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【全国注目校FILE】初芝橋本高校(和歌山)素早いトランジションでタフに戦い、ベスト8を越える!

[分類]私立
[所在地]和歌山県橋本市
[創部]1991年
[部員]106人
[2019年所属リーグ]
トップ/ジャンプリーグ(県リーグ)1部
セカンド/ジャンプリーグ2部
1年生/関西U-16Groeien・G1
[選手権最高成績]3位(1995年度)
[インターハイ最高成績]準優勝(2006年度)

監督に聞く!求める選手像と指導理念
阪中義博(さかなか よしひろ)監督

入部条件は特にない。今年、就任10年目を迎えた阪中義博監督は、「初芝橋本でやりたいと熱望する子に来てほしい。まずは高校生活を充実させて、その中のクラブ活動で全国を目指し結果を残そう」と選手たちに強調している。「社会に出たとき、人とうまく関われないとか、自分勝手ではダメ。周囲に対して、『気づく、気づかす。感じる、感じさす』というのがウチの合言葉みたいなもので、そういう人間になってほしい」と願う。現在部員の8割が大阪出身だが、「大阪の子は負けん気が強い子が多くて、和歌山の子にはできないことをしでかす。地元の子も彼らに負けまいと切磋琢磨して向上していくんです。大阪の子も決して大阪でトップクラスの選手ではないので、大阪の学校には負けたくない気持ちがある。だから頑張れるんです」。

胸を張れる全国での実績

初芝橋本高校

サッカー部は1991年の学校設立年に創部され、高校選手権初出場は1995年。翌1996年、2度目の出場で大躍進を果たす。吉原宏太(元札幌他)、岡山一成(元横浜M他)を擁し、あれよあれよと4強入り。準決勝では鹿児島実業に1-2と惜敗したが、新興チームの快進撃は注目を集めた。インターハイでは2006年に決勝へ進出、広島観音に0-2で敗れ惜しくも初優勝は逃したが、強豪校として知名度は全国区となった。OBにはJリーガーも多い。また環境としては校舎に隣接したスポーツ部員用の寮には1時間半以上通学に要する場合入寮することができ、40名のサッカー部員が暮らす。食堂で休日を含め1日3食を摂ることも可能だ。

志向するスタイルを変えた前橋育英戦

「相手陣、極力相手ゴールに近い場所でボールを奪いに行く。奪えば即ゴールを目指す。これがウチの鉄則。運動量を求めるので、タフでなければウチでは通用しません」とは阪中監督。このスタイルを目指すきっかけは2年前の選手権で0-5と大敗した前橋育英だという。「完敗した試合で、トランジション(攻守の切り替え)のスピードがウチと格段に違った。ああ、トランジションがゲームを左右するんだな、と。奪われたら素早いトランジションで奪いにいって極力相手陣内でサッカーをする。しかし、奪いに行って奪えないときはラインを下げる。前橋育英はその両方ができたんです」と志向するスタイルは定まった。そして、そのサッカーで先のインターハイを戦い抜き、作陽戦では会心の出来で勝利した。ここからのプリンスリーグ参入戦、選手権予選ではトランジションの早さに磨きをかけていく。

進路を決めた2人の目標は「全国ベスト8を越える!」

横井海斗

GK 横井海斗(よこい かいと)(3年)
横井が自信を持つのは「身長(188cm)を活かしたハイボールへの飛び出しと、声でチームを鼓舞できるところ」で、「キック精度とビルドアップ」を課題に挙げ、日々の努力を続けている。インターハイでも「崩された失点がなく、守備に自信がついた」という。来たる選手権予選は昨年、県決勝で味わった悔しさから、「通過点だけど、あなどれない相手もいる。そこも叩いて再び全国でベスト8以上を目指す」と誓う。卒業後は理想であるヤン・オブラクに近づくために立教大で勝負する。

南條 斎

DF 南條 斎(なんじょう いつき)(3年)
阪中監督は、南條の右サイドバックとしての能力を「4年後はJへ行きますよ」と高評価。「スピードとアップダウンを繰り返せる体力面が武器」と話す南條は、セットプレーを任されるようにキック精度は高く、インターハイでも「個人としてかなり通用した」と自信をつけた。監督は「技術もあるし頭もいい」と付け加える。「選手権予選は勝って当然と思っているが、気を抜かず1戦1戦戦いたい」と気を引き締める。目標のアレクサンダー=アーノルドを目指しびわこ成蹊スポーツ大で鍛える。

選手権では夏の8強越えを!そのために昨年の二の舞はできない

初芝橋本高校

今夏のインターハイではベスト8入りし、練習試合でも全国の強豪にほとんど負けていない初芝橋本。県リーグ1部でも既に優勝を決め、10月には来季のプリンスリーグ関西入りをかけて参入戦を戦い、その後選手権予選を迎える。ライバルは県リーグ1部2位の和歌山北、3位の近大和歌山あたりか。力では上回っているが、「調子の波もあれば、不測のケガ人のリスクもあるからやってみないと分からない」と阪中監督が慎重な姿勢を崩さないのは、昨年決勝で和歌山北に悔しいPK戦負けを喫したためだ。しかし、監督が主将でエースのFW大谷澪紅(りく)を中心にしたチームに相当な自信を持っているのは間違いなさそうだ。

WRITER PROFILE

貞永 晃二
大阪生まれ大阪育ち。JSL当時から日本サッカーを見続け、崇拝する賀川浩氏を大目標とするサッカーライター。関西サッカーを盛り上げようとあらゆるカテゴリーを取材してきた。「ドーハの悲劇」目撃がトラウマとなり、「ジョホールバルの歓喜」を味わえなかった小心者。会社員当時の1999年にライター業を開始し、サッカーマガジンでセレッソ大阪を担当し、エル・ゴラッソでセレッソ、ガンバ両大阪を担当した。サッカークリニック、ジュニアサッカーを応援しよう、サッカー批評等にも寄稿。