歴史的瞬間の目撃者に! イングランド対日本代表戦現地レポート!
いよいよワールドカップ開催まであと2カ月を切りましたね! こちらイギリスでは、先日、日本代表の、スコットランド代表とイングランド代表との親善試合がそれぞれ実施されました。筆者はイングランド代表戦を現地観戦しましたので、今回のコラムでは当日の様子をレポートいたします!
イングランド代表との試合は16年ぶり!

前回、日本代表とイングランド代表の試合が行われたのは2010年。16年ぶりに行われる両国代表の試合、それも聖地ウェンブリー・スタジアムでの開催となれば、在英邦人として、しかもサッカーに関わっている身としては、何としても観に行かないわけにはいきません。筆者の勤めるフットボールサムライアカデミー(以下サムライ)では、アカデミーの選手とそのご家族、スタッフなど総勢約250名で、日本代表の応援に駆けつけました。
キックオフ前から盛り上がるスタジアム周辺
試合のキックオフ時間は夜7時45分でしたが、筆者がスタジアムの最寄り駅に到着したのは夕方4時半頃。試合が楽しみすぎたので、かなり早く到着しました。試合開始3時間前でも、ウェンブリー・スタジアム周辺には、イングランド代表ユニフォームと日本代表ユニフォームに身を包んだサポーターがどんどんと集まってきていました。
もちろん、筆者自身も家族とともに日本代表ユニフォームを着ていました。プレミアリーグのサポーター同士のピリピリとしたムードはなく、両国サポーター同士が写真を取り合うなど、和やかな雰囲気が漂っていました。

スタジアム前のファストフード店で腹ごしらえをした後、近くをうろうろと散策していたら、なにやら人だかりを発見。なんだろうと近づいてみると、ホテルの前に大きなバスが3台止まっていました。どうやら、代表選手たちがそのホテルに泊まっており、出待ちをしている人たちのようでした。周りには、同じように出待ちをしている知り合いの顔がちらほら見え、みんな考えることは同じだなぁと思いました。
筆者たちもその人だかりに交じってしばらく待っていると、ホテルの中になにやら見覚えのある顔を見つけます。入口に近づいてきたその人の顔をよく見ると、日本サッカー協会会長の宮本恒靖さんでした。現役時代と変わらずスマートな佇まいがかっこよかったです。

出待ちを始めてから1時間ほど経った頃、筆者たちが待っていた入口とは50メートルほど離れた場所にある別の入口付近がにわかに慌ただしくなり始め、両国の代表選手がホテルから出てバスに乗り込む姿が見えました。遠かったため、一人ひとりの選手の顔まではよく見えませんでしたが、選手たち、特にイングランド代表選手の背がとても高いことは離れていてもわかりました。
日本代表を応援するために集まった仲間たち

バスが出発するのを見送った後、ようやくスタジアムへと向かいます。チームのみんなで集合する場所で待っていると、「あの…」と声をかけてくださる方がいらっしゃいました。その方は、昨夏にドイツのフランクフルトで行われたEuro J Jr. という大会で、息子のチームと対戦した、ベルギーのチームに所属していた選手の保護者の方でした。
実は、筆者家族とそのご家族は、昨秋に旅行先でも偶然出会っていたのです。そしてウェンブリー・スタジアムでまた再会するとは、なんというご縁でしょうか。サッカーを通じて得たご縁がこうしてつながっていることが、なんともうれしい瞬間でした。
スタジアムの中に入ってみると、そこにはたくさんの日本人サポーターの姿が。試合開始前にドリンクスタンドに並んでいると、一緒に観戦に来たチームの仲間以外にも、たくさんの友人知人に会いました。筆者はこれまでにも何度かウェンブリー・スタジアムを訪れていますが、当然ながら、今までで一番多くの日本人サポーターがいました。噂によると、今回の日本戦では、アウェイ席の数が通常の3倍ほど用意されていたそうです。
私たちの席はアウェイ側のコーナーゾーン。すべてのアウェイ席の座席の背もたれには、青いビニール袋がかけられていました。どうやら、日本から来られた代表応援団の方々が、早くからスタジアム入りし、各席に配ってくださっていたようです。テレビで見る代表戦での一体感のある応援は、このようにして作られるのだと初めて知りました。

スタジアムでしか感じることのできないもの

両国選手がピッチに入場してくると、スタジアムのボルテージが一気に高まるのが感じられました。選手と供に入場するエスコートキッズのうち、なんと3人が我がサムライの選手。彼らの姿を探しましたが、遠すぎて誰が誰だか全く判別できませんでした。
国歌斉唱で『君が代』が流れ、胸に手を当てて一緒に歌うと、特別な空気、感情に包まれる気がしました。子どもの頃は「『君が代』ってなんだか暗くて、戦う気が起きるような歌じゃないよな」なんて思っていたのですが、大人になり、こうして日本代表戦の場で聴くと、厳かな曲調だからこそ士気が高まる、ということを体感しました。

試合が始まると、目の前で繰り広げられるプレーのスピード、パワー、テクニック、そのすべてに圧倒されました。特に、ロングボールなど勢いのあるボールを受け止める際の、タッチの柔らかさと正確さに驚きました。
テレビで観戦するほうが、ピッチ全体を俯瞰して見たり、ズームアップされた選手の表情などを細かく見たりすることができます。しかし、スタジアムで見るからこその臨場感というのは、やはり比べものになりません。目の前で見たエリオット・アンダーソン選手の弾丸シュートの速さと弾道は忘れられません。
三笘薫選手のゴールは、私たちのいた場所とは反対サイドでしたが、ボールがゴールネットを揺らした瞬間、日本サポーターは総立ちとなり、雄叫びを上げ、隣り合う人同士でハイタッチが交わされていました。後半はイングランドの攻撃の時間が増えましたが、GK鈴木彩艶選手がファインセーブを連発すると、何度も鈴木コールが起きていました。
選手とサポーターが一緒になって分かち合う、勝利の喜び

試合終了のホイッスルが鳴り、日本代表の歴史的勝利の瞬間が訪れると、アウェイ席の熱気は最高潮に達します。周りにいた誰もが紅潮した笑顔で喜び合い、サッカーでみんなが一つになる瞬間を体感しました。
日本代表選手たちがアウェイ席に挨拶に来ると、誰もがスマホカメラを向けて写真を撮っていました。そんな様子を見て、橋岡大樹選手がサポーターに向かって「もっと盛り上げてくれ」と言わんばかりに、腕を大きく振るパフォーマンスを見せ、さらにサポーターのテンションがアップ。選手たちがピッチを後にしても、サポーター席はまだ初勝利の興奮に包まれていました。もっと喜びの余韻に浸りたい気持ちに後ろ髪をひかれながら、最後は、応援に使った青いビニール袋を使って自分たちの席の周りのごみを拾い、帰路につきました。

ウェンブリー・スタジアムでの初勝利という歴史的瞬間に立ち会えたことは、本当にただただ運が良かったと思います。筆者だけでなく、あの場にいた日本人みんながそう感じていたことでしょう。子どもたちにとっては、きっと一生忘れられない思い出になるのではないでしょうか。
親善試合だけでこれだけ盛り上がるのですから、ワールドカップ本戦の盛り上がりはさらにすごいものになるのだろうと思います。これだけ多くの人を熱狂させるサッカーというスポーツの素晴らしさを、あらためて感じる一日となりました。
最後に、日本代表の渡辺剛選手のエスコートキッズを務めた山田凌久くんと、お母さん千穂さんに、当日の感想をお伺いしました。

山田凌久(りく)くん
「とても緊張したけれど、間近で選手たちを見られてすごくうれしかった。イングランド代表選手も、日本代表選手も、みんな体が大きくて、本当にかっこよかったです! 観客席はたくさんの人で埋まっていてすごいと思ったし、日本に勝ってほしいと思いました。とにかく楽しかったです!」

山田千穂さん(凌久くんのお母さん)
「普段の表情とは違った、緊張しながらも凛々しい顔を見ることができ、嬉しさと頼もしさを感じました。息子本人はもちろん、家族としてもこのように素晴らしい貴重な経験をさせてもらい、とても光栄でした。息子には、これからも楽しくサッカーを続けていってほしいです」