メインコンテンツに移動

今だからこそ振り返りたい保護者の観戦マナー【大槻邦雄の育成年代の「?」に答えます!】

サカママ読者の皆さま、こんにちは!大槻です。
寒い日が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか?子ども達が半袖、短パンでグランドを駆け回る姿にただただ感心しっぱなしです。お子さんの練習に付き添う際や試合観戦のときは、皆さまは防寒対策ばっちりでお願いします(笑)。

さて、今回は“今だからこそ振り返りたい保護者の観戦マナー”と題しまして、子ども達を見守る保護者の観戦マナーについて考えていきたいと思います。チームの為に、子どもの為に…という想いがあるからこそだとは思いますが、過剰な声援は子ども達に悪影響を与えたり、自分達の振る舞いが周囲の迷惑になってしまうこともあります。子ども達のためにも、もう一度観戦マナーについて考えていきましょう。

試合に関わる全ての人が大切なサッカーの仲間

 

どんな試合であっても自分の子どもの活躍を願うのは保護者としては当然のことですし、自チームの勝利を願うのも当たり前のことです。ですから、声援を送ることも当然のことです。しかし、思わず行き過ぎた声援や過剰な応援をしてしまう保護者の方がいるのも事実です。子ども達のことを想ってのことだとは思いますが、少し冷静になって考えてみてください。

観戦マナーと言われると固く感じるかもしれませんが、何も難しいことではありません。子ども達がサッカーと出会って、ボールを蹴り始めた日のことを思い出してみてください。楽しそうにボールを蹴っている姿を見るだけで、とにかく嬉しく思ったのではないでしょうか? その気持ちを忘れず、子ども達がどうしたら楽しくサッカーできるか、勝った方も負けた方も気持ち良く試合ができるような応援を心掛ければいいのです。

子ども達の判断を奪う声援に注意!

子ども達はチームの方針の下に自分で考えてプレーの選択をしています。また、試合中は指導者から指示が出ることもあるでしょう。しかし、そこで応援の保護者の方々から指示に近い声がグランドに向けられてしまったら、子ども達はどうでしょうか? 指導者の指示と親からの指示の狭間で判断することが出来なくなってしまいます。熱くなり過ぎた罵声や暴言に近い声はもちろんのこと、子ども達の判断を奪うような声援や声掛けもまたマイナスにしかなりません。

ポジティブな雰囲気で一緒に試合を作りましょう!

また、過剰な声援は試合の流れに影響を与えることがあります。例えば、攻勢が続く中でチャンスを外してしまった後、ピンチが続いている状況など観ている方もハラハラドキドキする場面では過剰な声援が起こりがちです。声援の内容によっては、子ども達の判断を奪うだけでなく心を奪ってしまうことにも繋がり、試合の流れを左右してしまうこともあります。保護者の方々も試合を一緒に作っているという感覚を持ち、子ども達がポジティブに動き出せる雰囲気を作っていけると良いですね。

対戦相手へのリスペクトを忘れない!

試合では勝てば嬉しいですし、負ければ悔しいもの。“勝ち負け”にはつい熱くなってしまいますよね。しかし、熱くなり過ぎてしまうあまり、試合中に対戦相手に罵声を浴びせたり、非難をしてしまう保護者の方もいるようです。また、勝敗が決まった後の振る舞いも同様です。過剰に喜んでしまったり、相手を馬鹿にしてしまったり、非難したり...。対戦相手も大切なサッカーの仲間だからこそ、勝っても負けても相手への敬意を欠かしてはいけません。対戦相手であっても良いプレーには賞賛し、サッカーそのものを楽しむような気持ちで試合を観戦するべきだと思います。そういったポジティブな関わりは周囲を巻き込んでいきます。自チームも相手チームも一緒に試合を楽しめるような雰囲気を作っていきましょう。

試合が出来るのは審判がいるからこそ!

白熱した試合では選手だけでなく、審判に対しても罵声が聞こえることがあります。試合は審判がいなければ成立しませんし、審判がいるからこそ公平かつ安全に試合が進んでいきます。もちろんミスもあるでしょうが、それでも審判の判定を尊重する姿勢を持ちましょう。審判も一緒に試合を作る大切な仲間なのです。

特に、ジュニア年代ではご父兄の方が審判を担当されることがあると思います。読者の皆さまの中にもその経験がある方がいるかもしれませんね。実際に経験したことがあればより実感すると思いますが、審判への罵声や批判は気持ちの良いものではありませんし、冷静な判断が出来なくなってしまうこともあるでしょう。だからこそ保護者の方々にも伝えられることがあるのではないかなと思います。

観戦のときも子ども達の成長を見守る姿勢を忘れずに

 

今の時代は色々な情報が手に入りやすくなり、保護者の方も有益な情報を得られるようになった反面、競争意識や不安が生まれやすいのかと思います。そういったことが子どもの成長に対する“焦り”に繋がって、行き過ぎた応援になっているのかもしれません。

子ども達は大人の振る舞いを見ています。だからこそ、観戦する側も対戦相手、審判、チームの仲間、大会関係者をリスペクトしなければいけません。そして、子どもと一緒にサッカーを楽しむ気持ちを忘れずに、焦らずその成長を見守ることが必要なのではないでしょうか。

WRITER PROFILE

大槻邦雄
大槻邦雄

1979年4月29日、東京都出身。
三菱養和SCジュニアユース~ユースを経て、国士館大学サッカー部へ進む(関東大学リーグ、インカレ、総理大臣杯などで優勝)。卒業後、横河武蔵野FCなどでプレー。選手生活と並行して国士舘大学大学院スポーツシステム研究科修士課程を修了。中学校・高等学校教諭一種免許状を持ち、サッカーをサッカーだけで切り取らずに多角的なアプローチで選手を教育し育てることに定評がある。

BLOG「サッカーのある生活...」も執筆中
★著書「クイズでスポーツがうまくなる 知ってる?サッカー

株式会社アクオレ株式会社ティー・パーソナル