“スウェーデンの王子”が世界中のファンを惹きつける理由
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“スウェーデンの王子”が世界中のファンを惹きつける理由

北中米W杯で日本代表と対戦することが決まった頃から、以前より彼を知るファンの間では「日本にベリバルが見つかってしまう!」という言葉が半ばネットミームのように飛び交っていた。その予想は、大会を通じて現実のものとなった。

整った顔立ちや柔らかな笑顔から、SNS上では“Swedish Prince”(スウェーデンの王子)と呼ばれることもあるルーカス・ベリバル。しかし彼が多くの人を惹きつける理由は、その華やかな容姿だけではない。家族を大切にする姿勢、飾らない誠実な人柄、年齢を感じさせない落ち着き……彼を知れば知るほど、応援したくなる理由が見えてくる。

「家族がいつも支えてくれる」

ベリバルは祖母や両親が元サッカー選手で、兄と弟もプロとしてプレーするサッカー一家で育った。幼い頃から庭や近所のピッチで家族とボールを蹴り、兄弟で競い合い、ときには両親から技術や戦術の基礎を教わりながら成長した。そうした環境は本人にとって特別なものではなく、ごく自然な日常だったのだろう。

だからこそ彼はインタビューなどで「家族がいつも支えてくれる」と折に触れて感謝を口にする。2024年夏にトッテナム・ホットスパーへ移籍したあとも、家族のロンドン来訪を楽しみにし、兄弟とは今も頻繁に連絡を取り合っているそうだ。

18歳でプレミアリーグ挑戦が決まった際には、兄テオへ感謝を込めてメルセデス・ベンツをプレゼント。父親と一緒に車のボンネットに大きなリボンを結び、何も知らない兄を案内するサプライズを計画したという。家族を喜ばせたい、その気持ちがまっすぐ伝わってくるベリバルらしいエピソードだ。

プライベートでは、恋人メドロックとの関係もたびたび話題になる。今大会中も仲睦まじいツーショットがSNSで拡散され、多くのメディアに取り上げられた。モデルやインフルエンサーとして紹介されることの多い彼女だが、2人が出会ったのはベリバルがまだ高校生として地元ストックホルムのクラブで頭角を現し始めた頃。互いに何の肩書きも持たない、ごく普通の高校生同士として交際をスタートさせた。国内外から注目を集めるようになった今も、その関係は変わらない。華やかな世界に身を置きながらも、派手さとは対照的な2人の誠実さが伝わってくる。

才能だけではない、若きスターからにじみ出る謙虚さ

もちろんピッチに立てば、その才能は誰もが認める。2024年1月に17歳でA代表デビューを果たすと、そのままメンバーに定着。そのためユース代表で過ごした時間は長くなかった。現在のユース代表には、ズラタン・イブラヒモビッチの長男マクシミリアンや元代表DFオロフ・メルベリの息子ジョンなど、将来を期待される同世代がそろう。そんな彼らに対して、ベリバルは「地に足をつけて努力を続けてほしい」とエールを送った。一足早くA代表へたどり着いた立場でありながら、その言葉には謙虚な人柄がにじんでいた。

今年3月、スウェーデン代表がプレーオフでW杯出場を決めたポーランド戦後には、微笑ましい一幕もあった。スタジアムにはかつて代表が3位に輝いた1994年アメリカ大会の応援歌が流れ、選手もサポーターも大合唱。歓喜に包まれる中、ベリバルは手元のマイクがオンになっていることに気づかないまま「もっともっと!」と声を上げた。

すると、その声を拾おうとしたのか、突然スタジアムの音楽が止まってしまうハプニングが……。思わぬ展開に本人も驚いたようで、とっさに北中米W杯の応援歌を歌い始め、その場を笑顔でつないだという。後日、この出来事を苦笑いしながら振り返る姿もまた、多くのファンに親しまれた。

ベリバルの人気ぶりは数字にも表れている。今大会の開幕前、スウェーデンサッカー協会が発表した代表ユニフォームの販売ランキングでは、エースストライカーのビクトル・ギェケレシュに次ぐ2位。W杯を通じて世界中にその名が広まった今、その人気はさらに高まっているはずだ。

日本で見せた子どもたちへの優しい笑顔

実は、ベリバルは日本とも縁がある。2024年7月、トッテナム移籍直後に来日し、ヴィッセル神戸とのプレシーズンマッチに参加した。試合前にはチームメイトとともに横浜こどもホスピスを訪問し、けん玉や紙ふうせんなど日本ならではの遊びを通して子どもたちと交流。ベリバルもけん玉に挑戦すると、難しいとされるけん先に刺す技を見事に成功させ、満面の笑顔を見せていた。

試合では後半から国立競技場のピッチに立ったが、この日の東京は最高気温34度。帰国後には地元メディアのインタビューで「信じられないほど暑かった」と振り返っており、日本の猛暑が強く印象に残ったようだ。

“スウェーデンの王子”という愛称は、その端正なルックスから生まれたものだろう。しかし本当に人を惹きつけているのは、その先にある人柄なのかもしれない。家族を大切にし、周囲への感謝を忘れず、どんな相手にも自然体で接する。そんな誠実さを知れば知るほど、ルーカス・ベリバルという選手は、応援せずにはいられない存在になっていく。

写真/Icon Sportswire via Getty Images