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縁の下からチームを救うマネージャー1年生【サッカーを仕事にするということ】

株式会社鹿島アントラーズFC マネージャー
大川慶介さん

―サッカー歴は?

小学1年から大学、専門学校まで
「小学校1年生から始めて、中学、高校とずっとやっていました。岩手県出身なのですが、教師を目指して千葉の大学に行ったんです。でも、そこでサッカーに対する気持ちが抑えられなくなり、『もう一回勝負しよう』と、JAPANサッカーカレッジ(以下JSC)に行くことにしました」

―JSCで努力したことは?

選手としてサッカーをやり通したこと
「サッカー専攻科で選手としてプレーしながら、栄養学やサッカーに関する様々なことを学びました。寮で生活していたのですが、3階の部屋から目の前のグラウンドが見下ろせたので、毎朝サッカーが見られる最高の環境でした(笑)。自由参加の朝練も全部出ましたし、バランス感覚を養うメニューや補強など、地味な練習もありましたが、それを苦と思わずやり通せたことは自信になりました」

―現職への経緯は?

スクールコーチからマネージャーへ
「JSCではずっと選手を目指していましたが、3年目に日本サッカー協会公認C級コーチの講習を受け、指導者になる道を考えるようになりました。そこでご縁があって、鹿島アントラーズでスクールコーチをやらせていただくことになりました。子どもに指導することの楽しさを実感する2年間でしたが、長年マネージャーをされてきた長石(博之)さんがフロント入りしたことで、僕に声が掛かりました」

―マネージャーの仕事とは?

プロ選手の用具やスパイクの管理
「今シーズン、アントラーズのマネージャーは先輩の高田(優二)さん、大川(一樹)さんと僕の3人でやっています。高田さんは遠征時の移動手段やホテルの手配、スケジュール管理など、事務作業をメインでやられていて、僕と先輩の大川さんが主に現場作業になります。プロ選手の用具やスパイク、身の回りのものを管理・ケア・準備する仕事で、試合用のウェア等は大川さんが担当し、僕はできる限りのことを手伝っています」

―1日の具体的な業務内容は?

朝7時から練習に関わるすべての準備
「まず10時の練習前に、朝の7時前からグラウンドの準備を行います。ボールの用意、マーカーや練習用具の準備をしたら、次はドリンクの準備を1時間くらいで終わらせます。残りの1時間半でビブスやスネ当ての準備をし、さらに次の日の16人分のスタッフの練習着を用意しています。練習後の昼食を終えたら、次の日の準備に入ります。選手・スタッフの飲み物の準備、籠をシャワールームの所定の位置に運ぶ、夏場は特にですが、製氷機だけでは追いつかない氷のストックをすることも、すべては僕の仕事です。選手やチームのことを考えると自然とやりたい作業が増えるので、今後も自分のできる仕事を増やしていきたいと思います」

―やりがいを感じることは?

勝利を選手と分かち合う瞬間
「地味な仕事が多い中で、試合で選手が得点を決めてくれるとやっぱり嬉しいです。試合前のハイタッチ、勝利した後、グラウンドにて選手・スタッフみんなで祝福する時は、『日々の努力が報われた』と思います。関東圏のアウェーの試合には帯同させていただくのですが、19時キックオフだと鹿島に戻ってくるのが23時頃。そこからスパイクの手入れをするので、日付が変わるのは当たり前です。業務が集中し、辛い時もありますが、選手が結果を出してくれるので、さらに試合に集中できる環境作りをサポートしていきたいと思います」

―高校生に伝えたいことは?

一つでもこだわりを持ってほしい
「何事にもこだわりを持つことは重要だと思います。去年よりフロントに行かれた長石さんは、マネージャーという仕事にこだわりを持って、20年以上もアントラーズを支えてこられました。僕もこの仕事を始めてから、スパイクのケアの仕方、服の畳み方、スネ当ての置き方など、こだわりが増えてきました。こだわりを持つということは、考えるということです。それをとことん追求すれば、いずれは自分の強みになります。高校生のみなさんも、一つでもこだわりを見つけて3年間のうちに伸ばしていってほしいと思います」

ある日のスケジュール

6:30 出社
7:00 グラウンドの準備
(ドリンク・ビブス・スタッフウェア等)
10:00~12:00 チーム練習
12:30~13:30 スタッフゲーム、昼食
14:00 翌日の用具、ウェア、ドリンクの用意
19:00 帰宅

「練習後は育成とトップのスタッフがグラウンドで“スタッフゲーム”をやっています。空いた時間ができた場合はトレーニングルームで筋トレやトレッドミルを使って良い運動ができています」

喜びの1ページ

「今までで一番キレイ」と言ってもらえたこと

「僕は血液型がB型ということもあって、用具の並べ方や、ウェアのたたみ方に、自分なりのルールというか、こだわりがあるんです。籠に1日分、一人一人の練習着を組むのですが、チームドクターの山藤(崇)先生がいらっしゃったときに『今までで一番スタッフのウェアがキレイだったよ』って言われて、『やった!』と思いましたね。すごく嬉しかったです」