ターン」も大事!
シャトルランやヨーヨーテストを見ていると、つい「足が速い子が有利」と思ってしまいます。
もちろんスピードは大切。でも、もう一つ欠かせないのが方向転換です。
20m先まで走って、そこで急停止して、反対方向へ全力で走る。
これを何度も繰り返すわけです。
毎回、ブレーキをかけるように「キュッ!」と止まってから方向転換していたら、それだけ身体への負担も大きくなります。
サッカーでも同じで、相手を追いかけて急停止し、方向を変えて再び走る。
「速く走る」だけではなく、「上手に減速する」「スムーズに方向を変える」
という身体の使い方を身につけることが大切です。

サッカーの体力はサッカーでつけろ!!
持久力を鍛えるために、必ずしも「走る練習」をしなければいけないわけではありません。
たとえば3対3や4対4などのスモールサイドゲーム。人数が少ない中でのプレーは、攻撃する→ボールを失う→すぐ守備に戻る→ボールを奪う→また攻撃する、という動きが自然に生まれます。
つまり、走る、止まる、方向を変える、また走るという動きが、ボールを使いながら繰り返せるわけです。
“長く走れる”ことと“何度も強く動ける”ことは、似ているようで少し違いますよね。
「今ここで相手を追わなきゃ!」
「ボールがこぼれた!」
「攻撃に出た!」
と感じる瞬間が、サッカーに必要な「持久力」を育てる一つのポイントではないでしょうか。
ではまた次回よろしくお願いいたします。