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思いは真っすぐ、言葉には工夫を 大事なのは、そこに「意図」があるかどうか

保護者対象の講演を行う際に一番多く出る質問が「声かけ」についてです。
サッカーの調子が上がらない時、試合に負けた後、怪我してしまった時など、母親の一つの言葉がその後の人生を大きく変えるきっかけになることもあります。
皆さんにはどうか、お子さんの人生を好転させる言葉をかけてほしいと願います。

お子さんが落ち込んでいる際に、どんな言葉をかければよいのか。
一番大切なことは、自分が感じた気持ちを素直に伝えることだと思います。結果が出ていないけど、「毎日コツコツよく頑張っているな」と感じているのであれば、それを伝えればいいと思いますし、「もっと頑張れるだろう、まだまだ努力が足りないだろう」と感じていたら、それを伝えればよいと思います。

伝えたい自分の気持ちは、しっかりと伝える。
その中で、どのように工夫をして子どものやる気を引き出す言葉をかけることができるか、が母親としての腕の見せどころではないでしょうか。
お子さんの状況、お子さんの性格、そして普段の親子の関係でかける言葉も変わってきます。

お子さんの成長にとって大事な局面で、的確な言葉を的確な伝え方で伝えるためには、お子さんのことを良く知らなければいけません。性格はもちろん、今どんなことを頑張っているのか、どんなことを悩んでいるのか、どんな時に喜びを感じるのか。逆にどんなことが苦手で、いやなことがあった時にどんな行動をとるのか、など。
お子さんのことをどれだけ深く知り、気持ちを理解できるかが大切です。

そして、お子さんを育てるにあたり、母親としてのしっかり一本筋の通った理念を持っていることが重要です。
「こういう子に育ってほしい」というビジョンがあり、そのために今この言葉をかける。
このようなしっかりとした意図が言葉の裏側にあることが大切です。

たとえば、試合には負けて落ち込んでいるお子さんに対して、「リーダーシップをとれる子に育ってほしい」と願っているなら、

「今日の試合は負けちゃって悔しかったね。だけど点を取られた後にすぐにチームメイトに『下向くな!顔を上げていこう!』って言ってたよね。お母さん、すごいな~って思ったよ。チームが苦しい時こそ頑張れる選手が、本当に強い選手だと思うから。」

というような言葉をかけることができたら、負けた試合の中でも良かった点はあったということ、自分すら気づいていなかったかもしれない自分の良さに気づくことができた点、もしくは意識的にとった行動をしっかりと見てくれていたという点。
一つの言葉がけで、またお子さんは次のステップに進んでいけると思います。

お子さんの表情を過剰にうかがい、言葉を選びすぎると、本当に伝えたいことまでが何かわからなくなってしまいます。
お子さんのことを本気で思い、伝えた言葉ならば、必ず心に響く言葉になるはずです。

WRITER PROFILE

野田恭平
1981年、神奈川県生まれ。サッカー親子講師。東京V、琉球、岐阜などでゴールキーパーとして活躍。現在は、全国のサッカー少年と保護者を対象に親子向けの親子イベントを開催し、「スポーツを通した人間育成」と「子どもの可能性を最大限に引き出す親のサポートの在り方」をテーマに講演活動を展開。また、JFAこころのプロジェクトのメンバーとして、「夢を持つことの大切さ」と「夢に向かって努力することの大切さ」を子どもたちに伝える活動を行なっている。サッカー少年を育てるママの悩みに真剣に向き合い、絶大な信頼を得ている。