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サッカーを続けると、どうなるの?続けていればいつかは伸びるって本当?(前編)

全国屈指の強豪校として知られ、平成最後の第97回全国高等学校サッカー選手権大会(以下、選手権)ではベスト4入りを果たした福島県の尚志高校サッカー部。創部以来、20年以上に渡り指揮を執るのが仲村浩二監督です。高校生を指導し続けている仲村監督に、サッカーを続ける魅力、サポートするうえで大切にすべきことなど、サカママの疑問に答えていただきました。大会出場メンバーの逸話も満載です!

小・中学生のときにはあまり実力のない選手が、高校で伸びることはありますか?

一つ自信がついたときに、選手は一気に伸びていくものです!

サッカーを通して、何か一つ自信がついたときに選手は伸びていきます。選手権で活躍した高橋海大は、中体連(中学サッカー部)から入ってきて、最初は下のチームで目立たない選手だったんです。でも、くじけずに続けていく中で自分のプレーに自信をつけて、一気に成長しました。

尚志高校ー高橋海大選手
高橋海大選手(DF)。卒業後も作新学院大学でサッカーを続けている。

チームメンバーの中で、とくに成長を感じた選手は?

ずっとレギュラーだった馬目裕也。選手権には出ることができなかったけれど人間的に成長した

2年生の頃からレギュラーだった馬目が、3年生になった当初、引退宣言をしたんです。当時、メンタル的に弱っていたんでしょう。サッカーが好きではないとまで言ってましたから。結局、チームメイトの黒澤のおかげもあって、馬目は戻ってきました。ただ、選手権の直前にあったプレミアリーグ参入戦でケガをしてしまって…。でも、その試合は9人になりながらもPKで勝ち取ることができたんです。馬目はベンチの前で大泣きしてました。そこからですね、大きく変わったのは。選手権にも、最後まで出たいという気持ちを持っていましたし、出れなくても、みんなを応援してくれて。負けたときには一番泣いてましたね。

馬目裕也選手ー尚志高校
卒業後も作新学院大学でサッカーを続けることを決めた馬目裕也選手(DF)。

引退宣言をした馬目選手を救ったのは
チームメイトの黒澤選手だった!

「じつは馬目が引退宣言をした後、次の大会では馬目の代わりに黒澤誓哉を入れたんです。でも、黒澤は全くいいプレーができなくて、しかもハーフタイムで泣いている。どうしたって聞くと『馬目とサッカーがやりたいんです』と。黒澤に自分の気持ちを馬目に伝えるように言いました。黒澤の想いが届いたからこそ、馬目は戻ってきたんだと思います」

馬目選手、黒澤選手
馬目選手(左)と黒澤選手(右)は同じポジションで3年間切磋琢磨した。

サッカーを続けることの魅力って何だと思われますか?

みんなで同じ目標に向かい、努力し続ける経験ができること

1つの同じ目標に向かってみんなで努力し続けることって、今の子どもたちはあまり経験しない、貴重なことだと思います。サッカー部の選手を見ていると、選手権のためにみんなで努力し、ときには喧嘩があったりとドラマもいっぱいでてきます。それでも、みんなで支え合っている姿は、やはりすごくいいなと思いますね。そんな中で、人としても成長していくように感じています。

尚志高校
「尚志ファミリー」と呼ばれるほど、尚志高校サッカー部は学年関係なく選手同士、指導者はもちろん、OBや保護者も仲がいいそう。

レギュラーから外れてしまったとき、親ができることってありますか?

落ちてしまっても、その後、這い上がれば大丈夫。自分を見つめ直すようなアドバイスを

2年生の中に、ずっとレギュラーで試合に出ていたのですが、1年生にポジションを取られてしまい、出られなくなった選手がいるんです。選手たちとはサッカーノートを交換して書いているのですが、その選手が「試合に出られなくなって、僕は何をしていいのかわからない。アドバイスをください」と書いてきたんです。僕は「なんで尚志高校サッカー部で頑張るのか、なんでサッカーなのかなども踏まえて、とにかく1回自分を見つめ直して、自分の未来をデザインしてみよう」と書きました。落ちてしまっても、最後まで諦めないという気持ちを持って、そこから這い上がることが大事だと思っています。

サッカーノート
2年生の選手の実際のサッカーノート。仲村監督からの熱いアドバイスが記されている。