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「試合」は力の「試し合い」勝負をおもいっきり楽しんで!

サッカーにおいて、「気持ち」の部分は重要で、気持の強い選手が大きな試合で活躍し、大事な場面でチームを勝利に導くものです。

しかし僕は個人的に「気持ち」や「メンタル」という言葉が好きではありませんでした。何故ならすべての敗因、原因をその言葉で片づけることができてしまうからです。実際に自分がプレーをしていた時にも監督やコーチ、周囲から「気持ち」の部分を指摘される敗戦や失敗はたくさんありました。

試合に向けて、気持ちの準備ができていない選手などいません。試合に負けたことを「気持ち」が足りないからだと言われるほど面白くないこともありません。
一生懸命、全力でプレーしている自分としては「気持ち」の問題だけで片づけてしまうことは選手としての成長を止めてしまう行為で、技術、体力、戦術の中にこそ改善、成長の鍵はあると信じて日々の練習に取り組んでいました。

ただ、それと同時にやはり「気持ち」の重要性は感じていました。周りから見ている人がそう指摘するということは少なからずその人たちはそのように感じているからであって、この指摘を無視していては自分やチームにとって成長はないと考えるようになりました。

「練習でできていることがなぜ試合でできないのだろう?」

相手が強いから、普段と違う環境だから、緊張していつも通りの力が出せないから…。いろいろな理由があると思います。皆さんも、お子さんが試合で頑張っている姿を見て感じることがあると思います。

「試合」という字は「試し合い」と書きます。その字の通り、練習でやってきた成果を試す場です。練習でやってきた以上のものが試合で出ることはありません。そして、サッカーは「ミスのスポーツ」です。個人で完璧を求める必要はありません。そのために仲間がいて、カバーし合うのです。日々の練習の成果を試合で出せればそれでいいのです。出せなかったら練習メニューや練習方法、練習に対する姿勢について考えればよいのです。そしてまたそれを次の試合で試せばいいのです。自分で原因を考え、それを行動に移すことが自分の成長につながり、その繰り返しで少しずつ自分に自信が持てるようになります。

自分を信じられるようになったら、大事なことはもう一つ。仲間を信じることです。

「サッカーはミスのスポーツ。」完璧な選手など存在しません。それぞれの得意な部分、苦手な部分を理解したうえで助け合う。それこそがチームスポーツの醍醐味です。
自分が日ごろやってきたことがどれだけ通用するのか、失敗を恐れずおもいっきり試し合い、仲間を信じて勝負を楽しむことが「気持ち」の部分の充実につながり、その過程を含めたすべての努力が観ている人の心を動かすのだと僕は思います。

WRITER PROFILE

野田恭平
1981年、神奈川県生まれ。サッカー親子講師。東京V、琉球、岐阜などでゴールキーパーとして活躍。現在は、全国のサッカー少年と保護者を対象に親子向けの親子イベントを開催し、「スポーツを通した人間育成」と「子どもの可能性を最大限に引き出す親のサポートの在り方」をテーマに講演活動を展開。また、JFAこころのプロジェクトのメンバーとして、「夢を持つことの大切さ」と「夢に向かって努力することの大切さ」を子どもたちに伝える活動を行なっている。サッカー少年を育てるママの悩みに真剣に向き合い、絶大な信頼を得ている。